円周角の定理は中3で習う大切な図形の定理です。
円と角の大きさを表す定理なのですが、応用問題が受験でよく出題されます。応用問題が解けるようになるために、基礎をしっかり固めましょう。
この記事では、円周角の定理とは何か、その証明を解説しているので、基礎をしっかり学ぶことができますよ!
円周角の定理とは|2つの意味
円周角の定理は大きく分けて2つあります。
- ある弧に対する円周角は、その弧に対する中心核の半分である
- ある弧に対する円周角は全て等しい
の2つです。
1つずつゆっくり見ていきましょう。
円周角の定理|その1
その1は『ある弧に対する円周角は、その弧に対する中心核の半分である』です。
式にすると、
円周角=中心角÷2
となります。
図も見てみましょう。

中心角は「円上のある2点と、円の中心で出来た角」です。
図の青の線で表した角で、角を作る2本の線は両方とも半径になります!
円周角は「円上のある3点を結んでできる角」となります。
図の赤い線が円周角です。
この赤い線で表した円周角は、青い線の中心角の半分となります。
つまり、下記の式が成り立ちます。
円周角=中心角÷2
ただしこれが成り立つのは、円周上の同じ2点から線が出ている場合です。
下の図の場合だと、同じ2点(同じ弧)に対する円周角と中心角ではないため成立しません。
注意しましょう。

円周角の定理|その1
円周角=中心角÷2
それでは2つ目の円周角の定理の解説です。
円周角の定理|その2
円周角と中心角が分かったところで2つ目の定理です。
その2は『ある弧に対する円周角は全て等しい』です。
式で表すと、
円周角=円周角
です。
こちらも、図も使って確認してみましょう。

この2つの円周角は同じ2点(同じ弧)と円周上のもう1点の3点で角を作っています。
つまり、どちらの円周角も『ある同じ弧に対する円周角』なので大きさが等しくなります!
円周角の定理|その2
円周角=円周角
2種類の円周角の定理を確認しました。
ここから円周角の定理を証明していきます!
円周角の定理|3つの証明
まずは『ある弧に対する円周角は、その弧に対する中心核の半分である』について証明します。
上記の定理を証明するためには、3つのパターンを証明する必要があります。
円周角の定理を証明するための3パターン
- 円周角の中に円の中心がある場合
- 円周角の外に円の中心がある場合
- 円周角を作る線が円の中心を通る場合
の3パターンです。図にしてみましょう。

ちょっと大変ですが、この3パターンで成り立つことを証明しないと「中心角\(=\)円周角\(\div2\)」を証明したことにはなりません。
1つずつ、ゆっくり解説していきます!
円周角の中に中心がある場合
最初に円周角の中に、円の中心がある場合。
証明には下記の図を使います。
ここで同じ色の印は同じ角度を表しています。
2つあるのは倍の大きさを表しています。例えば∠DOCは∠DBCの2倍ってことです!

では証明に移りましょう!
まずは、BからOを通る線を補助線として引きます。
点線の部分です。
ここで、△の印がついた3本の線は円の半径なので、3本とも同じ長さとなります。
$$AO=BO=CO$$
\(△BOC\)と\(△AOB\)はどちらも二等辺三角形です。
\(△BOC\)を見てみましょう。
二等辺三角形の底角は等しいため、●の角度は等しくなります。
(\(∠OBC=∠BCO\))
三角形の内角の和は180度なので、\(∠BOC\)の大きさは(\(180\)–●-●)度となります。
直線も180度のため、\(∠BOD=180\)です。
つまり、\(∠COD\)の角度は(●+●)度となります。
同様に\(∠AOD\)は(●+●)度となります。
ACの円周角\(∠ABC\)は(●+●)度、
中心角\(∠AOC\)は(●+●+●+●)=2(●+●)度。
以上より、\(∠ABC=∠AOC\div2\)となる。
円周角=中心角÷2
証明完了です。
円周角の外に中心がある場合
2番目の証明です。
円周角の外に円の中心がある場合を見てみましょう。

まずはBからOを通る直線を引いて円周との交点Dをとします。
△BOCを見てみましょう。
辺BOと辺OCはどちらも半径で長さが等しいため、△BOCは二等辺三角形です。
\(∠OBC=\)とすると\(∠OCB=□\)であり、\(∠DOC=◻︎+◻︎\)となります。
次に△AOBを考えます。
\(∠OAB=●\)とすると\(∠AOD=●+●\)となります。
- 円周角\(=∠ABC=●-◻︎\)
- 中心角\(=∠AOC=●+●-◻︎+◻︎=2(●-◻︎)\)
以上より、
円周角=中心角÷2
になります。
1本の線が中心を通る場合
あと1個です!もう少し頑張りましょう。

△OCBは二等辺三角形なので、∠OCB=∠OBC(●)です。
つまり∠AOB=●+●です。よって
$$∠AOB=2∠ACB$$
となります!
円周角は全て等しいの証明
最初に解説した通り、円周角の定理はもう1つあります。
『ある弧に対する円周角は全て等しい』です。
こちらの定理を証明していきましょう。
前提として、円周角と中心角の関係は証明完了しています。
つまり、
円周角=中心角÷2
という式は使用可能です。

この図の円周角2つはともに同じ中心角をもってます!そして繰り返しになりますが、以下の式は成り立ちます。
円周角=中心角÷2
つまり、
円周角=中心角÷2=(他の)円周角
となるので、証明完了です!
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