数Aで習う整数の性質について、公式と用語の一覧をまとめました!
テスト前などの復習にご利用ください!
約数と倍数
2つの整数$a$, $b$があり、さらにある整数$k$を用いて$a=bk$と表されるとき、
$b$は$a$の約数,$a$は$b$の倍数であるといいます。
また、$a=bk$のとき、$a=-b\cdot(-k)$でもあるので、
$b$が$a$の約数なら、$-b$も$a$の約数です。
例)
8の約数は
$±1$, $±2$, $±4$, $±8$
3の倍数は
$0$, $±3$, $±6$, $±9$,・・・
倍数の判定法
- 2の倍数・・・一の位が0 , 2 , 4 , 6 , 8のいずれかである。
- 3の倍数・・・各位の数の和が3の倍数である。
- 4の倍数・・・下2桁が4の倍数である。
- 5の倍数・・・一の位が0 , 5 のいずれかである。
- 9の倍数・・・各位の数の和が9の倍数である。
例)
25176 は 各位の数をたすと、$2+5+1+7+6=21$です。
$21$は$3$の倍数であるから、$25176$は$3$の倍数です。
※参考記事
[数A]倍数の判定法をわかりやすく解説|7、11の倍数の判定も紹介
素因数分解
素数・合成数・素因数分解
$2$以上の自然数で、正の約数が$1$とその数自身だけの数を素数といいます。$2$, $3$, $5$, $7$, $11$・・・などで素数は無数に存在します。$1$は素数ではありません。
$2$以上の自然数で、素数でない数を合成数といいます。
整数がいくつかの整数の積で表されるとき、その1つ1つの整数を元の整数の因数といい、素数である因数を素因数といいます。
自然数を素数だけの積の形にすることを素因数分解するといいます。
例)
$324$を素因数分解すると、
$324=2^3\cdot3^2$
※参考記事
【素因数分解とは】素数と素因数の違い|やり方まで解説【簡単】
正の約数の個数
自然数$N$の素因数分解が$N=p^a\cdot q^b\cdot r^c\cdots$ のとき、$N$の正の約数の個数は
$(a+1)(b+1)(c+1)\cdots$ である。
例)
$225$を素因数分解すると
$225=3^2\cdot5^2$ であるから、
$225$の正の約数の個数は
$(2+1)(2+1)=9$ (個)
※参考記事
約数とは?6の約数、10の約数、簡単な求め方を解説
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最大公約数・最小公倍数
最大公約数・最小公倍数
2つ以上の整数について、共通する約数を公約数、そのうち最大のものを最大公約数といいます。
2つ以上の整数について、共通する倍数を公倍数、正の公倍数のうち最小のものを最小公倍数といいます。
例)
$24 = 2^3 \times 3$
$90 = 2 \times 3^2 \times 5$
最大公約数は共通な素因数を掛けます。
$2 \times 3 = 6$
最小公倍数はそれぞれの素因数の指数の大きい方を取り出し掛けます。
$2^3 \times 3^2 \times 5 = 360$
2つの整数を図のように同時に素因数分解し、最小公倍数と最大公約数を求める方法もあります。
最大公約数は青枠の部分を掛けます。$2 \times 3 = 6$
最小公倍数は赤枠の部分を掛けます。$2 \times 3 \times 4 \times 15 = 360$
※参考記事
最大公約数とは何かと最大公約数の簡単な求め方
最小公倍数とは何かと最小公倍数の求め方を解説
互いに素
2つの整数 $a$ , $b$ について、最大公約数が1のとき $a$ と $b$ は互いに素であるといいます。
一般に次のことが成り立ちます。
$a$ , $b$ , $c$ は整数で、$a$ , $b$ は互いに素であるとすると、
- $ac$ が $b$ の倍数であるとき、$c$ は $b$ の倍数である。
- $a$ の倍数であり、$b$ の倍数である整数は $ab$ の倍数である。
例)
$m$ , $n$ は整数で、$3m = 7n$ を満たしているとき、
$3$ と $5$ は互いに素であるから、$m$ は $7$ の倍数です。
よって、$3m$ は $3 \times 7 = 21$ の倍数です。
割り算における商と余り
整数の割り算における商と余り
整数$a$と正の整数$b$について、$$a=bq+r\ \ \ \ \ \ (0\le r<b)$$ となる整数$q$と$r$はただ1通り決まります。$q$は$a$を$b$で割ったときの商であり、$r$は余りです。$r=0$のとき$a$は$b$で割り切れています。
例) $a$と$b$は整数で、$a$を7で割ると5余り、$b$を7で割ると4余る。このとき、$a+b$を7で割ったときの余りを求めよ。
解) $a=7k+5$ , $b=7l+4$ ($k,l$は整数) とおける。
$$a+b=(7k+5)+(7l+4)=7k+7l+9=7(k+l+1)+2$$
よって、$a+b$を7で割ったときの余りは、2である。
余りによる整数の分類
整数を2で割ったときの余りは、0か1のどちらかです。よってすべての整数は
$$2k,\ 2k+1\ \ (k\text{は整数})$$
の2通りで表されます。$2k$は偶数、$2k+1$は奇数です。
整数を3で割ったときの余りは、0, 1, 2のいずれかです。よってすべての整数は
$$3k,\ 3k+1,\ 3k+2\ \ (k\text{は整数})$$
の3通りで表されます。
整数を正の整数$m$で割ったときの余りは、0 ,1 ,2 ,・・・, $m-1$のいずれかです。よってすべての整数は
$$mk,\ mk+1,\ mk+2,\ \ldots, mk+m-1\ \ (k\text{は整数})$$
のいずれかの形で表されます。
ユークリッドの互除法
2つの自然数$a$ , $b$ ($a>b$) の最大公約数について、次の定理が成り立ちます。$a$を$b$で割ったときの余りを$r$とすると、$a$と$b$の最大公約数は、$b$と$r$の最大公約数に等しい。
この定理を使って最大公約数を求める方法をユークリッドの互除法といいます。
例)
629,259 の最大公約数を求める。
629を259で割ると商が2 余り111なので、
$629=259\times2+111$
余りが0になるまで割り算を繰り返します。
$259=111\times2+37$
$111=37\times3+0$
余りが0になったときの割る数37が629と259の最大公約数です。
ユークリッド互除法には(割る数)÷(余り)の割り算を、下図のように右から左へ書き足していく方法もあります。
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1次不定方程式
$a$ , $b$ , $c$は整数の定数で$a\neq0$ , $b\neq0$とします。
$x$ , $y$ の1次方程式 $ax+by=c$ を成り立たせる$x$ , $y$の組をこの方程式の整数解といいます。整数解を求めることを1次不定方程式を解くといいます。
例1)
$5x-3y=0$ の整数解を全て求めよ。
解)
$5x=3y$ ・・・①
右辺$3y$は3の倍数である。5と3は互いに素であるから、$x$は3の倍数である。
よって、$x=3k$ ($k$は整数) と表される。
これを①に代入すると、$5\times3k=3y$
$y=5k$
よって、求める整数解は $x=3k$ , $y=5k$ ($k$は整数)
例2)
$2x-3y=1$ ・・・①の整数解を全て求めよ。
解)
$x=2$ , $y=1$ は①の整数解の1つであるから、
$2\times2-3\times1=1$ ・・・②
①-②
$2(x-2)-3(y-1)=0$
$2(x-2)=3(y-1)$ ・・・③
2と3は互いに素であるから、
$x-2=3k$
よって、$x=3k+2$ , $y=2k+1$ ($k$は整数)
分数と小数
分数と有限小数、循環小数
有理数 $\dfrac{m}{n}$ を小数で表すときは、$m\div n$の計算をします。
例えば、
$\dfrac{3}{10}=0.3$,
$\dfrac{1}{3}=0.333\ldots$,
$\dfrac{14}{11}=1.272727\ldots$
となります。
小数が有限桁で終わるものを有限小数といい、
小数点以下が限りなく続くものを無限小数といいます。
また、ある桁以下で同じ数の並びが繰り返されるものを循環小数といいます。
循環小数は以下のように書き表します。
$0.333\ldots = 0.3$, $1.2727\ldots = 1.27$, $5.123123\ldots = 5.123$
例)
循環小数 $0.\dot{1}\dot{2}$ を分数で表せ。
解)
$x=0.\dot{1}\dot{2}$ とおくと、
$100x = 12.\dot{1}\dot{2}$ となります。
両辺から$x$を引くと、
$99x = 12$ となります。
よって、$x=\dfrac{12}{99}=\dfrac{4}{33}$となります。
有限小数で表される分数
分母と分子が互いに素である分数を既約分数といいます。
整数でない既約分数について、分母の素因数が2と5だけなら有限小数になり、分母に2と5以外の素因数があれば循環小数になります。
例えば、
$\dfrac{7}{20}$ は分母 $20=2^2\cdot 5$ で、素因数が2と5だけなので有限小数で表されます。
$\dfrac{11}{12}$ は分母 $12=2^2\cdot 3$ で、2と5以外の素因数があるので循環小数で表されます。
n進法
$5\times 10^3+8\times 10^2+9\times 10^1+6\times 10^0= 5896$ と表す方法を10進法といい、10進法で表された数を10進数といいます。日常的に使用されている数は10進数です。
10進法では、$10^0(=1)$の位, $10^1(=10)$の位, $10^2(=100)$の位, $10^3(=1000)$の位…が位取りの基礎となります。各位の数字は0,1,2,…,9のいずれかです。5896のように各位の数字を上の位から順番に左から右へ並べて書く方法を位取り記数法といいます。
10の累乗の代わりに2以上の自然数nの累乗を位取りの基礎とする数の表し方を$n$進法といい、$n$進法で表された数を$n$進数といいます。
2進法
2進法は$2^0, 2^1, 2^2,…$が位取りの基礎となっており、各位の数字は0,1のみです。2進数は$(11001)_2$ のように、10進数と区別するため右下に(2)をつけます。
例)
2進数→10進数
$(11001)_2=1\times 2^0+0\times 2^1+0\times 2^2+1\times 2^3+1\times 2^4=1+8+16=25$
10進数→2進数
値を2で次々割って余りを求めることで各位の数を得られます。最後の商→一番下の余り→一番上の余りの値を順番に並べます。
10進数25は2進数で表すと$(11001)_2$となります。
※参考記事
10進数の25を2進数に直す方法
n進法の小数
小数点以下の位は10進法では$\frac{1}{10^1}$の位,$\frac{1}{10^2}$の位,$\frac{1}{10^3}$の位,…となります。同様に、$n$進法では$\frac{1}{n^1}$の位,$\frac{1}{n^2}$の位,$\frac{1}{n^3}$の位,…となります。
例)
2進数→10進数
$(0.101)_2=1\times \frac{1}{2}+0\times \frac{1}{2^2}+1\times \frac{1}{2^3}=\frac{5}{8}=0.625$
10進数→5進数
図のように小数部分に5を繰り返し掛けていきます。
整数部分を並べます。
10進数0.584は5進数で表すと$0.243_{(5)}$です。
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