数学2で習う式と証明の公式・用語の一覧です。
予習や復習、テスト対策にご利用ください!
式と計算
3次式の展開の公式
3次式の展開の公式は以下の4つです。
① $ \left(a+b\right)^3=a^3+3a^2b+3ab^2+b^3 $
② $ \left(a-b\right)^3=a^3-3a^2b+3ab^2-b^3 $
③ $ \left(a+b\right)\left(a^2-ab+b^2\right)=a^3+b^3 $
④ $ \left(a-b\right)\left(a^2+ab+b^2\right)=a^3-b^3 $
※参考記事
展開公式|高校数学、公式一覧、3つ、4つ、三乗を紹介
例題:
- $$ \left(x+2\right)^3=x^3+3\cdot x^2 \cdot 2+3\cdot x \cdot 2^2+2^3=x^3+6x^2+12x+8 $$
- $$ \left(x-2y\right)^3=x^3-3\cdot x^2 \cdot 2y+3\cdot x \cdot 2y^2-2y^3=x^3-6x^2y+12xy^2-8y^3 $$
- $$ \left(x+2\right)\left(x^2-2x+4\right)=x^3+2^3=x^3+8 $$
- $$ \left(2x-3y\right)\left(4x^2+6xy+9y^2\right)=8x^3-27y^3 $$
3次式の因数分解の公式
3次式の因数分解の公式は以下の4つです。展開の公式の逆です。
① $ a^3+b^3=\left(a+b\right)\left(a^2-ab+b^2\right) $
② $ a^3-b^3=\left(a-b\right)\left(a^2+ab+b^2\right) $
③ $ a^3+3a^2b+3ab^2+b^3=\left(a+b\right)^3 $
④ $ a^3-3a^2b+3ab^2-b^3=\left(a-b\right)^3 $
※参考記事
因数分解公式一覧(高校数学)
因数分解とは?公式やたすきがけなど、5つのやり方を解説
例題:
- $$ x^3+8=x^3+2^3=\left(x+2\right)\left(x^2-2x+2^2\right)=\left(x+2\right)\left(x^2-2x+4\right) $$
- $$ 8x^3-27=\left(2x\right)^3-3^3=\left(2x-3\right)\left(2x^2+2x\cdot3+3^2\right)=\left(2x-3\right)\left(2x^2+6x+9\right) $$
- $$ x^3+3x^2+3x+1=x^3+3\cdot x^2 \cdot 1+3\cdot x \cdot 1^2+1^3=\left(x+1\right)^3 $$
- $$ x^3-9x^2+27x-27=x^3-3\cdot x^2 \cdot 3+3\cdot x \cdot 3^2-3^3=\left(x-3\right)^3 $$
等式と不等式の証明
二項定理
パスカルの三角形
パスカルの三角形は、$\left(a+b\right)^n$ $(n=1,2,3,\dots)$ を展開したときの各項の係数を三角形上に並べたものです。規則性のある覚えやすい配列で、$\left(a+b\right)^n$の展開をするときに便利です。
$\begin{aligned}
\left(a+b\right)^1 &= 1a+1b \\
\left(a+b\right)^2 &= {1a}^2 + 2ab + {1b}^2 \\
\left(a+b\right)^3 &= {1a}^3 + 3a^2b + 3ab^2 + {1b}^3 \\
\left(a+b\right)^4 &= {1a}^4 + 4a^3b + 6a^2b^2 + 4ab^3 + {1b}^4 \end{aligned}$

二項定理
$\left(a+b\right)^n$の展開をするときに利用する公式です。各項の係数を組合せの総数${{n}C{r}}$を使い求めます。
二項定理の${{_n}C{_r}} a^{n-r}b^r$は一般項といい、特定の項の係数を求めるときに利用します。

※参考記事
[数2]二項定理とは?公式、パスカルの三角形、係数、一般項をわかりやすく解説
[数2]二項定理の証明をわかりやすく解説|数学的帰納法と組み合わせ
例題1)
$\left(x-3\right)^4$
(解答)
$$={{_4}C{_0}}x^4-{{_4}C{_1}}x^3\left(-3\right)+{{_4}C{_2}}x^2\left(-3\right)^2-{{_4}C{_3}}x\left(-3\right)^3+{{_4}C{_4}}\left(-3\right)^4$$
$$=x^4-12x^3+54x^2-108x+81$$
例題2)$\left(3x-1\right)^4$の展開式における$x^3$の係数を求めよ。
(解答)
$\left(3x-1\right)^4$の展開式の一般項は${{_4}C{_r}}3^{4-r}\left(-1\right)^rx^{4-r}$です。
$x^3$の項は、$4-r=3$より$r=1$のときです。
よって、求める係数は${{_4}C{_1}}3^{4-1}\left(-1\right)^1=4\times27\times(-1)=-108$
整式の割り算
整式$A$を整式$B$で割った商を$Q$余りを$R$とすると、$A=BQ+R$が成り立ちます。整式の割り算は(例)のように筆算で計算します。
※参考記事
[数2]整式の割り算|余りと2つのやり方筆算と恒等式を解説
例)$A={2x}^3-5x^2+5x-3$、$B=2x-3$

商・・・$x^2-x+1$、余り・・・$0$
分数式
約分
分数式の分母と分子に共通因数が含まれるときは、約分できます。
$ \dfrac{A\times C}{B\times C}=\dfrac{A}{B} $
※参考記事
[小5]約分とは?仕方、問題、裏ワザ|約分がわからない人必見
例1)$ \dfrac{6xy^3}{3x^2y}=\dfrac{2y^2}{x} $
例2)$ \dfrac{x(x-4)}{(x-2)(x-4)}=\dfrac{x}{x-2} $
乗法・除法
分数式の乗法・除法は分数と同様に行います。
① $ \dfrac{A}{B}\times\dfrac{C}{D}=\dfrac{AC}{BD}$
② $ AB\div CD=AB\times\dfrac{D}{C}=AD\times\dfrac{B}{C} $
例)
- $$ \dfrac{x^2+x}{x+8}\times\dfrac{x^2+7x-8}{x^2-x}=\dfrac{x(x+1)}{x+8}\times\dfrac{(x+8)(x-1)}{x(x-1)}=x+1 $$
- $$ \dfrac{2}{x^2-9}\div\dfrac{x-5}{x^2-8x+15}=\dfrac{2}{(x+3)(x-3)}\times\dfrac{(x-3)(x-5)}{x-5}=\dfrac{2}{x+3} $$
加法・減法
分数式の加法・減法は分数と同様、分母をそろえて計算します。
$ \dfrac{A}{C}+\dfrac{B}{C}=\dfrac{A+B}{C}$
$\dfrac{A}{C}-\dfrac{B}{C}=\dfrac{A-B}{C} $
例)
- $$ \dfrac{5x-2}{3x+2}+\dfrac{x-3}{3x+2}=\dfrac{5x-2+x-3}{3x+2}=\dfrac{4x-5}{3x+2} $$
- $$ \dfrac{1}{x-1}-\dfrac{1}{x(x-1)}=\dfrac{x}{x(x-1)}-\dfrac{1}{x(x-1)}=\dfrac{x-1}{x(x-1)}=\dfrac{1}{x} $$
恒等式
文字を含む等式で、文字にどのような値を代入しても恒(つね)に左辺=右辺の等式が成り立つ式を恒等式といいます。
恒等式には以下の性質があります。
① $ ax^2+bx+c=0\ $ がxについての恒等式である ⇔ $ a=b=c=0 $
② $ ax^2+bx+c=a’x^2+b’x+c’$がxについての恒等式である ⇔ $ a=a’,\ \ b$
※参考記事
[数2]恒等式|方程式と恒等式の違いと恒等式の使い方を解説
等式と不等式の証明
等式の証明
$a^3+b^3=\left(a+b\right)^3-3ab\left(a+b\right)$であることを証明する。
(証明)
右辺$=\left(a^3+3a^2b+3ab^2+b^3\right)-3a^2b-3ab^2$
$=a^3+b^3$
$=$右辺
よって、$a^3+b^3=\left(a+b\right)^3-3ab\left(a+b\right)$が成り立つ。
不等式の証明
実数の大小関係
実数の大小関係について以下の6つの性質が成り立ちます。
① $a>b,\ b>c$ならば$a>c$
② $a>b$ならば$a+c>b+c$,$a-c>b-c$
③ $a>b,\ c>0$ならば$ac>bc$,$\frac{a}{c}>\frac{b}{c}$
④ $a>b,\ c<0$ならば$acb$ならば$a-b>0$
⑥ $a<b$ならば$a-b<0$
不等式$A>B$を証明するときは、$A-B>0$となることを証明します。
※参考記事
[数2]不等式の証明、パターン、等号成立、コツ、絶対値をわかりやすく解説
例題)$a>b$のとき、$4a-3b>3a-2b$を証明せよ。
(証明)
左辺$-$右辺$=\left(4a-3b\right)-\left(3a-2b\right)$
$=4a-3a-3b+2b$
$=a-b$
$a>b$より$a-b>0$ よって左辺$-$右辺$>0$
したがって$4a-3b>3a-2b$が成り立つ。
実数の平方の性質
① 実数$a$について$a^2\geqq0$(等号が成り立つのは$a=0$のとき)
② 実数$a,b$について$a^2+b^2\geqq0$(等号が成り立つのは$a=b=0$のとき)
平方の大小関係
$a>0,\ b>0$のとき、$a^2>b^2\ \ \Leftrightarrow\ \ a>b$
$a^2\geqq b^2\ \ \Leftrightarrow\ \ a\geqq b$
例題)
$a>1$のとき、不等式 $2+a>\sqrt{5+4a}$ を証明せよ。
(証明)
左辺$2-$右辺$2=2+a^2-5+4a^2=4+4a+a^2-5-4a=a^2-1$ $a>1$であるから、
$a^2>1$ となり、$a^2-1>0$である。
よって、$(2+a)^2-(\sqrt{5+4a})^2>0$となり$(2+a)^2>(\sqrt{5+4a})^2$ したがって、$2+a>\sqrt{5+4a}$
相加平均・相乗平均
2つの数$a,b$について、$\dfrac{a+b}{2}$を相加平均、$\sqrt{ab}$を相乗平均といいます。
相加平均と相乗平均には以下の大小関係が成り立ちます。
$a>0,\ b>0$のとき、$\dfrac{a+b}{2}\geqq\sqrt{ab}$
等号が成り立つのは$a=b$のとき
※参考記事
[数2]相加平均と相乗平均の大小関係、証明、いつ使う?わかりやすく解説
例題)
$x>0$のとき、$x+\dfrac{4}{x}\geqq4$が成り立つことを証明せよ。また、等号が成り立つのはどのようなときか。
(証明)
$x>0,\ \dfrac{4}{x}>0$であるから、相加平均、相乗平均の大小関係により $x+\dfrac{4}{x}\geqq2\sqrt{x\times\dfrac{4}{x}}=2\times2=4$
よって、$x+\dfrac{4}{x}\geqq4$ 等号が成り立つのは$x>0$かつ$x=\dfrac{4}{x}$のとき、つまり$x=2$のとき。
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