今回は二次不等式の解き方について解説します。
「二次」の「不等式」。
どちらの言葉も一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
「二次」は$x^2$が含まれる式のときに使われる言葉ですね。たとえば、二次方程式や二次関数などがあります。
「不等式」は<や≧といった不等号をも用いた式で使われる言葉です。なんとなく二次不等式がイメージできたのではないでしょうか?
それではこれから二次不等式について一緒に考えていきましょう。
二次不等式の解とグラフの関係
二次不等式とは、$x^2-4x+3>0$や、$x^2-2x+1≦0$のように、左辺が二次式、右辺が0に変形できる不等式です。
二次不等式を解くときは二次関数のグラフを用いて考えると簡単に解くことができます。
では実際に二次不等式の解を求めていきましょう。
今回は大きく分けて3つの二次不等式を解いていきます。
パターン1 共有点が2つ
1つ目は二次不等式$x^2-4x+3>0$を解きます。
はじめに$y=x^2-4x+3$の二次関数のグラフを考えます。
このグラフはどのようなグラフになるか予想できますか?
実際にグラフをかくと図1です。

今回注目したいのは、x軸とグラフがどこの点で交わっているかというところです。
$y=x^2-4x+3$のグラフは$x=1$と$x=3$の2点でグラフとx軸が交わります。
ちなみにこのx軸と交わる2点を簡単に求める方法があります。
わかるでしょうか?
答えは$x^2-4x+3=0$の二次方程式を解くと$(x-1)(x-3)=0$となり、$x=1,3$を求めることができます。
では二次関数$y=x^2-4x+3$をもとに、二次不等式$x^2-4x+3>0$を解きます。
今回求めるのは、$x^2-4x+3$が$0$より大きくなる部分です。
つまり、グラフのyの値が0より大きくなる部分を求めることと同じです。
グラフのyの値が0より大きくなる部分は図2ですね。

つまり$y>0$となるxの値の範囲は$x<1,3<x$です。
では、不等号の向きが逆になった二次不等式$x^2-4x+3<0$の解を求めることはできますか?
グラフは図3のようになり、今回はyの値が0より小さくなる部分なので斜線部が求める範囲です。

つまり$y<0$となるxの値の範囲は$1<x<3$です。
よって二次不等式$x^2-4x+3<0$の解は$1<x<3$と求めることができました。
パターン2 共有点が1つ
では次に2つ目の二次不等式$x^2-2x+1≦0$の解を求めましょう。
まずは$y=x^2-2x+1$の二次関数のグラフを考えます。
今回は次のようなグラフになります。

先ほどの$y=x^2-4x+3$のグラフと少し違うところがあることに気がつきましたか?
今回はx軸とグラフが接していますね。
つまりグラフとx軸の共有点が1点です。
ではこの接している点のx座標は何でしょうか?
これは二次方程式x^2-2x+1=0を解けばわかりますね。
二次方程式$x^2-2x+1=0$を解くと$(x-1)^2=0$となり、$x=1$と求めることができます。
今回は二次不等式$x^2-2x+1≦0$の解を求めているので、グラフのyの値が0以下の部分が答えになります。
つまりグラフで表すと下記の通りです。

よって、二次不等式$x^2-2x+1\leq0$の解は$x=1$です。
では二次不等式$x^2-2x+1\geq0$の解を求めることはできますか?
答えはすべての実数です。
その理由はグラフを見れば簡単に理解できます!
この場合はグラフの$y$の値が$0$以上、つまりグラフの部分が答えになります。

よってグラフすべてが範囲に含まれます。
したがって二次不等式$x^2-2x+1\geq0$の解はすべての実数です。では二次不等式$x^2-2x+1<0$の解はどうでしょうか? 今回は不等号にイコールが含まれていません。
その点に注意しましょう。
この場合もグラフをかき、$y$の値が$0$より小さくなる部分を示すと下記のグラフです。

よって今回は$y$の値が$0$より小さい部分はありません。
したがって二次不等式$x^2-2x+1<0$の解はなしです。
それでは二次不等式$x^2-2x+1>0$の解は求められますか?
答えは$1$以外のすべての実数です。その理由はグラフをかくとわかりますよね。
$y$の値が$0$より大きい部分は下記のグラフで示す部分です。

$x$軸上の点は含まれないので、「$1$以外」の実数が解になります。
よって2つ目の二次不等式についてまとめると、二次不等式$x^2-2x+1\leq0$の解は$x=1$
二次不等式$x^2-2x+1\geq0$の解はすべての実数
二次不等式$x^2-2x+1<0$の解はなし
二次不等式$x^2-2x+1>0$の解は$1$以外のすべての実数と求めることができます。
パターン3 共有点がない
最後3つ目の二次不等式$x^2-4x+8>0$の解を求めます。
今回も二次関数のグラフを用いて考えます。
二次関数$y=x^2-4x+8$のグラフは以下の図になります。

つまり$x$軸と交わらないグラフになります。
よってグラフと$x$軸に共有点はありません。このとき$y$の値が0より大きくなる部分は、下記のグラフのようになります。

よって二次不等式$x^2-4x+8>0$の解はすべての実数です。
では二次不等式$x^2-4x+8<0$の解はどうでしょうか?
今回は$y$の値が0より小さい部分なので図11です。

よってグラフは求める範囲に存在しません。
以上より、二次不等式$x^2-4x+8<0$の解はなしです
以上のように二次不等式は大きく分けて3つのパターンが存在します。
- グラフとx軸が2点で交わる場合
- グラフとx軸が接する場合
- グラフとx軸が交わらない場合
どのパターンもグラフをかくと、簡単に二次不等式の解を求めることが可能です。
しっかりグラフをかいて、求めたい範囲を自分で見つけられるようにしましょう。
二次不等式の判別式
二次不等式を解くときにもう一つ便利なものがあります。
それが判別式です。
判別式とは二次方程式$ax^2+bx+c=0$の実数解の個数を求めるときに使われていましたね。
判別式は記号Dで表し、$D=b^2-4ac$で求めることができます。
この判別式を今回の二次不等式でも使うことが可能です。
判別式$D>0$ならば、異なる2つの実数解をもちます。
つまり二次関数のグラフで表すと下記になります。

判別式$D=0$ならば、1つの実数解をもつのでグラフはこうなります。

判別式$D<0$ならば実数解をもたないので、グラフはこれです。

つまり判別式の値によって、グラフとx軸が共有点をいくつ持つのかを簡単に調べることができます。 二次関数$y=ax^2+bx+c$のグラフは$D>0$のときx軸と2つの共有点をもちます。
$D=0$のとき、グラフはx軸と接します。
$D<0$のとき、グラフとx軸は共有点をもちません。
以上の3つのパターンを表でまとめてみましょう。

判別式の値によって、グラフとx軸の関係がわかります。
その結果二次不等式も解きやすくなるので、ぜひ判別式とグラフの関係は覚えておきましょう。
例題
では実際にこの判別式を用いて、二次不等式の問題を解いていきます。
二次不等式$x^2-2x+k>0$がすべての解がすべての実数であるような定数kの値の範囲を求めてみましょう。
今回の問題では、二次不等式の解からもとの二次不等式を求める問題です。
このような問題は判別式を使うと簡単に解くことができます。
では一緒に考えていきましょう。
二次不等式$x^2-2x+k>0$がすべての解がすべての実数である場合、グラフは次のようになることが予想できます。

つまり、グラフとx軸に共有点はありません。
よって判別式の値が$D<0$になればこの二次不等式は成り立ちます。 よって判別式をDとすると、$D=(-2)^2-4×1×k$となり、$D=4-4k$, $D<0$より、$4-4k<0$よって$k>1$となり、求めるkの範囲は$k>1$です。
このように判別式を使うと二次不等式の問題を解くことができます。
ぜひ二次不等式の問題を解くときは判別式も使ってみてくださいね。
二次不等式の練習問題
問題
次の二次不等式を解け
(1) $x^2-x-6≦0$
(2) $x^2-8x+16>0$
解答
(1) $-2≦x≦3$
(2) 4以外のすべての実数
解説
(1) $x^2-x-6=0$を解く、$x=-2,3$
つまりグラフとx軸は図のような関係になり、yの値が0以下の部分は斜線部なので
求める解は$-2≦x≦3$です。

(2) $x^2-8x+16=0$を解くと、$x=4$
よって求める解は4以外のすべての実数です。
\ おすすめの参考書! /
二次不等式の解とグラフの関係のまとめ
二次不等式の解き方について解説しました。
ポイントは下記の3つです。
- 二次不等式は二次関数のグラフを使うと簡単に解くことができます。
- 二次関数とx軸の位置関係を調べるときは判別式が便利です。
- 二次不等式の解を求めるときは不等号に=がついているかついていないかに注意しましょう。
二次不等式の問題はグラフをx軸の関係がとても大切です。
毎回、実際にグラフをかいて二次不等式を解くことをおすすめします。
コメント