今回はベクトルのなす角について解説します。
ベクトルなす角は理解すること自体は難しくないと思いますが、計算が複雑です。
実際の問題では「ベクトルのなす角を利用して何かを解く」ということが多く、なす角を間違えてしまうとそのあとの問題を間違えてしまいます。今回の記事で正しく理解して正しく求められるようになりましょう!
ベクトルのなす角
ベクトルのなす角とは「2つのベクトルの始点をそろえたときに出来る角度」を表します。
ベクトルのなす角のイメージは図のようになります。
この時になす角というのは2つのベクトルで出来た2つの角のうち180度以下の角をなす角と呼びます。
ベクトルがなす角の求め方
ベクトルのなす角の求め方はベクトルの内積を利用します。
ベクトルの内積は$\vec{a}・\vec{b}=|\vec{a}||\vec{b}|\cos\theta$で求められますが、以下のように変形します。
$\cos\theta=frac{\vec{a}・\vec{b}}{|\vec{a}||\vec{b}|}$
これによって$cos\theta$を求めることが出来るので、そこからベクトルのなす角$\theta$を求めることが出来ます。
なす角を求める例題
では1つ例題を解いてみましょう。
例題
$\vec{a}=(1,2)$、$\vec{b}=(-1,3)$の時、2つのベクトルのなす角$\theta$を求めよ。
解答
$|\vec{a}|=sqrt{1^2+2^2}=\sqrt{5}$
$|\vec{b}|=sqrt{(-1)^2+3^2}=\sqrt{10}$
$\vec{a}・\vec{b}=1\times(-1)+2\times3=5$
($\vec{a}=(x_1,y_1)$、$\vec{b}=(x_2,y_2)$の時、ベクトルの内積は$\vec{a}・\vec{b}={x_1}\times{x_2}+{y_1}\times{y_2}$でも求められます。)
よって$cos\theta$は以下になります。
$\cos\theta=frac{\vec{a}・\vec{b}}{|\vec{a}||\vec{b}|}=\frac{5}{\sqrt{5}・\sqrt{10}}=\frac{1}{\sqrt{2}}$
$\cos\theta=\frac{1}{\sqrt{2}}$となる180度以下の$\theta$は$45^\circ$となります。
空間ベクトルのなす角
「ベクトルがなす角の求め方」で示したのは2次元空間、つまり平面ベクトルの成す角の求め方です。
ここでは3次元空間での空間ベクトルのなす角の求め方を解説します。
3次元空間の空間ベクトルのなす角の求め方は先と変わりません。
$\cos\theta=frac{\vec{a}・\vec{b}}{|\vec{a}||\vec{b}|}$
ただし、3次元空間での空間ベクトルの内積の求め方が少し変化します。
$\vec{a}=(x_1,y_1,z_1)$、$\vec{b}=(x_2,y_2,z_2)$の時、ベクトルの内積は$\vec{a}・\vec{b}={x_1}\times{x_2}+{y_1}\times{y_2}+{z_1}\times{z_2}$で求められます。
後は$|\vec{a}||\vec{b}|$を$\vec{a}・\vec{b}$で割ることで\cos\thetaを求めることが出来ます。
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ベクトルのなす角のまとめ
今回はベクトルのなす角について解説しました。
ポイントは下記の3つです。
- ベクトルのなす角とは「2つのベクトルの始点をそろえたときに出来る角度」を表します。
- ベクトルのなす角はベクトルの内積を利用することで求められます。
- 平面ベクトル、空間ベクトルのどちらも同じく$\cos\theta=frac{\vec{a}・\vec{b}}{|\vec{a}||\vec{b}|}$で求められます。
ベクトルのなす角は計算が複雑なので求める時に計算ミスが起きやすいです。実際に自分で手を動かして計算して慣れておくことを強く推奨します。
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