【置換積分】tan x/2=tとおく三角関数の積分のやり方【工学博士監修】

\(\tan \displaystyle \frac{x}{2}=t\)とおくと、下記4つの式が得られる。

(1) \(\sin x=\displaystyle \frac{2t}{1+t^2}\)

(2) \(\cos x=\displaystyle \frac{1-t^2}{1+t^2}\)

(3) \(\tan x= \displaystyle \frac{2t}{1-t^2}\)

(4) \(dx=\displaystyle \frac{2}{1+t^2}dt\)

上記4式を使うことで、三角関数の積分はできる範囲が大幅に広がります。
ぜひとも覚えてほしいテクニックなので、詳細を解説していきます!

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※読みやすさの関係上、積分定数の\(C\)は省略して解説します。

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置換積分法について簡単に説明

本題に入る前に置換積分法について簡単に説明しておきましょう。
知っている方は『\(\tan \displaystyle \frac{x}{2}=t\)とおく理由』まで飛ばしてOKです。

積分には置換積分法というテクニックがあります。
今回の\(\tan \displaystyle \frac{x}{2}=t\)とおく積分も置換積分法の1種です。

置換積分法|不定積分
\(\displaystyle\int f(g(x))g'(x)dx=\displaystyle\int f(t) dt\)

置換積分法の証明など、詳しい解説は下記をご参照ください。

>置換積分法の解説<

\(\tan \displaystyle \frac{x}{2}=t\)とおく理由

では本題です。
\(\tan \displaystyle \frac{x}{2}=t\)とおく理由は、「2倍角の公式をうまく使えるから」です。

2倍角の公式とは

\begin{eqnarray}
(a)\ \sin 2\theta &=& 2\sin \theta \cos \theta \\ \\
(b)\ \cos 2\theta &=&\cos^2 \theta-\sin^2 \theta\\
&=& 2\cos^2 \theta-1\\
&=&1-2\sin^2 \theta\\\\
(c)\ \tan 2\theta&=&\displaystyle \frac{2\tan \theta}{1-\tan^2 \theta}
\end{eqnarray}

2倍角の公式とは\((a),\ (b),\ (c)\)の3つの式から成る公式である。

上記の2倍角の公式を使うことで、\(\sin x,\ \cos x,\ \tan x\)をうまい具合に変形できます。

\(\sin x\)の変形

\(\tan \displaystyle \frac{x}{2}=t\)とおくと、\(\sin x=\displaystyle \frac{2t}{1+t^2}\)と変形できます。
この計算をやっていきましょう


2倍角の公式の\((a)\)を使って変形する。

$$(a)\ \sin 2\theta = 2\sin \theta \cos \theta$$

\begin{eqnarray}
\sin x &=& 2\sin\displaystyle \frac{x}{2}\cos \displaystyle \frac{x}{2}\cdots(1) \end{eqnarray}

三角関数の相互関係より、\(\tan x=\displaystyle \frac{\sin x}{\cos x}\)なので、
$$\sin x=\tan x \cos x\cdots(2) $$
とできる。

\((1)\)に\((2)\)を代入すると、以下の式を得られる。

\begin{eqnarray}
2\sin\displaystyle \frac{x}{2}\cos \displaystyle \frac{x}{2} &=&2\tan\displaystyle \frac{x}{2}\cos^2 \displaystyle \frac{x}{2} \\ \\
&=& 2\displaystyle \frac{\tan\displaystyle \frac{x}{2}}{1 / \cos^2 \displaystyle \frac{x}{2}}\\\\
&=&2\displaystyle \frac{\tan \displaystyle \frac{x}{2}}{1+\tan^2\displaystyle \frac{x}{2}}\\\\
&=&\displaystyle \frac{2t}{1+t^2}\end{eqnarray}


変形の計算自体は覚えなくてもいいです!
忘れたときのために、「倍角の公式を使う」「三角関数の相互関係を使う」の2点を覚えておきましょう。

では、\(\cos x\)の変形に移ります。

\(\cos x\)の変形

\(\tan \displaystyle \frac{x}{2}=t\)とおくと、\(\cos x=\displaystyle \frac{1-t^2}{1+t^2}\)と変形できます。
この計算をやっていきましょう


2倍角の公式の\((b)\)を使って変形する。

$$(b)\ \cos 2\theta = 2\cos^2 \theta-1$$

\begin{eqnarray}
\cos x &=& 2\cos^2 \displaystyle \frac{x}{2}-1 \\
&=& \displaystyle \frac{2}{1 / \cos^2 \displaystyle \frac{x}{2}}−1\\\\
&=& \displaystyle \frac{2}{1+\tan^2\displaystyle \frac{x}{2}}-1\\\\
&=&\displaystyle \frac{2-(1+\tan^2 \displaystyle \frac{x}{2})}{1+\tan^2\displaystyle \frac{x}{2}}\\\\
&=&\displaystyle \frac{1-t^2}{1+t^2}
\end{eqnarray}


\(\sin x\)の変形と同様に変形の計算自体は覚えなくてもいいです!
\(\displaystyle \frac{1}{\cos^2 \displaystyle \frac{x}{2}}=1+\tan \displaystyle \frac{x}{2}\)の変形ができるかどうかが、この計算の重要ポイントです。

覚えるなら上記の変形だけにしておきましょう。

では\(\tan x\)の変形に移ります。

\(\tan x\)の変形

\(\tan \displaystyle \frac{x}{2}=t\)とおくと、\(\tan x= \displaystyle \frac{2t}{1-t^2}\)と変形できます。
この計算をやっていきましょう。

\(\tan x\)の変形は\(\tan x=\displaystyle \frac{\sin x}{\cos x}\)を使うことで簡単に変形できます。


\(\tan \displaystyle \frac{x}{2}=t\)とおくと、

(1) \(\sin x=\displaystyle \frac{2t}{1+t^2}\)

(2) \(\cos x=\displaystyle \frac{1-t^2}{1+t^2}\)より、

\begin{eqnarray}
\tan \displaystyle \frac{x}{2} &=& \displaystyle \frac{\sin \displaystyle \frac{x}{2}}{\cos \displaystyle \frac{x}{2}} \\\\
&=&\displaystyle \frac{2t}{1+t^2}\displaystyle \frac{1+t^2}{1-t^2}\\\\
&=&\displaystyle \frac{2t}{1-t^2} \end{eqnarray}


\(\tan \displaystyle \frac{x}{2}=t\)とおいて、\(\tan x\)を変形する積分はあまり見かけません。
しかし、全く使わないとも言えないので、\(\tan x=\displaystyle \frac{\sin x}{\cos x}\)から求めることは覚えておいても損はないでしょう。

では\(dx\)をの変形に移ります。

\(dx\)の変形

置換積分法では\(\displaystyle\int dx\)の\(dx\)を\(dt\)に変形する必要があります。

\(\tan \displaystyle \frac{x}{2}=t\)とおくと、\(dx=\displaystyle \frac{2}{1+t^2}dt\)と変形できます。
この計算をやっていきましょう。


\((\tan x)’=\displaystyle \frac{1}{\cos^2 x}\)より、

\begin{eqnarray}
\displaystyle \frac{dt}{dx}&=&\displaystyle \frac{1}{2}\displaystyle \frac{1}{\cos^2 \displaystyle \frac{x}{2}}\\ \\
&=& \displaystyle \frac{1}{2}(1+\tan^2 \displaystyle \frac{x}{2})\\
&=&\displaystyle \frac{1+t^2}{2}\\
dt &=&\displaystyle \frac{1+t^2}{2}dx\\\\
∴\ dx &=& \displaystyle \frac{2}{1+t^2}dt\\ \end{eqnarray}


4つの式の変形は以上になります。
実際に\(\tan \displaystyle \frac{x}{2}=t\)を使って、少し難しい積分を1問解いてみましょう。

\(\tan \displaystyle \frac{x}{2}=t\)の積分例題

【例題】

$$\displaystyle\int\displaystyle \frac{1}{\cos x+2}dx$$

【解答】

\(\cos x=\displaystyle \frac{1-t^2}{1+t^2}\)

\(dx=\displaystyle \frac{2}{1+t^2}dt\)より、

\begin{eqnarray}
\displaystyle\int\displaystyle \frac{1}{\cos x+2}dx &=&
\displaystyle\int\displaystyle \frac{1}{(1-t^2/1+t^2)+2}\cdot\displaystyle \frac{2}{1+t^2}dt\\ \\
&=& \displaystyle\int\displaystyle \frac{1}{3+t^2/1+t^2}\cdot\displaystyle \frac{2}{1+t^2}dt\\\\
&=& \displaystyle\int\displaystyle \frac{1+t^2}{3+t^2}\cdot\displaystyle \frac{2}{1+t^2}dt\\\\
&=&\displaystyle\int\displaystyle \frac{2}{3+t^2}dt\\\\
&=& \displaystyle \frac{2}{3} \displaystyle\int \displaystyle \frac{1}{1+\left(\displaystyle \frac{t}{\sqrt{3}} \right)^2}dt\\
\end{eqnarray}

\((\tan^{-1}x)’=\displaystyle\frac{1}{1+x^2}\)より、

\begin{eqnarray}
&=& \displaystyle \frac{2}{3} \cdot\sqrt{3}\tan^{-1} \displaystyle \frac{t}{\sqrt{3}}\\ \\
&=& \displaystyle \frac{2\sqrt{3}}{3}\tan^{-1} \displaystyle \frac{\tan \displaystyle \frac{x}{2}}{\sqrt{3}} \end{eqnarray}

この例題のように、\(\tan \displaystyle \frac{x}{2}=t\)を使わないと解けない積分はたくさんあるので、覚えておいて損はないテクニックですよ。

今回は以上です!

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