過去に使ったことのある式でも、連立方程式となると難しく見えてしまい、苦手意識を持ってしまうことも多い問題です。
こういった問題を気持ちよく解けるように、例題を丁寧に解説していきます。
連立方程式の利用
道のりの問題を解くには、連立方程式の解き方はもちろんですが、速さや道のりを求めるための式の作り方を知っておく必要があります。
連立方程式の解き方である加減法と代入法は知っておいた方が解ける問題がグンっと増えますよ。
ここで
- 道のり=時間×速さ
- 速さ=道のり÷時間
- 時間=道のり÷速さ」
という速さの3つの式を駆使していくことになります。
また、問題によって「1時間」、「50分」、「30秒」などと時間の単位が異なることがあります。
この場合は、使われている時間の単位に合わせて「時速」、「分速」、「秒速」を使い分けていきましょう。
連立方程式の利用|道のりの問題1

【問題】
山田さんが、自宅から丘を超えて、18km先の図書館へ向かいます。
自宅から丘をこえるまでは時速3kmで歩いていましたが、丘から図書館までは時速12kmで走りました。
その結果、図書館に着くまでにちょうど3時間かかりました。
このときの歩いた道のりと、走った道のりを求めなさい。
【解答】
歩いた道のりは6km、走った道のりは12km
【解説】
ここで求めたいことは「歩いた道のり」と「走った道のり」ですから、それぞれをそのままx、yとします。
この時点で「\(x+y=18\)」という1つ目の式を作ることが出来ます。
2つ目の式では、歩いた時間と走った時間の合計がわかっているため、「\(歩いた時間+走った時間=3\)」という式を作る必要があります。
ここで「\(時間=道のり÷速さ\)」を利用して、
歩いた時間は「\(\displaystyle \frac{x}{3}(x\div3)\)」
走った時間は「\(\displaystyle \frac{y}{12}(y\div12)\)」
と表すことができます。
したがって2つ目の式は「\(\displaystyle \frac{x}{3}+\displaystyle \frac{y}{12}=3\)」ということになります。
最終的に連立方程式は
\begin{cases}x&+&y&=&18\cdots①\\
\displaystyle \frac{x}{3}&+&\displaystyle \frac{y}{12}&=&3\cdots②\end{cases}
となります。
分数のままではミスの原因になるため、②の両辺に\(3\)と\(12\)の最小公倍数である\(12\)をかけて「\(4x+y=36\)」と変形させておくことをおすすめします。
\begin{cases}x&+&y&=&18\cdots①\\
4x&+&y&=&36\cdots②\end{cases}
12をかけて②を変形したら、連立方程式を加減法で解いていきます
(もちろん代入法でもOKです。)
\begin{eqnarray}
②-①より& &\\
3x&=&18\\
x&=&6
\end{eqnarray}
\(x=6\)を①に代入すると、\(6+y=18\)なので、\(y=12\)
よって\(x=6\)、\(y=12\)という答えになります。
以上より、歩いた道のりは6km、走った道のりは12kmです。
連立方程式の利用|道のりの問題2

【問題】
池のまわりに、1周の道のりが5000mの道路があります。
その道を佐藤さんは走って移動し、田中さんは自転車で移動する。
佐藤さんと田中さんが、逆方向に同時に出発すると10分後に出会います。
同じ方向に出発すると、50分後に田中さんの移動した距離が佐藤さんよりちょうど1周分多くなります。
佐藤さんと田中さんの速さをそれぞれ求めよ。
【解答】
佐藤さんは分速200m、田中さんは分速300m
【解説】
ここで求めたいことは「佐藤さんが移動する速さ」と「田中さんが移動する速さ」なので、それぞれxとyとします。
まず、「逆方向に同時に出発すると10分後に出会います」という文より、佐藤さんと田中さんの移動した距離の合計が、5000mになっていればいいことが分かります。
それぞれの移動した距離は「道のり=時間×速さ」を用いて、\(10x\)、\(10y\)と表すことが出来ます。
したがって\(①10x+10y=5000\)という式を作ることができます。
(田中さんの移動速度を\(x\)、佐藤さんの移動速度を\(y\)としています。)
次に、「同じ方向に出発すると、50分後に田中さんの移動した距離が佐藤さんよりちょうど1周分多くなります。」という文より、佐藤さんと田中さんが同時に50分走ったときの距離の差は、5000mあると考えられます。
よって\(②50x+5000=50y\)という式を作ることができます。
これらの式をまとめると
\begin{cases}10x+10y=5000
50x+5000=50y\end{cases}
となります。
この時点でケアレスミスを防ぐために、
①の両辺を10で割ることと
②の両辺を50で割ること
をおすすめします。
すると式が簡単になって解きやすくなります。
\begin{cases}
x+y=500\cdots①
x+100=y\cdots②\end{cases}
今回は代入法を用いて解いてみましょう。
②式を①式に代入すると下記のように計算できます。
\begin{eqnarray}
x+(x+100)&=&500\\
2x&=&500-100\\
2x&=&400\\
x&=&200
\end{eqnarray}
\(x=200\)を②式に代入すると、
\(200+100=y\)となり、\(y=300\)を求めることができます。
よって、\(x=200\)、\(y=300\)という答えが出てきます。ここで注意すべきポイントは、ここで出てきた時間の単位が「分」ですから、速度を分速で表現しなければならないということです。
以上より答えは、「佐藤さんは分速200m、田中さんは分速300mで移動した」となります。
道のりの連立方程式の利用|まとめ
今回は「時間や速さ、道のりを求める式を連立方程式に当てはめること」と、「時速、分速、秒速を使い分けること」に目を向けて解説しました。
加減方と代入法を使いこなすことができれば、解答のスピードも大幅にあげることが出来ます。
苦手意識を持たれやすい文章題ですが、実は小学校高学年あたりでやったことがそのまま使えるシンプルなところがあります。
何を\(x\)として、何を\(y\)とするかだけがポイントです!
気負わずにリラックスして挑戦しましょう。
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参考動画
参考になる動画があったので紹介しておきます!
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