複素数とは何か?その性質や虚数単位iについて詳しく解説します。
複素数の計算についても例題を使って解説します。
新しい数の概念、複素数をマスターしましょう!
複素数とは?
複素数とは、実数a,bをと$i^2=-1$となる$i$(虚数単位)を使い、$a+bi$の形で表される数です。
例えば、$2+3i,\ 1-5i$のような形で表します。
複素数$a+bi$は、$b=0$のとき、実数$a$になります。
よって、実数は複素数の中に含まれます。
$b≠0$のとき、複素数$a+bi$を虚数といいます。
実数と複素数と虚数
間違いやすい点として、複素数と虚数の違いがあります。
複素数は$a+bi$の形をした全ての数です。
一方で虚数は、$a+bi$の中でも$b≠0$という縛りがついた数のことです。
まとめると以下の図になります。
今まで数は実数の中だけで考えていましたが、虚数単位iという新しい数の概念ができたことで、数の範囲が広がります。
虚数単位iとは?
複素数$a+bi$の「$i$」について、さらに詳しく説明します。
実数の範囲では、2乗して負になる数はありません。
2次方程式でも$x^2=-2$となる$x$はありませんでした。(この場合「解なし」としましたね。)
そこで、2乗すると-1になる数iを考えて数の範囲を広げます。
虚数単位iを使うことで$x^2=-2$の二次方程式も解けるようになります。
虚数単位iの定義
虚数単位$i$の定義は以下の2つです。
- 2乗して-1となる数を1つ考え、これをiで表す。
→$x^2=-1$となる新しい数です。 - $a>0$のとき、$\sqrt{-a}=\sqrt{a}i$と定める。
特に$\sqrt{-1}=i$
虚数を使った二次方程式
$i$を使うことで2乗して$-2$になる値$\sqrt{-2}=\sqrt{2}i$と表せます。
さらに、方程式$x^2=-2$の解は$x=±\sqrt{2}i$と求めれます。
「i」は「imaginary(架空の)number(数)=虚数」の頭文字です。名前の通り虚数は実在する数ではありません。
しかし、「i」を使い数の範囲を実数から複素数へ広げたことで、実数の中だけでは不可能だった計算処理ができるようになりました。
複素数の実部と虚部
複素数$a+bi$の$a$を実部、$b$を虚部といいます。
例えば$2+3i$の実部は$2$、虚部は$3$です。$3-\sqrt{2}i$の実部は$3$、虚部は$-\sqrt{2}$です。
そして、この実部と虚部に関して、2つの複素数の相当条件が成り立ちます。
- $a+bi=c+di ⇔ a=c$かつ$b=d$
2つの複素数が等しいのは実部同士、虚部同士がともに等しいときです。 - $a+bi=0⇔a=0$かつ$b=0$
$a+bi=0+0i$と考えます。
この複素数の相当条件を使った例題を解いてみましょう。
《例題1》
$(x-2)+(x+y)i=0$を満たす実数$x,y$の値を求めよ。
左辺は$(x-2)$が実部、$(x+y)$が虚部になります。
右辺は0なので、実部も虚部も0です。
よって、$x-2=0,\ x+y=0$
これを解いて$x=2,\ y=-2$
両辺の実部同士、虚部同士の等式を作れば、あとは連立方程式を解くだけです。
複素数の計算
次に、複素数の計算を例題を解きながら解説します。
複素数の計算のポイントは次の3つです。
- iは通常の文字(aやbなど)と同じように計算します。
- $i^2$が出てきたら、それを-1に置き換えます。
- 答えは$a+bi$の形にまとめます。
では例題を解いてみましょう。
《例題2》次の計算をせよ。
(1)
\begin{eqnarray}
(3+2i)+(1+5i)&=&(3+1)+(2i+5i)…実部と虚部に分けます。\\
&=&4+7i …iは文字と同じように扱い計算します。\\
\end{eqnarray}
(2)
\begin{eqnarray}2(2+i)-(6-5i)&=&4+2i-6+5i…分配法則で展開します。\\
&=&(2-6)+(i+5i)…実部と虚部に分けます。\\
&=&-4+6i\end{eqnarray}
(3)
\begin{eqnarray} &&(2+i)(4-3i)\\
&=&2・4+2・(-3i)+4・i+i・(-3i)…分配法則で展開します。\\
&=&8-6i+4i-3i^2\\
&=&8-2i-3・(-1) …i^2は-1に置き換えます。\\
&=&11-2i\end{eqnarray}
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複素数とは?のまとめ
複素数について解説しました。
ポイントは下記の3つです。
- 複素数はa,bを実数として、a+biで表される数です。複素数には実数と虚数が含まれます。
- 2乗して-1となる数をiとし、これを虚数単位といいます。iが含まれる数を虚数といいます。
- 複素数a+biのaを実部、bを虚部といいます。複素数の計算ではiは文字と同じように扱います。
新しい数、複素数について解説しました。虚数単位iの特徴をしっかり理解すれば、複素数の計算も難しくありませんね。
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