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[数2]三角関数の加法定理|覚え方と証明とその応用

加法定理

\begin{eqnarray}
\sin (A \pm B) &=& \sin A \cos B \pm \cos A \sin B\\ \\
\cos (A \pm B) &=& \cos A \cos B \mp \sin A \sin B\\ \\
\tan (A \pm B) &=& \displaystyle \frac{\tan A \pm \tan B}{1 \mp \tan A \tan B}
\end{eqnarray}

加法定理は三角関数のなかでも、最重要と言ってもいい定理です。

なぜなら使い所がとっても多いから!

などなど。とにかく絶対に覚えておくべき定理です。

今回は加法定理とは何か、その証明と覚え方、応用の紹介をします。

目次

加法定理とは|6つの式である

そもそも加法定理とは何でしょうか。

加法定理とは、以下の6つの式の総称です。

加法定理

\begin{eqnarray}
\sin (A \pm B) &=& \sin A \cos B \pm \cos A \sin B\\ \\
\cos (A \pm B) &=& \cos A \cos B \mp \sin A \sin B\\ \\
\tan (A \pm B) &=& \displaystyle \frac{\tan A \pm \tan B}{1 \mp \tan A \tan B}
\end{eqnarray}

少しごちゃごちゃしていますが、しっかり証明する公式は1つだけ!

$$\cos(α-β)=\cosα\cosβ+\sinα\sinβ$$

残り5つは、この式を変形して証明できるのです!

では証明していきます。

加法定理の証明

加法定理は3ステップで証明していきます。

加法定理を証明するための図
加法定理を証明するための図

上記のような半径\(1\)の円を書いて、円上に点Pと点Qを取ります。

ここでPとQの座標はそれぞれ$$P (\cos A,\ \sin A),\ Q(\cos B, \sin B)$$です。

この時の\(△OPQ\)の辺\(PQ\)を2通りの方法で求めて、イコールで結ぶと加法定理を証明できます。

加法定理 証明3ステップ

  1. 辺PQを三平方の定理で求める
  2. 辺PQを余弦定理で求める
  3. \(1\)と\(2\)で求めた辺PQをイコールで結ぶ

では実際に証明していきましょう!

座標を用いた加法定理の証明

加法定理証明|ステップ1三平方の定理

加法定理を証明するための図(再掲)
加法定理を証明するための図(再掲)

点\(P,\ Q\)の座標はそれぞれ、

$$P (\cos A,\ \sin A),\ Q(\cos B, \sin B)$$

このとき、辺PQの大きさは三平方の定理より、

$$PQ^2=(\cos α- \cos β)^2+(\sin α- \sin β)^2$$

となる。

加法定理証明|ステップ2 余弦定理

ここで余弦定理を使います!

余弦定理

三角形\(ABC\)において、\(AB=c,\ BC=a,\ CA=b\)とするとき下記の式が成り立つ。

$$a^2=b^2+c^2-2bc\cos A\\
b^2=c^2+a^2-2ca \cos B\\
c^2=a^2+b^2-2ab \cos C$$

加法定理を証明するための図(再掲)
加法定理を証明するための図(再掲)

△OPQに余弦定理を適用すると、

$$PQ^2=p^2+q^2-2pq\cosθ$$

ここで\(θ=β-α\)であるから、

$$\cos θ=\cos (β-α)$$

次に\(p\)と\(q\)の値はそれぞれ円の半径と等しいので、

$$p=q=1$$

以上より、

\begin{eqnarray} PQ^2
&=&p^2+q^2-2pq\cosθ \\
&=& 1 +1-2\cos (β-α)\\
&=&2\{1-\cos (β-α)\}
\end{eqnarray}

加法定理証明 ステップ3 イコールで結ぶ

三平方の定理より求めた\(PQ\):

$$PQ^2=(\cos α- \cos β)^2+(\sin α- \sin β)^2\cdots(1)$$

余弦定理より求めた\(PQ\):

$$PQ^2=2\{1-\cos (β-α)\}\cdots(2)$$

\((1)=(2)\)とすると、

$$(\cos α- \cos β)^2+(\sin α- \sin β)^2=2\{1-\cos (β-α)\}$$

となる。

\begin{eqnarray}
左辺&=&\cos^2 α-2\cos α \cos β+\cos^2 β+\sin^2 α -2\sin α \sin β+\sin^2 β\\\\
& &\sin^2 α+\cos^2 α=1より、\\\\
&=&2-2\cos α \cos β-2\sin α \sin β
\end{eqnarray}

まとめると、

\begin{eqnarray}
2(1-\cos α \cos β-\sin α \sin β)&=&2\{1-\cos (β-α)\}\\
-\cos (β-α)&=&-\cos α \cos β-\sin α \sin β\\\\
\cos (-x)&=&\cos xなので\\\\
\cos (α-β)&=&\cos α \cos β+\sin α \sin β
\end{eqnarray}

証明完了です!

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加法定理|残り5式の証明

では、求めた式を使って6式とも証明しちゃいます!

と、その前に三角関数の基礎的な式は覚えていますか?

一度復習しておきましょう。

\begin{eqnarray}
\sin (-x)&=& -\sin x \\
\cos (-x)&=& \cos x \\
\sin (x-\displaystyle \frac{\pi}{2})&=& \cos x \\
\cos (x-\displaystyle \frac{\pi}{2})&=& -\sin x \
&=& 1 \end{eqnarray}

これら4つの式を使えば、証明できますよ!

加法定理の証明|\(\cos(α+β)\)

1つ目はこの式から

$$\cos(α+β)=\cosα\cosβ-\sinα\sinβ$$

さっき証明した式を見てみましょう。

$$\cos(α-β)=\cos α\cos β+\sin α\sin β$$

この式\(β\)に\(-C\)を代入してみます。

\begin{eqnarray}
\cos (α-β)&=&\cos α \cos β+\sin α \sin β\\
\cos (α-(-C))&=&\cos α\cos (-C)+\sin α\sin (-C)\\
\cos (α+C)&=&\cos α\cos C+\sin α\sin C\
&=& 1 \end{eqnarray}

以上より、

$$\cos (α+β)=\cos α\cos β-\sin α\sin β$$

は、成立する

証明完了ですね。

加法定理証明|\(\sin(α+β)\)

次は、

$$\sin (α+β)=\sin α\cos β+\cos α\sin β$$

の証明です。

\(\cos(α+β)=\cosα\cosβ-\sinα\sinβ\)の\(β\)に\((γ-\displaystyle \frac{\pi}{2})\)を代入する。

\begin{eqnarray}
\cos (α+(γ-\displaystyle \frac{\pi}{2}))&=&\cos α\cos (γ-\displaystyle \frac{\pi}{2})-\sin α\sin (γ-\displaystyle \frac{\pi}{2}) \\
-\sin (α+γ) &=& -\cos α \sin γ-\sin α \cos γ\\
\sin (α+γ) &=& \sin α \cos γ+\cos α \sin γ
\end{eqnarray}

証明完了です!

加法定理証明|\(\sin(α-β)\)

続いて、

$$\sin (α-β)=\sin α\cos β – \cos α\sin β$$

の証明です。

\(\cos(α-β)=\cosα\cosβ+\sinα\sinβ\)の\(β\)に\((γ-\displaystyle \frac{\pi}{2})\)を代入する。

\begin{eqnarray}
\cos (α-(γ-\displaystyle \frac{\pi}{2}))&=&\cos α\cos (γ-\displaystyle \frac{\pi}{2})+\sin α\sin (γ-\displaystyle \frac{\pi}{2}) \\
\sin (α-γ+\displaystyle \frac{\pi}{2}) &=& -\cos α \sin γ+\sin α \cos γ\\
\sin (α-γ) &=& \sin α \cos γ-\cos α \sin γ
\end{eqnarray}

証明完了です!

加法定理証明|\(\tan (α+β)\)

続いて、

$$\tan (A + B) = \displaystyle \frac{\tan A + \tan B}{1 – \tan A \tan B}$$

の証明です。

\(\tan x=\displaystyle \frac{\sin x}{\cos x}\)より、

\begin{eqnarray}
\tan(α+β) &=& \displaystyle \frac{\sin (α+β)}{\cos (α+β)} \\ \\
&=& \displaystyle \frac{\sin α \cos β+ \cos α \sin β}{\cos α \cos β-\sin α \sin β}\\\\
&=&\displaystyle \frac{\displaystyle \frac{\sin α}{\cos α}+\displaystyle \frac{\sin β}{\cos β}}{1-\displaystyle \frac{\sin α \sin β}{\cos α \cos β}}\\\\
&=&\displaystyle \frac{\tan α + \tan β}{1 – \tan α \tan β}
\end{eqnarray}

証明完了です。

\(\tan (α-β)\)も同様の計算で証明できるので、割愛させていただきます!

加法定理の暗記の方法

まず左辺ですが、サインコサインタンジェントの順番で並んでいますね。中の符号は+、-、+、-・・・なので覚えるのは簡単です。

加法定理

\begin{eqnarray}
\sin (A \pm B) &=& \sin A \cos B \pm \cos A \sin B\\ \\
\cos (A \pm B) &=& \cos A \cos B \mp \sin A \sin B\\ \\
\tan (A \pm B) &=& \displaystyle \frac{\tan A \pm \tan B}{1 \mp \tan A \tan B}
\end{eqnarray}

語呂合わせは上から

『サイン コスコス サイン』

『コスコス サインさいん』

\(\tan \)は語呂合わせなし!です。

オススメの覚え方ですが、『語呂合わせ』+『\(\sin\)は符号そのまま!』と覚えておきましょう。

すると、\(\cos\)は符号が反転だったな!と覚えられます。

\(\tan\)を覚えるのは、脳の容量の無駄遣いです!

\(\tan x=\displaystyle \frac{\sin x}{\cos x}\)だけを覚えて、その場で導くのがいいでしょう!

【重要】三角関数の公式一覧

三角関数は公式を知っているかどうかで、勝負が決まります。
加法定理以外の重要公式もまとめたので、確認しましょう。

重要公式一覧

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