今回は円に内接する四角形について詳しく解説します。
三角形は必ず円に内接する性質がありますが、四角形はすべてのものが円に内接するわけではありません。
これから四角形が円に内接する条件や、円に内接する四角形だからこそ成り立つ定理を紹介します。
最後まで読んで、円に内接する四角形をマスターしてくださいね。
円に内接する四角形とは
円に内接する四角形について、いくつか重要な性質があります。(参考図1)
- 対角の和は180°である
- 外角は、それと隣り合う内角の対角に等しい
これらの性質がなぜ成り立つのか、一つずつ見ていきましょう。
まず、「対角の和は180°である」について説明します。これは円周角の定理を使うと、簡単に証明することが可能です。
円に内接する四角形をABCDとし、角A=α、角C=βとします。円周角の定理より、弧BCDに対する中心角は2α、弧BADに対する中心角は2βとなります。
したがって、以下の数式が成り立ちます:
$2\alpha + 2\beta = 360°$
これを簡約すると:
$\dfrac{2\alpha + 2\beta}{2} = \dfrac{360°}{2}$
$\alpha + \beta = 180°$
したがって、内接する四角形の対角の和は180°であることがわかります。(参考図2)
次に、「外角は、それと隣り合う内角の対角に等しい」について考えてみましょう。
先の証明から、$\alpha + \beta = 180°$ であることがわかっているので、以下の式が成り立ちます:
$\alpha = 180° – \beta$
したがって、角Cの外角は角Aに等しいことが証明できます。
以上から、円に内接する四角形では「対角の和は180°である」ことと「外角は、それと隣り合う内角の対角に等しい」ことが確認できます。
トレミーの定理とブラーマグプタの公式
トレミーの定理とは、四角形ABCDが円に内接するとき、以下の等式が成り立つことを示しています。
$$AB \cdot CD + AD \cdot BC = AC \cdot BD$$
つまり、トレミーの定理は、円に内接する四角形の対辺の積の和が、対角線の積に等しいことを表しています。(参考図3)
では、なぜトレミーの定理が成り立つのか考えてみましょう。
- トレミーの定理の証明は三角形の相似を用いることで可能です。
- 対角線BD上に、角BAE=角CADとなるように点Eをとります。
- △ABEと△ACDにおいて、仮定より角BAE=角CADです。
- さらに、円周角の定理より角ABE=角ACEです。
- 2組の角がそれぞれ等しいので、△ABE∽△ACDが成り立ちます。
続いて、△ABCと△AEDについて考えていきます。
- 円周角の定理より、角ACB=角ADBです。
- また、角BAC=角BAE+角EAC=角CAD+角EAC=角EADです。
- 以上より、2組の角がそれぞれ等しいので、△ABC∽△AEDが確認できました。(参考図5)
- △ABE∽△ACDより、 $$\dfrac{AB}{AC}=\dfrac{BE}{CD}$$ よって、AB・CD=AC・BE…①
- △ABC∽△AEDより、 $$\dfrac{BC}{ED}=\dfrac{CA}{DA}$$ よって、BC・DA=ED・CA…②
- ①+②より、 $$AB \cdot CD+ BC \cdot DA= AC \cdot BE+ ED \cdot CA=AC(BE+ED)=AC \cdot BD$$
よってトレミーの定理が成り立つことが証明されました。
次に、ブラーマグプタの公式について紹介します。
ブラーマグプタの公式とは、内接する四角形ABCDの各辺を$AB=a$、$BC=b$、$CD=c$、$DA=d$とし、$s=a+b+c+d/2$とすると、四角形ABCDの面積Sは以下の公式で求められます。
$$S=\sqrt{(s-a)(s-b)(s-c)(s-d)}$$
ブラーマグプタの公式は三角形の面積を求めるヘロンの公式の四角形バージョンと考えるとわかりやすいでしょう。
トレミーの定理とブラーマグプタの公式を理解するだけで、問題を解く時間を大幅に短縮できます。
ぜひこの機会に、トレミーの定理とブラーマグプタの公式を覚えておきましょう。あなたの数学のスキルを向上させるための重要な要素となります。
方べきの定理
方べきの定理について深く掘り下げてみましょう。この重要な定理は、次の二つの主要な条件に基づいています。
- 条件1: 円の二つの弦AB、CD、またはそれらの延長が点Pで交わるとき、式$PA \cdot PB = PC \cdot PD$が成り立ちます。
- 条件2: 円の弦ABの延長上の点Pから、この円にひいた接線の接点をTとすると、式$PA \cdot PB = PT^{2}$が成り立ちます。
方べきの定理は、トレミーの定理と同様に三角形の相似を用いることで証明が可能です。さらに、方べきの定理は線分の長さを求めるときに頻繁に使用されます。
※参考記事
[数A]図形の性質の公式と用語一覧、平面図形と空間図形
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円に内接する四角形のまとめ
円に内接する四角形について解説しました。
ポイントは下記の3つです。
- 円に内接する四角形は対角の和は180°であり、外角はそれと隣り合う内角の対角に等しいことが成り立ちます。
- トレミーの定理とは、円に内接する四角形の対辺の積の和は、対角線の積に等しいことです。
- ブラーマグプタの公式は円に内接する四角形の面積を求められます。
四角形は三角形と違い、必ずしも円に内接するわけではありません。
円に内接する四角形の特徴をしっかりつかんで、問題をすらすら解けるようにしていきましょう。
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