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[数1]平方完成のやり方と平方完成の公式3つ|分数にも使える

みなさん「平方完成」という言葉を聞いたことはありますか?
「平方っていうから、何かの2乗かな?」と感じた人もいるかもしれませんね。

平方完成は2次関数の分野を勉強するときにとても重要な武器になります。
今回はその最大の武器となる平方完成について解説します。

しっかり自分のものにして、2次関数を得意な分野にしていきましょう。

目次

平方完成とは

平方完成とはxの2次式$ax^2+bx+c$を$a(x-p)^2+q$の形に変形することです。

平方完成とは
平方完成とは

なぜ、平方完成を行うのでしょうか?

2次関数$y=ax^2+bx+c\cdots ①$の式を
$y=a(x-p)^2+q\cdots ②$の形に変形することで、2次関数の軸や頂点がわかりやすくなるからです。

2次関数$y=a(x-p)^2+q$の軸はx=p、頂点は(p , q)で表します。

①の式のままでは2次関数の軸や頂点がわからず、グラフをかくことが難しいです。
しかし②の形に変形すると、式をみるだけで軸と頂点がわかり、グラフをかくことができます。

そしてグラフをかくことができると、2次関数の問題も解きやすくなります。
平方完成は2次関数を考えるときにとても大切な式変形です。
しっかりマスターしましょう。

平方完成3つのやり方

平方完成のやり方は3つあります。

  1. 因数分解する方法
  2. 係数を比較する方法
  3. 公式を使う方法

3つのやり方はどんな問題でも使えるので、自分に合ったやり方を選んで使いましょう。

私のおすすめは3番の公式を使う方法です。

公式は万能なので覚えてしまえば分数の計算だけで、平方完成ができます。ただし、みなさんにも公式を使う方法が合っているとは限りません。

できれば3つとも試して、自分に合ったやり方を見つけましょう。

因数分解

では1つ目の因数分解を使うやり方です。例題を通して学びましょう!

【例題】
\(y=4x^2+8x+5\) を\(y=a(x-p)^2+q\)の形に直しなさい。

まず、定数項を無視して2次の係数で括ってやります。ここでは\(4\)ですね。

\begin{eqnarray} y &=& 4x^2+8x+5 \\
&=& 4(x^2+2x)+5 \end{eqnarray}

次に、かっこの中を\((x-p)^2\)の形にしてあげます。

\(x\)と1次の項に\(\displaystyle \frac{1}{2}\)をかけた値(今回は\(2\times\displaystyle \frac{1}{2}=1\))の和を2乗してあげましょう。

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そして、数の調整で\(1^2=1\)を引いてあげます。

あとは計算していけば \(p,\ q\) が求まります。

\begin{eqnarray} y &=& 4(x^2+2x)+5
&=&4\{(x+1)^2-1\} +5\\
&=&4(x+1)^2+1\end{eqnarray}

以上より、\(y=4(x+1)^2+1\)が答えだと分かりました。

\(p=-1,\ q=1\)ですね!

係数を比較する

2つ目の係数を比較するやり方です。こちらも因数分解を使います。例題を通して学びましょう!

【例題】
\(y=4x^2+8x+5\) を\(y=a(x-p)^2+q\)の形に直しなさい。

この問題は言い換えると「\(p\)と\(q\)を求めなさい。」と言う問題です。

今回のやり方は3つのSTEPで平方完成できます。

  1. 二次の係数で括る(\(a\)で括る)
  2. 一次の係数から\(p\)を決める
  3. 定数項を比較して\(q\)を決める

\(y=4x^2+8x+5\) の場合、二次の係数が\(4\)、一次の係数が\(8\)、定数項が\(5\)です。

STEP1: 二次の係数で括る

STEP1は、\(4x^2+8x\)の部分に注目して二次の係数(今回は\(4\))で括りましょう。

一旦\(+5\)は横に置いておいて、\(x^2\)の係数の\(4\)で括ってやります。

$$4x^2+8x+5=4(x^2+2x)+5$$

STEP2: 一次の係数から\(p\)を決める

次にSTEP1で作った \(4(x^2+2x)+5\)を使って、一次の係数から\(p\)を求めます。

最初の式とゴールの式をイコールで結ぶと、$$4(x^2+2x)+5=4(x-p)^2+q$$です。

右辺の\((x-p)^2\)を展開して、一次の係数を比較してみましょう。

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$$4(x^2+2x)+5=4(x^2-2px+p^2)+q$$

ここで一次の係数だけに注目すると、\(-2p=2\)となるはずなので\(p=-1\)と分かります。

$$4(x^2+2x)+5=4(x+1)^2+q$$

STEP3: 定数項から\(q\)を求める

最後に定数項から\(q\)を求めましょう。

\(p=1\)を代入して右辺を展開すると、

\begin{eqnarray} 4(x+1)^2+q &=& 4(x^2+2x+1)+q \\
&=&4(x^2+2x)+4+q \end{eqnarray}

です。

定数項だけ比較すると、\(5=4+q\)になりますね。

つまり\(q=1\)とわかりました。

以上より、例題の答えは

$$4x^2+8x+5=4(x+1)^2+1$$

となります!

係数を比較するこのやり方は一般的ですが、何度も練習しないとテストで頭がこんがらがってしまいがちです。

公式を覚えなくていい分、しっかり練習問題を解いておきましょうね。

平方完成の公式

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次は公式を使って1発で求める方法です。

公式は、以下の通り

平方完成の公式

$$y=ax^2+bx+c$$

平方完成すると以下の式となる。

$$y=a\left( x+\displaystyle \frac{b}{2a}\right)^2-\displaystyle \frac{b^2-4ac}{4a}$$

平方完成の公式を使えば、

\(y=ax^2+bx+c\)を
\(y=a(x-p)^2+q\)に直すときは

$$p=-\displaystyle \frac{b}{2a},\ q=-\displaystyle \frac{b^2-4ac}{4a}$$

を代入すればいいことになります。

公式を使った解き方

【例題】
\(y=4x^2+8x+5\) を\(y=a(x-p)^2+q\)の形に直しなさい。

先ほどの問題を例に公式を使ってみましょう。

$$p=-\displaystyle \frac{b}{2a},\ q=-\displaystyle \frac{b^2-4ac}{4a}$$

に代入するだけでOKです。

\(p\)の計算

\begin{eqnarray} p &=& -\displaystyle \frac{b}{2a} \\
&=& -\displaystyle \frac{8}{2\times4}\\
&=&-1 \end{eqnarray}

\(q\)の計算

\begin{eqnarray} q &=&\displaystyle \frac{b^2-4ac}{4a}\\ \\
&=& -\displaystyle \frac{8^2-4\times4\times5}{4\times4}\\\\
&=&-\displaystyle \frac{-16}{16}\\
&=&1 \end{eqnarray}

以上より、\(y=4(x+1)^2+1\)となる。

\(p=-1\)と\(q=1\)が導けたので、係数を比較する方法と答えが一致しましたね!

平方完成の公式を証明

平方完成の公式を証明します。


\begin{eqnarray} y &=& ax^2+bx+c \\ \\
&=& a\left(x^2+\displaystyle \frac{b}{a}x\right)+c\\\\
&=& a\left(x^2+\displaystyle \frac{b}{a}x+\displaystyle \frac{b^2}{4a^2}-\frac{b^2}{4a^2}\right)+c \\\\
&=& a\left( x+\displaystyle \frac{b}{2a}\right)^2-\displaystyle \frac{b^2-4ac}{4a}\end{eqnarray}

以上より、\(y = ax^2+bx+c\)を平方完成すると、

$$y=a\left( x+\displaystyle \frac{b}{2a}\right)^2-\displaystyle \frac{b^2-4ac}{4a}$$

となる。

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平方完成の解き方|分数がある場合

【例題】
\(y=2x^2+3x+1\) を\(y=a(x-p)^2+q\)の形に直しなさい。

この問題は、分数が出てくるパターンです。実際に計算してみましょう。

\begin{eqnarray} y &=& 2x^2+3x+1 \\
&=& 2\left( x^2+\displaystyle \frac{3}{2}x\right)+1 \end{eqnarray}

このように、2次の係数で括ってやると分数が出てきます。

この例題を1つ目の因数分解の方法と、3つ目の公式の方法で平方完成してみましょう!

因数分解で計算する場合

\begin{eqnarray} y &=& 2x^2+3x+1 \\
&=& 2\left( x^2+\displaystyle \frac{3}{2}x\right)+1\\\\
&=& 2\left(\left( x+\displaystyle \frac{3}{4}\right)^2-\displaystyle \frac{9}{16}\right)+1\\\\
&=& 2\left( x+\displaystyle \frac{3}{4}\right)^2-\displaystyle \frac{9}{8}+1\\\\
&=&2\left( x+\displaystyle \frac{3}{4}\right)^2-\displaystyle \frac{1}{8}\end{eqnarray}

基本は同じですが、分数が出てくる分計算が少しややこしいですね。

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公式で計算する場合

公式に代入してみましょう。

$$p=-\displaystyle \frac{b}{2a},\ q=-\displaystyle \frac{b^2-4ac}{4a}$$

\(p\)の計算

\begin{eqnarray} p &=&-\displaystyle \frac{b}{2a}\\ \\
&=& -\displaystyle \frac{3}{4} \end{eqnarray}

\(q\)の計算

\begin{eqnarray} q &=& -\displaystyle \frac{b^2-4ac}{4a} \\
&=& -\displaystyle \frac{9-8}{8}\\\\
&=&-\displaystyle \frac{1}{8} \end{eqnarray}

\(p\)と\(q\)を代入すると、

\begin{eqnarray} y &=& a(x-p)^2+q \\
&=& 2\left( x+\displaystyle \frac{3}{4}\right)^2-\displaystyle \frac{1}{8} \end{eqnarray}

となります。

平方完成を二次関数に応用する

ここからは平方完成を二次関数に応用する方法です!

実は、平方完成で求めてきた \(p\) と \(q\) は二次関数の頂点座標になります。

そのため、平方完成することで二次関数の頂点座標がひと目でわかるようになるのです。

頂点座標を求めてみよう!

それでは、例題を使って確認します。

例題
$$y=4x^2+8x+5$$ の頂点座標を示せ。また、グラフを書け。

まずは、平方完成しましょう。

$$y=4x^2+8x+5= 4(x+1)^2+1 $$

このとき、\(p=-1\)、\(q=1\)でしたね。

\(y=a(x-p)^2+q\)の二次関数の頂点座標は\((p,\ q)\)です!

つまり、\(4(x+1)^2+1\)の頂点座標は\((-1,\ 1)\)となります。

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グラフを書いてみよう!

頂点座標は\((-1,\ 1)\)だとわかりましたね。

二次関数のグラフは頂点座標から\(y=ax^2\)のグラフを書けばOKです。

今回の問題は\(y=4(x+1)^2-1\)なので、\(y=4x^2\)のグラフを書くことになります。

中学校で習った\(y=4x^2\)のグラフの頂点を\((0,\ 0)\)から\((-1,\ 1)\)に移動すれば、グラフは完成です。

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平方完成を二次方程式に応用する

最後は二次方程式への応用です。

平方完成は二次関数だけではなく、二次方程式にも応用ができます。

平方完成で二次方程式を解く

例題を通して説明していきますね。

例題

$$2x^2-x-3=0$$

のときの\(x\)を求めよ。

中学生で習う二次方程式ですね。

解き方は因数分解、解の公式、平方完成の3種類があります。どの方法で解くと良いか見分ける方法もありますが、ここでは平方完成で解いてみましょう。

平方完成で二次方程式を解く

平方完成の公式を使うと、$$p=-\displaystyle \frac{b}{2a},\ q=-\displaystyle \frac{b^2-4ac}{4a}$$

より、\(p=\displaystyle \frac{1}{4}\), \(q=-\displaystyle \frac{25}{8}\)となります。

式変形してみましょう。

\begin{eqnarray} 2x^2-x-3 &=& 0 \\
2\left(x-\displaystyle \frac{1}{4} \right)^2-\displaystyle \frac{25}{8}&=& 0\\\\
2\left(x-\displaystyle \frac{1}{4} \right)^2&=&\displaystyle \frac{25}{8}\\\\
\left(x-\displaystyle \frac{1}{4} \right)^2&=&\displaystyle \frac{25}{16}\\\\
x-\displaystyle \frac{1}{4}&=&\pm\displaystyle \frac{5}{4}\\\\
x&=&\displaystyle \frac{3}{2},\ -1\end{eqnarray}

となります。

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平方完成のまとめ

平方完成について解説しました。
ポイントは下記の3つです。

  • 平方完成とはxの2次式$ax^2+bx+c$を$a(x-p)^2+q$の形に変形することです
  • 平方完成は4ステップで式を変形できます。
  • 平方完成をすることで、2次関数の軸と頂点がわかります。

いかがでしたか?
平方完成は2次関数の問題を解くときに、とても重要な式変形です。
何度も練習問題をくり返して、マスターしておきましょう。
このとき計算が複雑になるので、計算ミスには注意してくださいね。

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