数Aで習う場合の数の確率の公式と用語一覧です。
本記事は場合の数の解説です。確率の記事は下記になりますので参考にしてください。
※参考記事
[数A]確率の公式と用語一覧
集合
範囲がはっきりしたものの集まりを集合といい、集合に入っている1つ1つのものを要素といいます。集合は { } の中に要素を並べて書きます。
5以下の自然数全体の集合Aは $A = \{1, 2, 3, 4, 5\}$ です。
共通部分・和集合・空集合
集合Aと集合Bの両方に入っている要素全体の集合を共通部分といい、$A \cap B$ で表します。
集合Aと集合Bの少なくとも一方にはいっている要素全体の集合を和集合といい、$A \cup B$ で表します。
また、要素が1つもない集合を空集合といい、記号 ∅ で表します。
例)
$A = \{2, 3, 5, 7, 11\}$, $B = \{2, 4, 6, 8\}$ のとき、
$A \cap B = \{2\}$,
$A \cup B = \{2, 3, 5, 6, 7, 8, 11\}$
※参考記事
[数1]和集合とは?記号と読み方、積集合との違い、求め方を解説
[数1]空集合とは?記号、部分集合との関係をわかりやすく解説
全体集合と補集合
集合Aの要素がすべて集合Bの要素であるときAはBの部分集合であり、$A \subset B$ または $B \supset A$ と表します。
ある集合Uの中で要素や部分集合を考えるとき、Uを全体集合といいます。
Uの部分集合Aに対し、Uの要素の中で、Aの要素でないもの全体の集合をAの補集合といい、$\bar{A}$ で表します。
例)
$U = \{1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8\}$ を全体集合、$A = \{1, 2, 3\}$, $B = \{2, 4, 6, 8\}$ のとき、
$\bar{A} = \{4, 5, 6, 7, 8\}$,
$\bar{B} = \{1, 3, 5, 7\}$,
$A \cup B = \{1, 2, 3, 4, 6, 8\}$,
$\bar{A \cup B} = \{5, 7\}$
※参考記事
[数1]補集合とは?補集合の記号と問題、性質をわかりやすく解説
集合の要素の個数
集合Aの要素の個数が有限であるとき、その個数を $n(A)$ で表します。
例) 1桁の自然数のうち、偶数全体の集合Aは $A = \{2, 4, 6, 8\}$ であるから、個数は $n(A) = 4$
和集合の要素の個数
和集合の要素の個数について、以下の式が成り立ちます。 $n(A \cup B) = n(A) + n(B) – n(A \cap B)$ 特に、$A \cap B = \emptyset$ のとき、$n(A \cup B) = n(A) + n(B)$
例) 30以下の自然数のうち、3の倍数の集合をA、5の倍数の集合をB とすると、 $n(A) = 10, n(B) = 6$ 3の倍数かつ5の倍数全体の集合は15の倍数全体の集合であるから $n(A \cap B) = 2$ 3の倍数または5の倍数全体の集合の個数は
$$n(A \cup B) = n(A) + n(B) – n(A \cap B) = 10 + 6 – 2 = 14$$
補集合の要素の個数
全体集合Uの部分集合Aとその補集合 $\bar{A}$ の個数について以下の式が成り立ちます。
$$n(\bar{A}) = n(U) – n(A)$$
場合の数
樹形図
ある事柄について起こりうるすべての場合を、もれなく、重複なく数え上げるのに便利な図です。
例)
大中小の3個のサイコロを投げるとき、目の和が5になる場合は下の樹形図より6通りです。
和の法則
事柄AとBの起こり方に重複はないとします。
Aの起こり方がa通り、Bの起こり方がb通りあるとき、AまたはBの起こる場合の数は
$a + b$ 通りあります。
例)
1個のサイコロを2回投げるとき、目の和が5の倍数になる出方は、目の和が5または10の場合です。
目の和が5になるのは
(1, 4), (2, 3), (3, 2), (4, 1) の4通り。
目の和が10になるのは
(4, 6), (5, 5), (6, 4) の3通り。
よって、和の法則により目の和が5の倍数になる出方は $4 + 3 = 7$(通り)。
積の法則
事柄Aの起こり方がa通りあり、そのどの場合に対しても事柄Bの起こり方がb通りずつあるとき、
AとBがともに起こる場合の数は $a \times b$ 通りあります。
例)
大中小3個のサイコロを投げるとき、すべての目が奇数である出方は、
1個のサイコロで奇数の目の出方は3通りあるので、積の法則より
$3 \times 3 \times 3 = 27$ (通り)
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順列
順列
異なるn個のものから、異なるr個を取り出して1列に並べたものを「n個からr個とる順列」といいます。
その総数は $_n P_r$ と表します。
$_nP_r = n \times (n-1) \times (n-2) \times \dots \times (n-r+1)$
特に、n = r のときは
$$_n P_n = n \times (n-1) \times (n-2) \times \dots \times 3 \times 2 \times 1$$
です。
これは1からnまでのすべての自然数の積で、n!(nの階乗)で表します。($_n P_n = n!$)
例)
5人の生徒うち、3人が1列に並ぶときの並び方の総数は60通り
$$a = 5 \times 4 \times 3 = 60$$
5人の生徒全員が1列に並ぶ時の並び方の総数は120通り
$$5! = 5 \times 4 \times 3 \times 2 \times 1 = 120$$
※参考記事
[数A]順列とは?計算方法、pの意味、公式、組み合わせとの違いを解説
[数A]順列と組み合わせの違い
円順列
ものを円形に並べる順列を円順列といいます。 異なるn個のものの円順列の総数は $(n – 1)!$ です。
例) 5人の生徒が輪になって並ぶ並び方の総数は24通り
$$(5 – 1)! = 4! = 4 \times 3 \times 2 \times 1 = 24$$
重複順列
異なるn個のものから重複をゆるして(同じものを何回使ってもよい)並べるときの順列を重複順列といいます。 異なるn個からr個とる重複順列の総数は
$$n \times n \times n \times \cdots \times n = n^r$$
例) 4個の数字1 , 2 , 3 , 4 から重複を許して3個選んでできる3桁の数の総数は 3桁の位それぞれに4通りの選び方があるので、 $4^3 = 64$ (通り)
組合せ
異なるn個のものから異なるr個を取り出して作る組合せを「n個からr個とる組合せ」といい、総数を${}_nC_r$で表します。(組合せは順序を考えません。) ${}_nC_r = \dfrac{{}_nP_r}{r!} = \dfrac{n(n-1)(n-2)\cdots(n-r+1)}{r(r-1)(r-2)\cdots3 \cdot 2 \cdot 1}$
とくに、${}_nC_1 = 1$ , ${}_nC_0 = 1$ です。 また、${}_nC_r = {}nC{n-r}$ が成り立ちます。
例1) 6人から2人選ぶとき、選び方の総数は
${}_6C_2 = \dfrac{6 \times 5}{2 \times 1} = 15$ (通り)
例2) 5人の男子から2人、4人の女子から2人選んで4人の組をつくるとき、組合せの総数は60通り
$$C_5^2 \times C_4^2 = \dfrac{5 \times 4}{2 \times 1} \times \dfrac{4 \times 3}{2 \times 1} = 60$$
同じものを含む順列
aがp個、bがq個、cがr個あるとき、それらを1列に並べる順列の総数は $\dfrac{n!}{p!q!r!}$ (ただし $p + q + r = n$)
例) 8個の数字1 , 1 , 1 , 2 , 2 , 2 , 3 , 3全部を使ってできる7桁の数は 1 , 1 , 1 , 2 , 2 , 2 , 3 , 3 であるから
$$\dfrac{8!}{3!3!2!} = \dfrac{8 \times 7 \times 6 \times 5 \times 4 \times 3 \times 2 \times 1}{3 \times 2 \times 1 \times 3 \times 2 \times 1 \times 2 \times 1} = 560$$
より560通りである。
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