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[数3]1/cos xの微分|cosec xを商の微分公式と定義の2通りで微分する

今回は\(\displaystyle \frac{1}{\cos x}\)を微分していきます。
具体的には下記の微分の証明です。

$$\left( \displaystyle \frac{1}{\cos x}\right)’=\displaystyle \frac{\sin x}{\cos^2 x}$$

微分には商の微分公式を使います。
また定義に当てはめた微分も紹介します。

最初に微分の計算を紹介して、後半で商の微分公式やそのほかの公式を解説していきますね。

目次

1/\(\cos x\)の微分

では商の微分公式を使った微分からやっていきましょう。

微分1|商の微分公式

商の微分公式は下記の式で表される。

$$\left(\frac{f(x)}{g(x)}\right)’=\frac{f'(x)g(x)-f(x)g'(x)}{g(x)^2}$$

ここで\(\displaystyle \frac{1}{\cos x}\)の場合、
\(f(x)=1,\ f’(x)=0\)であるから下記の通り整理できる。

$$\left(\frac{1}{g(x)}\right)’=\frac{-g'(x)}{g(x)^2}$$

\(g(x)=\cos x,\ g'(x)=-\sin x\)を代入すると、

$$\left( \displaystyle \frac{1}{\cos x}\right)’=\displaystyle \frac{\sin x}{\cos^2 x}$$

となる。


商の微分公式は非常に重要ですよ!

次は定義通り計算してみましょう。

微分2|定義通り計算

微分の定義は下記の通りである。

$$f'(x)=\displaystyle\lim_{ h \to 0 } \displaystyle \frac{f(x+h)-f(x)}{h}$$

ここで\(f(x)=\displaystyle \frac{1}{\sin x}\)なので、代入することで下記の式になる。

$$f'(x)=\displaystyle\lim_{ h \to 0 } \displaystyle \frac{\displaystyle \frac{1}{\cos (x+h)}-\displaystyle \frac{1}{\cos x}}{h}$$

加法定理より、

$$\cos (x+h)=\cos x \cos h+\sin x \sin h$$

を利用すると下記の通り微分できる。

\begin{eqnarray}
f'(x) &=&\displaystyle\lim_{ h \to 0 } \displaystyle \frac{\displaystyle \frac{1}{\cos (x+h)}-\displaystyle \frac{1}{\cos x}}{h}\\\\
&=& \displaystyle\lim_{ h \to 0 } \displaystyle \frac{\cos x-\cos (x+h)}{h \cos (x+h)\cos x}\\ \\
&=& \displaystyle\lim_{ h \to 0 } \displaystyle \frac{\cos x-(\cos x \cos h-\sin x \sin h)}{h \cos (x+h)\cos x} \\\\
&=& \displaystyle\lim_{ h \to 0 } \left( \displaystyle \frac{\cos x(1-\cos h)}{h \cos (x+h)\cos x}+\displaystyle \frac{\sin x \sin h}{h \cos (x+h)\cos x}\right)
\end{eqnarray}

\(h \to 0\) で \(\cos h \to 1,\ \displaystyle \frac{\sin h}{h}\to 1\)より、(解説は後述)

\begin{eqnarray}
&=& \displaystyle\lim_{ h \to 0 } \left( \displaystyle \frac{\cos x(1-\cos h)}{h \cos (x+h)\cos x}+\displaystyle \frac{\sin h}{h }\displaystyle \frac{\sin x}{\cos (x+h)\cos x}\right) \\ \\
&=& \left( 0+1\displaystyle \frac{\cos x}{\cos x\cos x}\right)\\\\
&=&-\displaystyle \frac{\sin x}{\cos^2 x}\end{eqnarray}


微分は以上で終了です!

定義通り微分するより、公式を使った方が簡単に微分できますね!

公式の解説

ここからは微分に使った公式などを解説していきます。
解説するのは下記の4つです。
(下記リンクより該当箇所まで飛べます。)

  1. 商の微分公式
  2. \((\cos x)’=-\sin x\)
  3. 加法定理
  4. \(h \to 0\) で \(\displaystyle \frac{\sin h}{h}\to 1\)

解説1|商の微分公式

商の微分公式は下記の式で表されます。

$$\left(\frac{f(x)}{g(x)}\right)’=\frac{f'(x)g(x)-f(x)g'(x)}{g(x)^2}$$

また、\(\displaystyle \frac{1}{g(x)}\)を微分する場合は、下記の通り整理されます。

$$\left(\frac{1}{g(x)}\right)’=\frac{-g'(x)}{g(x)^2}$$

上記公式の証明や、使い方の詳しい解説は下記の記事を参考にしてください!
4ステップで使える解説にしています。

>>商の微分公式<<

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解説2|\((\cos x)’=-\sin x\)

\((\cos x)’=-\sin x\)の証明については下記の記事で紹介しているので、気になった方はご参照ください。
三角関数の基礎的な微分になります。
マイナスがつく理由も解説しており、覚えておいて損はありませんよ!

>>\((\cos x)’=-\sin x\)の解説<<

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解説3|加法定理

加法定理とは下記の3つの公式のことを指します。

\begin{eqnarray}
\sin (A \pm B) &=& \sin A \cos B \pm \cos A \sin B\\ \\
\cos (A \pm B) &=& \cos A \cos B \mp \sin A \sin B\\ \\
\tan (A \pm B) &=& \displaystyle \frac{\tan A \pm \tan B}{1 \mp \tan A \tan B}
\end{eqnarray}

下記の記事では、加法定理の証明と、加法定理を応用して作られた4つの公式を解説しています。
三角関数はもちろん、微分積分、物理の力学でも登場する超重要公式なので、よかったら参考にしてください!

>>加法定理とその応用<<

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解説4|\(h \to 0\) で \(\displaystyle \frac{\sin h}{h}\to 1\)

\(h \to 0\) で \(\displaystyle \frac{\sin h}{h}\to 1\)は\(\sin x\)を微分するときに登場する有名な極限公式です。

簡単に説明します。

上記の図の不等式を\(\sin \theta\)で割って、逆数を取ると下記の式を得ることができます。

$$\cos\theta<\displaystyle \frac{\sin\theta}{\theta}<1$$

ここで\(\theta \to 0\)とすると、\(\cos \theta\to 1\)であるから、挟み撃ちの定理より、

\(\displaystyle \frac{\sin\theta}{\theta}\to 1\)となります。

もっと詳しい解説は下記の\(\sin x\)の微分で紹介しています!
よかったら参考にしてください。

>>\(\sin x\)の微分<<

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\(\displaystyle \frac{1}{\cos x}\)の微分は以上です!

三角関数の微分クイズ!

Q1

□に入るのは?
$(\sin x)’=□$

$\cos x$

$-\sin x$

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