今回はベクトルの大きさについて解説します。
ベクトルの大きさはベクトルの計算の基本の一部であり、大きさを求めることがメインになることはほとんどありません。
しかし、この大きさが求められないとベクトルの問題がかなり解きにくくなります。
この記事を読めば、ベクトルの大きさを簡単に求められるようになります。
ここでぜひ基本から理解しましょう!
ベクトルの大きさ
ベクトルの大きさとは「ベクトルの長さ」を表します。
ベクトルとはそもそも「向き」と「大きさ」の要素があり、今回は「大きさ」について注目します。数式で表現する場合、$\vec{a}$の大きさは$|\vec{a}|$となります。
ベクトルの大きさを「ノルム」と表現することもあります。
ベクトルの大きさは数学で扱う際には意味が理解しにくいですが、物理では意味が分かりやすいものとなります。
物理では物体の動く向きと速さをベクトルで表すことが多いですが、ベクトルの大きさが速さを表します。この大きさが大きいほど速いです。
ベクトルは物理現象を扱ったり物の動きを表現するのに有効で、その時にベクトルの大きさを用いることが多いです。
数学上だと、ただの長さを表しており実感しにくいかもしれませんが、先のような使い方をしていることをイメージしてみましょう。
※参考記事
[数B]ベクトルとは|ベクトルの意味とスカラーとの違いを解説
ベクトルの大きさの求め方
$\vec{a}=(x,y)$の場合、ベクトルの大きさ$|\vec{a}|$は$\sqrt{x^2+y^2}$となります。
ベクトルは扱う次元によって成分の数が増えていきますが、その場合は各成分の平方和の根号が大きさを表します。
($\vec{a}=(x,y,z)$の場合、ベクトルの大きさ$|\vec{a}|$は$\sqrt{x^2+y^2+z^2}$)
例えば$\vec{a}=(3,6)$の場合、$|\vec{a}|$=$\sqrt{3^2+6^2}=3\sqrt{5}$となります。
$\vec{a}=(4,8,10)$の場合、$|\vec{a}|$=$\sqrt{4^2+8^2+10^2}=6\sqrt{5}$となります。
ベクトルの大きさを求める問題
よくあるベクトルの大きさの問題を紹介します。ぜひ自分の力で解いて、実力をつけていきましょう。
問題
$\vec{a}$,$\vec{b}$,$\vec{c}$について以下のようにする。
$\vec{a}=(3,4)$、$\vec{b}=(-1,3)$、$\vec{c}=(2,5)$
(1)$\vec{a}+\vec{b}$の大きさを求めよ。
(2)$\vec{b}-\vec{c}$の大きさを求めよ。
(3)$\vec{a}+\vec{b}+\vec{c}$の大きさを求めよ。
答え
(1)
$\vec{a}+\vec{b}=(3-1,4+3)=(2,7)$
$|\vec{a}+\vec{b}|=\sqrt{2^2+7^2}=\sqrt{53}$
(2)
$\vec{b}-\vec{c}=(-1-2,3-5)=(-3,-2)$
$|\vec{b}-\vec{c}|=\sqrt{(-3)^2+(-2)^2}=\sqrt{13}$
(3)
$\vec{a}+\vec{b}+\vec{c}=(3-1+2,4+3+5)=(4,12)$
$|\vec{a}+\vec{b}+\vec{c}|=\sqrt{4^2+12^2}=4\sqrt{10}$
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ベクトルの大きさのまとめ
今回はベクトルの大きさについて解説しました。
ポイントは下記の3つです。
- ベクトルの大きさはベクトルの持つ情報「長さ」「向き」のうち、ベクトルの長さを表す
- ベクトルの大きさはベクトルの成分の平方和の根号で求められる。($|\vec{a}|$は$\sqrt{x^2+y^2}$)
- ベクトルの大きさは物理現象でよく使われる。
今回のベクトルの大きさは計算自体は簡単かと思いますが、この計算がどこで使われるのか、問題でどのように使われるのか、ということがイメージしにくいかと思います。
実際には問題を解く途中でベクトルの大きさを求めるシーンが現れる程度なので、ベクトルの大きさをメインに求めることはほとんどありません。
今後ベクトルの大きさは実際に問題を解いてみた中でどのように現れてくるか、を意識してみると良いでしょう。
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