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マクローリン展開とオイラーの公式

関数f(x)のx=0のまわりでのテイラー展開を特にマクローリン展開と呼びます。
$f(x) = a_0 + a_1 x + a_2 x^2…$
テイラー展開のような多項式のn乗のかたちの級数をべき級数と呼びます。
マクローリン展開の形と、収束するべき級数の性質から次のオイラーの公式が示されます。
xを複素数,$i=sqrt{-1}$として
$e^{ix} = \cos x + i\sin x $
なお注意しておきますが、実数は複素数の部分集合です。
複素数のうち虚部が0になる数の集合が実数です。
応用上はxを実数に限ることが多いです。
以下証明と応用例を見ていきます。

複素数の範囲のべき級数の性質

オイラーの公式は複素数範囲で成り立つ公式です。
複素平面での点集合の議論はそれだけで話題1つ分の内容になります。
紙幅の都合上議論の概略を追う形にします。
最終的に示したいことは
べき級数展開された関数同士をたし算して、新しいべき級数が作れるということです。
それを踏まえて読んでいってください。

マクローリン展開の定義

$a,a_n,z$を複素数として
$a_0 + a_1(z-a) + a_2(z-a)^2 + … = \sum_{n=0}^{\infty}a_n(z-a)^n$
のかたちで表される級数をaを中心とするべき級数と呼ぶ。

べき級数の収束条件が次に考えたいことになります。
まず複素数列の収束とはを何かを述べます。

定義の解説

複素数列${z_n}$が複素数$\alpha(=\beta + i\gamma \betaと\gammaは実数)$に収束するとは
$\lim_{n \to \infty}|z_n – \alpha| = 0$
を満たすことである。

べき級数の収束を考える際重要になるのが、複素平面における円板のイメージです。
ある円板より外側では発散するが、内側では絶対収束する境界となる円板が存在します。
この円板の半径を、収束半径と呼びます。
ちなみに円周上で収束するかどうかは、級数によって変わってきます。
収束半径の求め方を議論に必要な範囲で紹介します。

定理1

極限
$\lim_{n \to \infty}|\frac{a_n}{a_{n+1}| = R (Rは0以上の整数または無限大)$
が存在すれば、Rが収束半径である。

この定理は級数のratio testの考え方から証明することができます。
以上から次の定理が示せます。

定理2

複素数で定義され、べき級数で表された関数$f(z)=\sum_{n=0}^{\infty}a_n(z-a)^n$、
$g(z)=\sum_{n=0}^{\infty}b_n(z-a)^n$のうち収束半径の小さい方をRとすると
|z-a| < Rで、
$1. f(z) \pm g(z) = f(z)=\sum_{n=0}^{\infty}(a_n \pm b_n)(z-a)^n$
$2. cf(z) = \infty_{n=0}^{\infty}ca_n(z-a)^n$
が成り立つ。

この定理のイメージは実数列が有限確定値に収束する場合、たし算、引き算、かけ算が出来るのと同じです。

定理2.2.を$\cos x$と$\sin x$に対して適用しましょう。
x=0のまわりのべき級数展開を考えます。
$\cos z = 1 – \frac{1}{2!}z^2 + \frac{1}{4!}z^4 – … = \sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^n}{(2n)!}z^{2n}$
$\sin z = \frac{1}{1!}z^1 – \frac{1}{3!}z^3 + \frac{1}{5!}z^5 = \sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^n}{(2n+1)!}z^{2n+1}$
$\exp{iz} = 1 + \frac{1}{1!}(iz) + \frac{1}{2!}(iz)^2 + \frac{1}{3!}(iz)^3 + \frac{1}{4!}(iz)^4 + …
= 1+ i\frac{1}{1!}z -\frac{1}{2!}z^2 – i\frac{1}{3!}z^3 + frac{1}{4!}z^4 + …$
なので、収束半径が$\infty$であることより
オイラーの公式が成り立つことが定理2.2.からいえます。
とくに$e^{i\pi} = -1$が成り立ちます。
この等式は数学の奇跡ともいわれます。

定数係数の2階線形常微分方程式への応用

電気回路や力学の振動を扱う際、頻出の2階線形常微分方程式を解く際オイラーの公式が威力を発揮します。
特性方程式が実数解が持たない場合に、オイラーの公式は登場します。

例題

常微分方程式
$\frac{d^2x}{dt^2} + 2\frac{dx}{dt} + 3x(t) = 0$の一般解を求めよ

常微分方程式を解く際、変数分離が使えない場合はいかにもそれっぽい解をパラメータを使ってつくります。
そして代入して、パラメータを求めるというのがよくある流れです。
また
$\cos x = \frac{\exp{ix} + \exp{-ix}}{2}$
$\sin x = \frac{\exp{ix} – \exp{-ix}}{2i}$
を利用するのがポイントです。

解答

実数$\alpha$にたいし
$x(t) = \exp{\alpha t}$とおき、微分方程式に代入する。
$(\alpha^2 + 2\alpha + 3)\exp^{\alpha t} = 0$
これより\alpha = -1 \pm i\sqrt{2}
なので、定数C_1,C_2に対し一般解は
x(t) = \exp^{-t} (C_1\sin (\sqrt{2}t) + C_2\cos(\sqrt{2}t))とあらわせる。

まとめ

オイラーの公式は指数関数と三角関数を複素数の範囲で結びつけてくれる公式です。
指数関数は扱いやすいため、周期が関わる様々な分野で計算を楽にしてくれる公式でもあります。
また複素数と円周率と-1が結びつく結果は神秘的ですらあります。
この公式はとても奥が深いので、さらに知りたい人は複素解析の本を読んでみてください!

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