逆関数の微分法$$g'(x)=\frac{1}{f'(y)} (※ただしf'(y) \neq 0)$$
逆関数の微分法について解説します。この式のポイントは\(g'(x)\)に対して、\(f'(y)\)と()の中がxとyになっている点です。
- 逆関数って何?
- 逆関数の微分法の使い道は?
- この公式を証明したい!
といった疑問に答えていきます!
式を見ただけでは、よく分からないと思いますが、記事を読み終わった後には式を理解できていますよ!
逆関数とは
まずは逆関数とは何かについて説明しますね。例えば、\(y=3x\)って式があったとします。これはxに1を入れたらyから3が出てくる関数です。
関数の詳しい解説
≫そもそも【関数】・【グラフ】とは何か|これで数学は怖くなくなる!≪
\(y=3x\)の逆関数は、yに3を入れたらxから1が出てくる関数ってことです!
他にも簡単な例を見ていくと・・・
$$\begin{eqnarray}
y=3x & \leftrightarrow & x=\frac{1}{3}y \\
y=x^2 & \leftrightarrow & x=\sqrt y \\
y=Sin^{-1} x & \leftrightarrow & x=\sin y\\
\end{eqnarray}$$
などがあります。
逆関数の微分法の使い方
式で見るとややこしい逆関数の微分法ですが、意外と使い方は簡単です。微分した回答の逆数を作るだけ!
例えば一番簡単な例を見てみましょう。
$$y=3x \leftrightarrow x=\frac{1}{3}y $$
ここで\(y=g(x), x=f(y)\)として最初の式をみてみると・・・
逆関数の微分法$$g'(x)=\frac{1}{f'(y)} (※ただしf'(y) \neq 0)$$
$$g'(x)=3, f'(y)=\frac{1}{3}$$
となります。これを逆関数の微分法に当てはめると
$$3=\frac{1}{\frac{1}{3}}=3$$
となります。
\(y=3x\)の\(x\)の微分が\(y’=3\)
\(x=\displaystyle \frac{1}{3}y\)の\(y\)の微分が\(x’=\displaystyle\frac{1}{3}\)
\(3と\displaystyle \frac{1}{3}\)は逆数の関係!!
これがいったい何に使えるのか・・・
逆関数の微分がもっとも威力を発揮する場所は逆三角関数です!
$$(\sin^{-1}x)’=\frac{1}{\sqrt{1-x^2}}$$
具体的な計算は下記の通りです。
\(y=\sin^{-1} x\Leftrightarrow x=\sin y\)より、
\begin{eqnarray}
\frac{d}{dx}x &=& \frac{d}{dx}\sin y \\
1 &=& \frac{d}{dy}\sin y\frac{dy}{dx}(合成関数の微分法)\\
1 &=& \cos y \frac{dy}{dx}\\\\
\displaystyle \frac{dy}{dx}&=&\displaystyle \frac{1}{\cos y}\\
&=&\displaystyle \frac{1}{\sqrt{\cos^2 y}}\\
&=&\displaystyle \frac{1}{\sqrt{1-\sin^2 y}}\\
&=&\displaystyle \frac{1}{\sqrt{1-x^2}}
\end{eqnarray}
もう少し具体的な計算は下記の記事で紹介しています。
よかったら参考にしてください。
>>arcsin x の微分<<
最後に逆関数の微分法の証明をしていきたいと思います。
逆関数の微分法の証明
$$y=g(x) \leftrightarrow x=f(y)$$
合成関数の微分法を用いて、右側の式の両辺を微分すると
$$\begin{eqnarray}\frac{d}{dy}f(y)\frac{dy}{dx} &=& \frac{d}{dx}x\\
f'(y)\frac{dy}{dx}&=&1 \\
\frac{dy}{dx}&=& \frac{1}{ f'(y)}\\
y’ &=& \frac{1}{ f'(y)}\end{eqnarray}$$
これで証明完了です。
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さいごに|逆関数の微分法
いろいろと難しく書きましたが、逆関数の微分法は当然ですが逆関数でしか使いません。なので、逆関数の微分が出てきたら、
「確かなんか方法あったよなあ・・・」
くらいに思い出す程度でOKです。そして微分の方法をその場で調べましょう!
何度も調べてるうちに自然と身に付きますよ。
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