磁気回路は電験三種の理論でも、高い頻度で出題されます。知識があればサービス問題ですが、知識がないと全く解けません。
ここでは磁気回路の原理と問題の解き方を解説します。
磁気回路の原理
こちらの図は磁気回路の問題などでよく使われる図です。

鉄などの磁性体に導線を巻き付け、導線に電流を流すと磁界\(H\)が発生します。
$$H=\frac{NI}{ℓ}[A/m]$$
磁界が発生すると、\(B=\mu H[T]\)の関係があるので、磁束密度が決まります。磁束密度が決まると、磁束\(\phi\)も決まります。
$$\phi=BS= \mu HS=\frac{NI}{ℓ/\mu S}$$
この磁束\(\phi\)が磁性体の中をぐるぐる回ることになるのです。
これを磁気回路と呼びます。
磁気回路は電気回路に置き換えれば簡単に解ける
先ほど求めた\(\phi\)は電気回路に例えると電流です。
$$\phi=BS= \mu HS=\frac{NI}{ℓ/\mu S}$$
ここで、\(\mu\)は鉄心など磁性体の材料によって決まります。長さ\(ℓ\)も面積\(S\)も同様に磁性体のみで決まります。つまり\(\phi\)の分母\( ℓ/\mu S \)は磁性体のみによって決まる値です。
この分母を磁気抵抗(もしくはリラクタンス)と呼び、\(R_m\)で表します。
$$R_m=\frac{ℓ}{\mu S}$$
この\(R_m\)は電気回路で言うと抵抗です。
また分子の\(NI\)は起磁力と言い\(F\)を使って表します。
$$F=NI$$
起磁力は電気回路で言うと電源電圧となります。それでは\(\phi, \quad F, \quad R_m\)を使ってみましょう。
磁気回路の\(V=IR\)
磁束、起磁力、磁気抵抗にも電気回路のオームの法則(のようなもの)が成り立ちます。
$$V=IR\\\\FN=\phi R_m$$
です。
この関係性さえ覚えておけば磁気回路の問題は解けます!サービス問題です。
最後に覚えておくべき式をまとめます。
- $$ FN=\phi R_m $$
- $$\phi=BS= \mu HS=\frac{NI}{ℓ/\mu S}$$
- $$R_m=\frac{ℓ}{\mu S}$$
- $$F=NI$$