【集中力】大幅アップの勉強タイマー

[数2]二項定理とは?公式、パスカルの三角形、係数、一般項をわかりやすく解説

二項定理について、次の3つの項目を順番に解説します。

  1. 二項定理の仕組みと覚え方のポイント
  2. パスカルの三角形と二項係数との関係
  3. 二項定理の一般項を使った問題の解き方

二項定理は展開や数列など、たくさんの分野で使える定理なので、しっかり理解して得点源にしていきましょう!

目次

二項定理とは?

二項定理とは、2項の式$a+b$の$n$乗の$(a+b)^n$を展開をするときに使う定理です。

$(a+b)^2$や$(a+b)^3$は公式がありましたね。
分配法則で展開することもできます。

しかし$n$乗の$n$の値が$4,5,6,・・・$と大きくなると計算が大変です。そこで使うのが二項定理です。

《二項定理》
$$(a+b)^n={}_n \mathrm{C}_0+{}_n \mathrm{C}_1a^{n-1}b+{}_n \mathrm{C}_2a^{n-2}b^2+…+{}_n \mathrm{C}_ra^{n-r}b^r+…+{}_n \mathrm{C}{n-1}ab^{n-1}+{}_n \mathrm{C}_0b^n$$
※スクロールできます。

ここで${}_n \mathrm{C}_ra^{n-r}b^r$を$(a+b)^n$の展開式の一般項といい、係数${}_n \mathrm{C}_r$を二項係数といいます。

二項定理の式はとても長くて難しそうですが規則性を覚えると意外と簡単です。

※参考記事
[数1]項とは?項の意味と求め方、単項式と多項式で解説

[数1]係数とは?係数の意味と求め方、単項式と多項式で解説

二項定理の仕組み

$(a+b)^3$の展開で二項定理の仕組みを解説します。

$$(a+b)^3=(a+b)(a+b)(a+b)=a^3+3a^2b+3ab^2+b^3$$

展開式の$a^2b$の係数3について考えます。
$a^2b$の項は3個の(a+b)のうち2個からa、残りの1個からbを取って掛けたものです。

\begin{eqnarray}
(a+b)(a+b)(a+b)&→&aab=a^2b
(a+b)(a+b)(a+b)&→&aba=a^2b
(a+b)(a+b)(a+b)&→&baa=a^2b
\end{eqnarray}

(n個からr個とった組合せ${}_n \mathrm{C}_r$の計算です。)

つまり$a^2b$の項は3個あるので、合わせると$a^2b$の係数は「3」となります。
同様に、$a^3$の係数の場合は、3個の$(a+b)$から$b$を0個選ぶという意味ですね。

つまり、${}_3 \mathrm{C}_0=1$です。

$ab^2$の係数は3個の$(a+b)$から$b$を2個選ぶ、つまり${}_3 \mathrm{C}_2=3$です。
$b^3$の係数は3個の$(a+b)$から$b$を3個選ぶので、${}_3 \mathrm{C}_3=1$ となります。

このように、それぞれの項の係数は組合せの計算で求まります。
$(a+b)^3$を二項定理で展開すると下記のようになります。

\begin{eqnarray}
(a+b)^3&=&{}_3 \mathrm{C}_0a^3+{}_3 \mathrm{C}_1a^2b+{}_3 \mathrm{C}_2ab^2+{}_3 \mathrm{C}_3b^3\\
&=&a^3+3a^2b+3ab^2+b^3
\end{eqnarray}

係数を左から並べてみましょう。

$${}_3 \mathrm{C}_0→{}_3 \mathrm{C}_1→{}_3 \mathrm{C}_2→{}_3 \mathrm{C}_3$$

$C$の左の数はすべて3、右の数は0→1→2→3となっています。

項を左から並べてみましょう。

$$a^3→a^2b→ab^2→b^3$$

aは3乗から0乗に順に減っていきbは0乗から3乗に増えていきます。
0乗は$a^0=b^0=1$なので通常書きません。

このような規則性のある式になるので、4乗、5乗とn乗の数が増えても式が作れますね。
ちなみに、4乗だと下記の式になります。

$$(a+b)^4 = {}_{4}\mathrm{C}{0}a^4b^0 + {}_{4}\mathrm{C}{1}a^3b^1 + {}_{4}\mathrm{C}{2}a^2b^2 + {}_{4}\mathrm{C}{3}a^1b^3 + {}_{4}\mathrm{C}{4}a^0b^4$$

規則性をしっかり覚えて使いましょう。

パスカルの三角形

パスカルの三角形とは、1段目に1、2段目以降は両端に1を配置し、両端以外には上の段の2つの数の和を配置して作られた三角形状の数の配列です。

この数の配列は、(a+b)を0乗、1乗、2乗、3乗・・・と展開をしたときの各項の係数を三角形状に並べたものと一致します。つまり、二項係数を並べたものと一致するということです。

例えば、$(a+b)^4$の展開にパスカルの三角形を利用してみましょう。

$$(a+b)^4=1a^4+4a^3b+6a^2b^2+4ab^3+1b^4$$

上記の式のように、係数に数字を当てはめていけばいいだけです。

パスカルの三角形を使うと、係数の計算を省略できるというメリットがあります。

二項定理の係数と一般項

二項定理の${}_n \mathrm{C}_ra^{n-r}b^r$を$(a+b)^n$の展開式の一般項といいます。
係数${}_n \mathrm{C}_r$を二項係数といいます。

※参考記事
[数1]係数とは?係数の意味と求め方、単項式と多項式で解説

一般項を使うと、指定された項の係数だけを簡単に求めれます。例題で解説します。

《例題》

$(3x-1)^4$の展開式における$x^3$の項の係数を求めよ。

考え方

欲しいのは$x^3$の項の係数だけなのですべて展開する必要はありません。
$(3x-1)^4$の展開式の一般項は、$n=4,\ a=3x,\ b=-1$を代入して、${}_4 \mathrm{C}_r(3x)^{4-r}(-1)={}_4 \mathrm{C}_r 3^{4-r}(-1)^rx^{4-r}$となります。

この${}_4 \mathrm{C}_r(3)^{4-r}(-1)^r$の部分が$x^3$の係数部分です。
(3xの「3」は係数の一部となる数なので忘れないようにしましょう!)

$x^3$の項は、$4-r=3$であるから、$r=1$のときです。
よって、求める係数は$n=4,\ a=3x,\ b=-1$を代入して、${}_4 \mathrm{C}_r(3x)^{4-r}(-1)={}_4 \mathrm{C}_r 3^{4-r}(-1)^rx^{4-r}$に$r=1$を代入して
${}_4 \mathrm{C}_1\dot 3^3\dot(-1)^1=4・27・(-1)=-108$です。

指定された項の係数だけを求めたいときには一般項の式を使いましょう。

\ おすすめの参考書! /

二項定理のまとめ

二項定理について解説しました。
ポイントは下記の3つです。

  1. 二項定理は$(a+b)^n$の展開をするときに使う定理です。
    式の規則性をしっかり覚えましょう。
  2. パスカルの三角形を使うと、展開式の係数を簡単に求めれます。
  3. ある特定の項の係数だけを求めるときは、二項定理の一般項の式を使います。

二項定理の式は長くて覚えにくいと思われがちですが、規則性さえわかればそんなに難しくありません。問題をたくさん解いてマスターしましょう。

関連記事

まとめ記事

[数2]式と証明の公式と用語一覧

参考記事

展開公式|高校数学、公式一覧、3つ、4つ、三乗を紹介

因数分解公式一覧(高校数学)

因数分解とは?公式やたすきがけなど、5つのやり方を解説

[数2]二項定理とは?公式、パスカルの三角形、係数、一般項をわかりやすく解説

[数2]二項定理の証明をわかりやすく解説|数学的帰納法と組み合わせ

[数2]整式の割り算|余りと2つのやり方筆算と恒等式を解説

[数2]恒等式|方程式と恒等式の違いと恒等式の使い方を解説

[数2]不等式の証明、パターン、等号成立、コツ、絶対値をわかりやすく解説

[数2]相加平均と相乗平均の大小関係、証明、いつ使う?わかりやすく解説

コメント

コメントする

目次