数1で習う集合と命題の用語と公式の一覧です。
1記事で1単元の重要項目を全て理解できますよ!
集合の用語と公式
集合
集合は範囲がはっきりしたものの集まりです。集合を作っている1つ1つのものを要素といいます。
要素 $\xi$ が集合 $A$ の要素であるとき、 $x\in A$ (xはAに属する)と表します。また、要素 $\xi$ が集合 $A$ の要素でないとき、 $x\notin A$ (xはAに属さない)と表します。
例えば、集合 $A$「1以上9以下の奇数」の要素は「1,3,5,7,9」で、 $A={1,3,5,7,9}$ と表します。このとき、 $1\in A$ であり、 $4\notin A$ です。
部分集合
集合 $A$ の要素がすべて集合 $B$ の要素であるとき、 $A$ は $B$ の部分集合であり、 $A\subset B$ または $B\supset A$ と表します。
また、集合 $A,B$ の要素がすべて一致しているときは、 $A=B$ と表します。
※参考記事
[数1]部分集合とは?記号、空集合、すべてあげよをわかりやすく解説
空集合
要素が1つもない集合を空集合といい、記号 $\emptyset$ で表します。
※参考記事
[数1]空集合とは?記号、部分集合との関係をわかりやすく解説
共通部分と和集合
共通部分 $A\cap B$ は、集合 $A$ と集合 $B$ の両方に入っている要素全体の集合です。 和集合 $A\cup B$ は、集合 $A$ と集合 $B$ の少なくとも一方にはいっている要素全体の集合です。
例えば、 $A={1,2,3,4},\ B={2,4,6}$ のとき、 $A\cap B={2,4}$ 、 $A\cup B={1,2,3,4,6}$ です。
※参考記事
[数1]和集合とは?記号と読み方、積集合との違い、求め方を解説
全体集合と補集合
ある集合$U$の中で要素や部分集合を考えるとき、$U$を全体集合といいます。 $U$の部分集合$A$に対し、$U$の要素の中で、$A$の要素でないもの全体の集合を$A$の補集合といい、$\bar{A}$で表します。
$U$:10以下の自然数全体の集合 $A$:10以下の偶数全体の集合 $\bar{A}=\left\{1,3,7,9\right\}$
※参考記事
[数1]補集合とは?補集合の記号と問題、性質をわかりやすく解説
ド・モルガンの法則
集合$A,B$について以下の関係が成り立ちます。
※参考記事
[数1]ド・モルガンの法則とは?論理式、証明、3つの場合をわかりやすく解説
命題と条件
命題と条件
命題・・・正しいか正しくないかがはっきりと定まる文や式。
真・・・命題が正しいこと。
偽・・・命題が出しくないこと。
条件・・・xなどの文字を含んだ文や式に値を代入したとき、真偽の判定ができる文や式。
例)「2は偶数である」は命題で、正しいので真です。
「50は大きい数である」は命題ではありません。
「xは偶数である」は命題ではないが、x=2を代入したとき真と判定できるので条件です。
命題と集合
条件pを満たすもの全体の集合をP,条件qを満たすもの全体の集合をQとするとき、以下の関係が成り立ちます。
命題「p⇒q」が真 ⇔ $P\subset Q$
命題「p⇔q」が真 ⇔ $P=Q$
命題「p⇒q」が偽であるときは、Pの要素の中にqの条件を満たさないものが1つ以上あるということです。その要素を反例といいます。
例)命題「$x<5⇒x<10$」は数直線で表すと以下のようになり、$P\subset Q$となっているのがわかります。
よって、この命題は真です。
必要条件・十分条件・必要十分条件
2つの条件 $p$, $q$ において、命題「$p\Rightarrow q$」が真であるとき、$p$ は $q$ であるための十分条件であり、$q$ は $p$ であるための必要条件です。
命題「$p\Rightarrow q$」と命題「$q\Rightarrow p$」が両方とも真であるとき、すなわち「$p\Leftrightarrow q$」であるとき、$p$ は $q$ であるための($q$ は $p$ であるための)必要十分条件です。
※参考記事
[数1]必要条件と十分条件|違いと覚え方をわかりやすく解説
[数1]必要十分条件|覚え方と証明をわかりやすく解説
例)$x$ は実数とします。 命題「$x=-3\Rightarrow x^2=9$」は真です。よって、$x=-3$ は $x^2=9$ であるための十分条件です。$x^2=9$ は $x=-3$ であるための必要条件です。
条件の否定
条件 $p$ の否定($p$ ではない)を $\bar{p}$ で表します。また、条件 $p$, $q$ について以下の関係が成り立ちます。 $p$ かつ $q$ $\Leftrightarrow$ $\bar{p}$ または $\bar{q}$ $p$ または $q$ $\Leftrightarrow$ $\bar{p}$ かつ $\bar{q}$
逆・裏・対偶
命題「$p\Rightarrow q$」に対して、「$q\Rightarrow p$」は逆、$\bar{p}\Rightarrow \bar{q}$ は裏、「$\bar{q}\Rightarrow \bar{p}$」は対偶です。
命題の真偽とその対偶の真偽は一致します。命題の真偽と逆、裏の真偽は必ずしも一致しません。
※参考記事
[数1]集合と命題|逆 裏 対偶をわかりやすく解説
例)命題「$x=1\Rightarrow x>0$」は真 逆「$x>0\Rightarrow x=1$」は偽(反例:$x=2$) 裏「$x\neq 1\Rightarrow x\leq 0$」は偽(反例:$x=2$) 対偶「$x\leq 0\Rightarrow x\neq 1$」は真
命題と証明
対偶を利用する証明
命題「$p\Rightarrow q$」が真であることを証明するとき、その対偶「$\bar{q} \Rightarrow \bar{p}$」が真であることを証明することで、元の命題が真であることが証明できます。
例)$n$は自然数とする。命題「$n^2$が奇数ならば$n$は奇数である」を証明せよ。
証明) この命題の対偶は「$n$が偶数ならば$n^2$は偶数である」。 $n$が偶数のとき、$n=2k$($k$は0以上の整数)と表せる。 このとき、$n^2=\left(2k\right)^2=4k^2=2\left(2k^2\right)$となる。 $2k^2$は整数であるから、$n^2$は偶数である。 よって、命題の対偶が真であるから、元の命題も真である。
背理法による証明
命題が成り立たないと仮定して、矛盾を導き出し、そのことで元の命題が真であることを証明する方法です。
例)命題「$\sqrt3$が無理数ならば$5+\sqrt3$は無理数である」が真であることを証明せよ。
<証明手順> ①仮定($\sqrt3$が無理数)はそのまま、結論($5+\sqrt3$は無理数である)を否定する。 ②計算や推論で矛盾を導き出す。
証明) $5+\sqrt3$が無理数でないと仮定すると、$5+\sqrt3$は有理数である。 有理数を$r$とすると、 $5+\sqrt3=r$であるから $\sqrt3=r-5$ ・・・① $r$が有理数なら、$r-5$は有理数である。よって①は$\sqrt3$が無理数であることに矛盾する。 したがって、$5+\sqrt3$は無理数であり、命題は真である。
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