剰余の定理とは、簡単にいうと余りを求める定理です。
- 剰余の定理が何なのか詳しく知りたい!
- 剰余の定理の証明が知りたい。
- 二次式で割る場合の剰余の定理が重解だった場合のやり方を知りたい
- 剰余の定理の問題を解いていきたい!
上記のような方に向けた記事を作成しました!
剰余の定理とは
冒頭にもお伝えしましたが、剰余の定理とは「あまりを求める定理」になります。
例題を通して詳しく解説していきますね。
剰余の定理|例題(整数)
余剰の定理について簡単に理解するために、整数で説明します。
\(11\div 3=3\dots2\)ですね。
数式で表すと\(11=3\times3+2\)と書くこともできます。
\(p\)を\(q\)で割った時の商を\(a\)、余りを\(b\)とすると、
$$p=aq+b$$
の式が成り立ちます。\(p\)が多項式の場合に、余りの\(b\)を求める定理が余剰の定理です。
※余剰の定理は多項式に適用できる定理なので、整数には適用できません。
剰余の定理|例題(多項式)
では、多項式での説明になります。
\(x^2+2x-3\)を\(x-3\)で割った時の余りを求めよ。
今回は多項式を割るため、剰余の定理を使うことができる。
ここで、剰余の定理を使うと
\begin{eqnarray} P(x) &=& x^2+2x-3 \\
a &=& 3\ なので \\
P(a) &=& 3^2+2\times3-3\\
&=& 12\end{eqnarray}
となり、余りは\(12\)であるとわかる。
つまり、
$$x^2+2x-3=(x-3)(x+5)+12$$
となることが分かる。
剰余の定理の証明
ここまで剰余の定理の使い方を見てきた。
ここからは、剰余の定理の証明を行っていきたい。
多項式\(P(x)\)を\((x-a)\)で割った時の商を\(Q(x)\), 余りを\(b\)とすると以下の式が成り立つ。
$$P(x)=Q(x)\dot (x-a)+b$$
\(x=a\)を代入すると、\((x-a)=0\)となるため、
$$P(a)=b$$
が成立する。
以上より、多項式である\(P(x)\)を\((x-a\)で割ったあまりは\(P(a)\)で表すことができる。
剰余の定理|\(\left( ax-b\right)\)で割った場合
多項式\(P(x)\)を\((ax-b)\)で割った場合を考えてみたいと思います。
と、言ってもやることは基本的に同じです。
先に答えを言うと、余りは\(P\left( \displaystyle \frac{b}{a}\right)\)となります。
多項式\(P(x)\)を\((ax-b)\)で割った時の商を\(Q(x)\), 余りを\(c\)とすると以下の式が成り立つ。
$$P(x)=Q(x)\dot (ax-b)+c$$
\(x=\displaystyle \frac{b}{a}\)を代入すると、\((ax-b)=0\)となるため、
$$P\left( \displaystyle \frac{b}{a}\right)=c$$
が成立する。
以上より、多項式である\(P(x)\)を\((ax-b)\)で割ったあまりは\( P \left( \displaystyle \frac{b}{a} \right) \)で表すことができる。
練習問題
\(2x^2-7x-4\)を\(2x+3\)で割った時の余りを求めよ。
\(2x+3\)で割っているため\(a=2,\ b=-3\)である。
\(b=-3\)である点に注意!
答え:11
\(P\left( \displaystyle \frac{-3}{2}\right)\)を計算すれば良い。
\begin{eqnarray} & &2\times\left( \displaystyle \frac{-3}{2}\right)^2-7\times \left( \displaystyle \frac{-3}{2}\right)-4\\&=&\displaystyle \frac{9}{2}+\displaystyle \frac{21}{2}-4\\&=&15-4\\&=&11 \end{eqnarray}
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剰余の定理|二次式で割る場合
これまでは一次式で割っていましたが、二次式で割る場合を考えてみます。
例題
\(x^4+2x^2-15\)を\(x^2-2x-3\)で割った時の余りを求めよ。
基本的にやることは同じになりますが、余りの設定がポイントになります。
余りを\(ax+b\)とおく必要があります。二次式で割っているので余りは一次式となるからです。
(これまでは一次式で割っていたから、余りは0次式の整数だった。)
\(x^4+2x^2-15\)を\(x^2-2x-3\)で割った時の商を\(Q(x)\), 余りを\(ax+b\)とする。
$$x^4+2x^2-15=Q(x)(x^2-2x-3)+ax+b$$
と書くことができる。
\(x^2-2x-3=0\)の二次方程式を解くと、\(x=3,\ -1\)となる。
\(P(3)=3a+b\), \(P(-1)=-x+b\)であることを利用して、
\begin{eqnarray} P\left( 3\right) &=& 3^4+2\times3^2-15=84 \\
P(-1)&=&(-1)^4+2(-1)^2-15 =-12 \end{eqnarray}
なので、
\begin{eqnarray} 3a+b &=& 84 \\-a+b &=& -12 \end{eqnarray}
となる。これを解くと、
\(a=24,\ b=12\)となる。
よって、余りは\(24x+12\)となる
剰余の定理|重解だった場合
二次式で割る場合の剰余の定理を考えましたが、もし割る二次式が\(0\)になる変数\(x\)の解が重解だった場合を説明します。
例題
\(x^4+8\)を\((x-1)^2\)で割ったときの余りを求めよ。
\((x-1)^2=0\)の解は重解で\(x=1\)です。
重解の場合は、余りを求めるには情報が足りないため、微分する必要があります。
\(x^4+8\)を\((x-1)^2\)で割ったときの商を\(Q(x)\), 余りを\(ax+b\)とする。
$$x^4+8=(x-1)^2Q(x)+ax+b\dots(1)$$
\((x-1)^2=0\)を解くと\(x=1\)であり、
\(P(1)=1^4+8=9\)なので、
$$a+b=9\dots(2)$$
を得ることができる。しかし、これでは解けないので(1)を\(x\)で微分する。
$$4x^3=2(x-1)Q(x)+(x-1)^2Q'(x)+a\dots(3)$$
\((3)\)に\(x=1\)を代入すると、\(4=a\)となる。
\((2)\)より、\(a=4,\ b=5\)である。
以上より、余りは\(4x+5\)となる。
重解で情報が足りない時は微分と覚えましょう!
まとめ|剰余の定理
剰余の定理について解説してきました!
- 剰余の定理は多項式を割るときの余りを求める定理
- \((x-a)\)で割るときは\(P(a)\)が余り
- \((ax-b)\)で割るときは\(P\left( \displaystyle \frac{b}{a}\right)\)が余り
- 二次式で割るときは余りを\(ax+b\)とおくこと!
- 割る二次式が重解のときは、情報が足りないので微分する
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