補集合と聞かれて、あなたがイメージするのはどのような集合ですか?
漢字でみると、「補う」「集合」と書いて補集合です。
ある集合を補っている、つまりある集合以外の集合と考えることもできます。
例えば、クラスの中に犬が好きな人がいます。
でも、クラスの中には猫やハムスターなど他の動物が好きな人もいますよね。
つまり、クラスの中で犬が好きな人と犬以外の動物が好きな人の集まりが存在します。
その「犬以外の動物が好きな人の集まり」は、犬が好きな人の集まりの「補集合」となります。
ではこれを数学としてとらえる、どうなるでしょうか。
一緒に考えていきましょう。
補集合とは?
補集合とは、全体集合Uで、部分集合Aに含まれない要素全体の集合のことです。

数学である集合を考えるときは、あらかじめ範囲を決めておく必要があります。
その全体の集合を全体集合といい、Uで表すことが多いです。
また、全体集合の一部分の要素の集まりの集合を部分集合といいます。
例えば、全体集合をU={1,2,3,4,5,6}とし、部分集合をA={1,2,4,5}とします。
このときAの補集合は{3,6}となります。

実際にベン図をかいてみるとどうでしょうか?
文章でみているより理解しやすくなったと思います。
また集合の要素が多くなってくると、数え忘れてしまう場合もあるので、ベン図をかいて目でみてわかるようにすることをおすすめします。
補集合の記号と性質
補集合の記号
Aの補集合のことを$\overline{ A }$と表します。アルファベットの上に横線をかくようなイメージです。
補集合の性質
補集合には3つの性質があります。
全体集合をU、その部分集合をAとすると下記の式が得られます。
① $A∩\overline{ A }=\varnothing$
② $A∪\overline{ A }=U$
③ $\overline{\overline{ A }}=A$
例えば、①全体集合を$U=\{1,2,3,4,5,6\}$とし、$A=\{1,2,4,5\}$のとき、$\overline{ A }=\{3,6\}$ですよね。
このとき、Aの要素と$\overline{ A }$に共通する要素はありません。つまり空集合です。
また、②Aの要素と$\overline{ A }$の和集合は全体集合の要素すべてを含むことになり、全体集合となります。
では、③$\overline{ A }$の補集合はどうなるでしょうか?$\overline{ A }$に含まれない要素全体の集合なので、Aと同じになりますよね。
以上のように補集合には3つの性質があります。
補集合の練習問題
問題
U={1,2,3,4,5,6,7}を全体集合とする。Uの部分集合A={3,6},B={1,3,5,7}について、次の集合を求めよ。
(1) $\overline{A}$ (2) $A∩\overline{B}$
解答
(1)$\overline{A}=\{1,2,4,5,7\}$ (2)$A∩\overline{B}=\{6\}$
解説
今回の問題のベン図は下記の図のようになります。

(1) Aの補集合は全体集合UでAに含まれないすべての要素の集合なので、Aバー={1,2,4,5,7} となります。

(2) 今回の問題を解くにはまずBバーを求める必要があります。Bバー={2,4,6}となるので、Aと共通する要素は6のみです。つまり、AかつBバー={6}となります。

補集合の問題はベン図をかくと解きやすくなるので、ぜひ活用してみてください。
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補集合のまとめ
補集合について解説しました。
ポイントは下記の3つです。
- 補集合とは、全体集合Uで、部分集合Aに含まれない要素全体の集合のことです。
- Aの補集合は$\overline{A}$で表します。
- 補集合には3つの性質があります。
① $A∩\overline{ A }=\varnothing$
② $A∪\overline{ A }=U$
③ $\overline{\overline{ A }}=A$のような性質があります。
これまでの内容で補集合について理解していただけたでしょうか?
補集合を考えるときは、ベン図で可視化することがとても重要です。
ぜひ問題を解くときは、「ベン図をかくこと」を習慣にしてみてくださいね。