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[数2]共役な複素数とは?読み方、性質、証明、足し算と掛け算を解説

共役な複素数について以下の3つを詳しく解説します。

  • 共役な複素数とは何か
  • 共役な複素数の性質5つ
  • 共役な複素数同士の加法と乗法

例題もあります。問題を解く参考にしてください。

目次

共役な複素数とは?

共役(きょうやく)な複素数とは、ある複素数$a+bi$ ($a,b$は実数)に対して、$a-bi$となる複素数のことです。例えば、$2+3i$と$2-3i$は互いに共役な複素数です。$-3+5i$と$-3-5i$も互いに共役な複素数です。つまり、複素数の虚部の符号だけが異なる関係です。

複素数の中には実数も含まれますが、実数$a$の共役な複素数は$a$です。実数$a=a+0i$と考えると、共役な複素数は$a-0i$となり、つまり$a$となります。例えば、実数$3$の共役な複素数は$3$です。$-3$としないように気を付けましょう。

複素数$z$と共役な複素数は$\bar{z}$と表します。すなわち$z=a+bi$に対して、$\bar{z}=a-bi$です。

共役な複素数の例

$z=3+i$…$\bar{z}=3-i$
$z=2i$…$\bar{z}=-2i$
$z=-2$…$\bar{z}=-2$
$z=0$…$\bar{z}=0$

共役な複素数の性質

共役な複素数の5つの性質について解説します。

1.複素数$\alpha$に対して、$\overline{\alpha}$の共役な複素数は$z$である。$\overline{\overline{\alpha}}=\alpha$

複素数$\alpha=2+3i$の共役な複素数は$\overline{\alpha}=2-3i$となり、さらにその共役な複素数は$\overline{\overline{\alpha}}=2+3i$で、元の$\alpha$に戻ります。

2.2つの複素数$\alpha,\beta$について、$\overline{\alpha+\beta}=\overline{\alpha}+\overline{\beta}$

$\alpha=a+bi,\beta=c+di$とすると、
$\alpha+\beta=(a+bi)+(c+di)=(a+c)+(b+d)i→\overline{\alpha+\beta}=(a+c)-(b+d)i$
$\overline{\alpha}+\overline{\beta}=(a-bi)+(c-di)=(a+c)-(b+d)i$となり、$\overline{\alpha+\beta}$と等しくなります。
同様に、以下3つの性質が成り立ちます。

3.$\overline{\alpha-\beta}=\overline{\alpha}-\overline{\beta}$
4.$\overline{\alpha\beta}=\overline{\alpha}\overline{\beta}$
5.$\overline{\alpha/\beta}=\overline{\alpha}/\overline{\beta}$

共役な複素数を使った問題を解いてみましょう。

《例題》$\alpha=2+i,\beta=3-2i$のとき、$\overline{\alpha+\beta}$、$\overline{\alpha\beta}$、$\overline{\alpha/\beta}$を求めよ。
共役な複素数の性質と、$\overline{\alpha}=2-i,\overline{\beta}=3+2i$を使うことで簡単に計算できます。

$\overline{\alpha+\beta}=\overline{\alpha}+\overline{\beta}$ ←共役な複素数の性質1です。
$=(2-i)+(3+2i)$
$=5+i$…(答)

$\overline{\alpha\beta}=\overline{\alpha}\overline{\beta}$ ←共役な複素数の性質4です。
$=(2-i)(3+2i)$
$=6+4i-3i-2i^2$ ←$i^2=-1$ですね。忘れないように計算しましょう。
$=6+i+2$
$=8+i$…(答)

$\overline{\alpha/\beta}=\overline{\alpha}/\overline{\beta}$ ←共役な複素数の性質5です。   
$=(2-i)/(3+2i)$ ←分母に$i$があるときは、分子、分母に共役な複素数$3-i$をかけます。
$={(2-i)(3-2i)}/{(3+2i)(3-2i)}$
$=(6-4i-3i+2)/(9-4i^2)$ ←$i^2=-1$ですね。
$=4/13-7i/13$ …(答) ←$a+bi$の形に整理します。

分数の分母に$i$があるときは、共役な複素数を掛けて、実数にします。そうすると、$a+bi$の形に整理できます。

共役な複素数の足し算と掛け算

複素数$z=a+bi$と共役な複素数$\bar{z}=a-bi$には以下の2つの公式が成り立ちます。

  1. $z+\bar{z}=2a$
    $(a+bi)+(a-bi)=a+a+bi-bi=2a$です。
  2. $z\cdot\bar{z}=(a+bi)(a-bi)=a^2+b^2$
    展開すると$a^2-b^2i^2$となり、$i^2=-1$を代入します。

共役な複素数同士は、足しても掛けても$i$がなくなり、実数になります。

公式を使って問題を解いてみましょう。

《例題》$z=2+3i$のとき、$z+\bar{z}$、$z\cdot\bar{z}$を求めよ。

$z+\bar{z}=2\cdot2$ ←公式1です。
$=4$

$z\cdot\bar{z}=2^2+3^2$ ←公式2です。
$=4+9$
$=13$

以上のように、加法・乗法ともに実数になります。

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まとめ

共役な複素数について解説しました。
ここまで読んでいただきありがとうございます。

ポイントは下記の3つです。

  1. $a,b$を実数として、複素数$a+bi$の共役な複素数は$a-bi$です。複素数$z$の共役な複素数は$\overline{z}$と表します。
  2. 共役な複素数には5つの性質があります。
  3. 複素数$z=a+bi$と$\overline{z}=a-bi$は足すと$2a$、掛けると$a^2+b^2$です。どちらも実数です。

共役な複素数に関する式はたくさんありますが、比較的覚えやすい形です。どんどん問題で利用しましょう。

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