三角比から三角形の面積を求める公式は、覚えておく必要がある超重要公式です。
三角形の面積の公式
三角形の面積をSとすると、下記の式が成り立つ。
$$S=\displaystyle \frac{1}{2}ab\sin C\\
S=\displaystyle \frac{1}{2}bc\sin A\\
S=\displaystyle \frac{1}{2}ca\sin B$$
三角形の面積は通常だと、
(底辺)\(\times\)(高さ)\(\div2=\)(面積)
と計算します。
しかし三角比があれば、面積の公式によって、2辺とその間の角から面積を計算できるようになります。
今回はこの三角形の面積の公式を解説していきます!
この記事で分かること!
- 面積の公式の基本的な使い方
- そのほかの面積を求める公式(余弦定理やヘロンの公式など)
- 面積の公式の証明のやり方
では、例題を解きながら面積の公式を理解しましょう!
面積の公式の使い方1|2辺とその間の角がわかる場合
紹介する例題は3問です。
- 2辺とその間の角が分かっている場合(基礎問題)
- 3辺が分かっている場合
- 1辺とその両端の角が分かっている場合
この3問を解いていきます!
例題1|三角比 面積の公式基礎問題
図のような三角形の面積を求めよ。
解答1|三角比 面積の公式基礎問題
この問題は2辺のその間の角が分かっていますね。
この場合は公式を使って1発で計算できます。
$$S=\displaystyle \frac{1}{2}bc\sin A$$
より、
\begin{eqnarray} S &=&\displaystyle \frac{1}{2}bc\sin A \\
&=& \displaystyle \frac{1}{2}96\sin 120°\\
&=& 48\displaystyle \frac{\sqrt{3}}{2}\\
&=&24\sqrt{3} \end{eqnarray}
\(∴S=24\sqrt{3}\)
公式を使うと簡単に求めることができますよね!
面積の公式の使い方2|3辺がわかる場合
次の例題は3辺が分かっている場合です。
例題2|三角比 面積の公式
図のような三角形の面積を求めよ。
解答2|三角比 面積の公式問題
この場合は2つの解法があります。
1つずつ解説していきますね。
余弦定理で面積を求める方法
面積の公式は
$$S=\displaystyle \frac{1}{2}bc\sin A$$
であり、今\(b=5,\ c=10\)が分かっています。
なので、\(\sin A\)がわかれば面積Sを求めることができますね。
\(\sin A\)を求めるために、\(\sin^2 A+\cos^2 B=1\)の式と余弦定理を使います。
余弦定理を変形すると、角度を求めることができます。
$$\cos A = \displaystyle \frac{b^2+c^2-a^2}{2bc}$$
ここに3辺の長さを代入すると、
\begin{eqnarray} \cos A &=& \displaystyle \frac{b^2+c^2-a^2}{2bc} \\
&=&\displaystyle \frac{25+100-49}{100} \\
&=&\displaystyle \frac{76}{100} \\
&=& \displaystyle \frac{19}{25}\end{eqnarray}
(\sin^2 A+\cos^2 B=1)より、
\begin{eqnarray} \sin A &=& \sqrt{1-\cos^2 A} \\
&=& \sqrt{\displaystyle \frac{25^2-19^2}{25^2}} \\
&=&\displaystyle \frac{2\sqrt{66}}{25}\end{eqnarray}
となります。
最後に求めた\(\sin A\)を面積の公式に代入すると、面積が計算できます。
\begin{eqnarray} S&=&\displaystyle \frac{1}{2}bc\sin A \\
&=& \displaystyle \frac{1}{2}50\displaystyle \frac{2\sqrt{66}}{25}\\
&=& 2\sqrt{66}\end{eqnarray}
よって、面積は\(2\sqrt{66}\)となります。
ヘロンの公式で面積を求める方法
ヘロンの公式は3辺の長さを代入すれば解けてしまうので非常に便利です。
ヘロンの公式
三角形ABCの辺の長さをa, b, cとすると、面積Sは下記の式で表すことができる。
\begin{eqnarray}
S &=& \sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)} \\
ここで、s &=& \displaystyle \frac{a+b+c}{2}
\end{eqnarray}
\(a=7,\ b=5,\ c=10\)を代入すると、ヘロンの公式の\(s\)は以下のようになる。
\begin{eqnarray} s&=& \displaystyle \frac{a+b+c}{2} \\
&=& \displaystyle \frac{22}{2}\\
&=&11 \end{eqnarray}
\(s\)を使って面積\(S\)を計算することができます!
\begin{eqnarray} S &=& \sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)} \\
&=& \sqrt{11(11-7)(11-5)(11-10)}\\
&=&\sqrt{11\times4\times6\times1}\\
&=&\sqrt{264} \\
&=&2\sqrt{66}\end{eqnarray}
よって、面積は\(2\sqrt{66}\)となります。
ヘロンの公式の注意点
今回は、辺の長さが(a=7,\ b=5,\ c=10)であり、無理数がありませんでした。
\(\sqrt{3}\)などの無理数があるとヘロンの公式は計算が複雑になるため、使えません。
辺の長さにルートがある場合は、余弦定理で面積を求める方がおすすめです!
面積の公式の使い方3|1辺と2つの角がわかる場合
最後は1辺と2つの角がわかる場合の面積の求め方です。
この場合は正弦定理を使って、辺の長さを計算してあげて、面積の公式に当てはめます!
例題3|三角比 面積の公式問題
図の三角形の面積を求めよ。
解答3|三角比 面積の公式問題解説
三角形の1辺と2つの角が分かっています。
面積の公式を使うには、2辺とその間の角が必要です。
つまり、問題図で言うと\(b\)の長さが分かれば面積の公式を使えるようになります。
ここで使うのが正弦定理です。
正弦定理で面積を求める方法
正弦定理
三角形ABCがあるとき、以下の式が成り立つ。
$$\displaystyle \frac{a}{\sin A}=\displaystyle \frac{b}{\sin B}=\displaystyle \frac{c}{\sin C}$$
また、三角形ABCに外接する半径Rの円がある時、以下の式も成り立つ。
$$\displaystyle \frac{BC}{\sin A}=\displaystyle \frac{AC}{\sin B}=\displaystyle \frac{AB}{\sin C}=2R$$
正弦定理より、$$\displaystyle \frac{a}{\sin A}=\displaystyle \frac{b}{\sin B}$$
が成り立ちます。
ここで\(∠B=180-80-30=70\)なので、70°ですね。
つまり、以下の計算をすることができます。
\begin{eqnarray} \displaystyle \frac{a}{\sin A}&=&\displaystyle \frac{b}{\sin B}\\
b&=& \displaystyle \frac{1}{\sin B}\displaystyle \frac{a}{\sin A} \\
&=& \displaystyle \frac{1}{\sin 70}\displaystyle \frac{5}{\sin 30} \\
&=&\displaystyle \frac{1}{0.94}\displaystyle \frac{5}{\displaystyle \frac{1}{2}} \\
&=&\displaystyle \frac{94}{100}10\\
&=&\displaystyle \frac{47}{5} \end{eqnarray}
よって、\(b=\displaystyle \frac{47}{5}\)となります。
面積の公式より、
$$S=\displaystyle \frac{1}{2}ab\sin C$$
なので、
\begin{eqnarray} S &=& \displaystyle \frac{1}{2}ab\sin C \\
&=& \displaystyle \frac{1}{2}5\displaystyle \frac{47}{5}\sin 80\\
&=&\displaystyle \frac{47}{2}\times0.985\\
&=&23.14 \end{eqnarray}
よって、面積は\(23.14\)となります。
実際の問題では、もう少し綺麗な値になると思いますが、練習なので小数になる問題を使ってみました。
\ おすすめの参考書! /
面積を求めるポイント
面積を求める公式が色々あるのは分かっていただけたと思います!
面積を求めるポイントは、2辺とその間の角をなんとしても求める!になります。
三角形の面積を求めるには、2辺とその間の角をなんとしても求める!
そして、面積の公式に代入する!
もちろんヘロンの公式を使った方が早いよーって問題もあります。
面積の公式を使わない方が早い場合もあります。
ただ、基本は面積の公式なのは間違いありません。
問題を読んで、面積の公式に足りない材料は何かな〜
と考えるのが1番簡単に求められる方法だと思います!
何よりたくさんの公式を覚えなくても良いので、私はこの方法がおすすめですよ!
証明|三角比 三角形の面積の公式
では、三角形の面積の公式を証明していきましょう!
とっても簡単なのでサクッとやってしまいますね。
三角比で面積を求める証明
三角形の面積は、(底辺)\(\times\)(高さ)\(\div2=\)(面積)です。
三角比を使ってこの式を表したのが面積の公式です。
では証明に移ります。
三角形ABCがあった時、上の図のように頂点Cから辺ABに垂線を下ろし、交点をHとする。
(この時三角形CHBに注目しましょう。)
\(CH=a\sin B\)であり、CHは三角形ABCの高さである。
この時、底辺はAB\((=c)\)なので、面積をSとすると以下の式が成り立つ。
$$S=\displaystyle \frac{1}{2}ca\sin B$$
また、同様に計算することで以下の式も求めることができる。
$$S=\displaystyle \frac{1}{2}ab\sin C\\
S=\displaystyle \frac{1}{2}bc\sin A$$
証明は以上です!
三角形の面積の公式|まとめ
三角比を使った三角形の面積の公式について解説してきました。
ポイントは以下の3点です。
- 三角形の面積の公式の他にも面積を求める公式はいくつかある(ヘロンの公式など)
- 公式を迷ったら2辺とその間の角を求めて、面積の公式に当てはめるのが簡単!
- ヘロンの公式の方が簡単な場合があるが、辺の長さルートの場合は注意が必要
となります。
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