この記事では、場合の数を解くときに使う順列について解説します。
順列の公式や計算方法だけでなく、組み合わせとの違いも合わせて説明しています。
組み合わせと順列は混同してしまうことが多いので、この記事で使い分け方を理解しておきましょう!
順列とは?
順列とは、いくつかのものを順序をつけて1列に並べた配列のことです。
例えばa、b、cの3つの文字を順序をつけて並べると、
- $(a,b,c)$
- $(a,c,b)$
- $(b,a,c)$
- $(b,c,a)$
- $(c,a,b)$
- $(c,b,a)$
上記の6通りの順列ができますね。 1つずつ数えることもできますが、この順列の個数は計算でも求められるんです。
1文字目が何通りあるか、2文字目が何通りあるかと計算していく方法です。
1番目の文字は$a,\ b,\ c$の3通り。
2番目の文字は$a,\ b,\ c$から1番目に選ばれた文字を除いた2通り。
3番目の文字は、最後に残った1通り。
よって、a,b,cの順列の総数は$3×2×1=6$という式で表せます。
また、異なるn個のものからr個取り出して並べた順列を、「n個からr個とる順列」といい、その個数を${}_nP_r$と表します。 順列の総数は$_nP_r=n(n-1)(n-2)…(r-n+1)$という公式で求められるのです。
例に挙げたa,b,cの順列に当てはめてみましょう。
異なる3個から3個取り出して並べた順列なので$_3P_3$と表され、$_3P_3=3×2×1=6$通り。 実際に数えた順列の総数と同じになりましたね。
順列の計算方法
前項の公式$_nP_r=n(n-1)(n-2)…(r-n+1)$の計算の仕方を解説します。
難しそうな式に見えるかもしれませんが、「nから1ずつ減らした数の掛け算を、r回行う」と考えると覚えやすいです。
順列の計算例
例えば、下記のような計算ができます。
① 5人から3人を選んで1列に並べるとき。
5から1ずつ減らす掛け算を3回行います。
$_5P_3=5・4・3=60$通り。
② 7人から5人を選んで1列に並べるとき。
7から1ずつ減らす掛け算を5回行います。
$_7P_2=7・6・5・4・3=2520$通り。
③ 4人から4人を選んで1列に並べるとき。4から1ずつ減らす掛け算を4回行います。
$_4P_4=4・3・2・1=24$通り。
また、このような$n$と$r$が等しい順列の場合は、$_nP_r=n!$(nの階乗)とも表されます。
※参考記事
[数A]階乗|階乗とは、0の階乗が1になる理由も解説
順列と組み合わせの違い
順列と似た計算に組み合わせがあります。
簡単に言うと、順列は「順番をつけて並べたもの」。
組み合わせは「順番を考慮せずに選んだもの」です。
例えば$a,\ b,\ c$から2つを選ぶとき、順列は6通りです。
- (a,b)
- (a,c)
- (b,a)
- (b,c)
- (c,a)
- (c,b)
順列の公式を用いて計算した場合も、$_3P_2=3・2=6$通りとなります。
一方、組み合わせは順番を考慮しません。
つまり下記の3つは同じものとして扱われます。
- (a,b)と(b,a)
- (b,c)と(c,b)
- (a,c)と(c,a)
したがって組み合わせの総数は、3通りしかありません。
- (a,b)
- (b,c)
- (c,a)
組み合わせの公式を用いて計算すると、$\displaystyle \frac{3・2}{2・1}=3$通りとなります。
では、どのような問題で順列、組み合わせが使われるのでしょうか。
「5人の生徒を椅子に並ばせるときの並び方」
この問題は順番を考慮するので順列が使われます。
「30人のクラスから2人の学級委員を選ぶときの選び方」
こちらは2人の学級委員に順番はないので、組み合わせを使います。
並べ方→順列
選び方→組み合わせ
と考えてもいいですね。
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順列とは?のまとめ
この記事では、順列について解説しました。
ポイントは下記の3つです。
- N個からr個とった順列の個数は$_nP_r$と表され、$_nP_r=n(n-1)(n-2)…(n-r+1)$
- 順列の公式は「nから1ずつ減らした数の掛け算を、r回行う」と考えることができる。
- 順序を考慮するのが順列、考慮しないのが組み合わせ。
順列と組み合わせは混同しやすいですが、公式の意味から理解することで間違いを減らすことができます。
なぜこのような公式になるのかを意識しながら覚えましょう。
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