三角比と三角関数は似ているようで大きく違います。三角比は三角形だけを相手にしていますが、三角関数は波を表しています。どちらも「sin, cos, tan」の3つを利用するのにややこしいですよね。
なので全体像を知らずに学んでいると、三角関数で突然円やグラフが出てきて、わけが分からなくなります。そこに加法定理まで現れて、理解不能になってしまう構図です。
どの単元でもそうですが、まずは全体像を掴む。そこから勉強を始めると理解度がグンッと上がります。
あとは、ゴールが見えていることも大事ですね。
ゴールが見えると、「今どの辺で何をしてるのかな?」って意識ができて、漠然とした暗記から抜け出すことができます。登山で言うと下から頂上を見上げるイメージです。
三角比と三角関数のゴールは、
数Ⅰ:三角比の性質を理解する。
数Ⅱ:加法定理を使いこなす!
です。前置きが長くなりましたが、早速全体像を掴んでいきましょう!

この段階では流し読み程度で、理解できなくていいよ。

はーい!まだ山は登らない感じだね!
三角比と三角関数の違い
全体像把握で一番大事なのが三角比と三角関数の違いです。
簡単に言うと三角比は測量なんかで使われていて、山や木の高さを測るときなどに役に立ちます。
詳しくは”三角比・三角関数の基礎sin・cos・tanが超簡単に分かる解説”に記載
一方で三角関数は波を表しています。
こんな感じです。見た目で全然違うのが分かると思いますが、どちらもサイン・コサイン・タンジェントを使うので、ややこしくなるのです。
何が何だか分からなくてもいいので、今は流し読みしてくださいね!

なるほどねえ。同じものだと思ってたよ。

ここからは三角比と三角関数を大雑把に予習するよー
三角比
まずは三角比から説明します。
三角比は直角三角形の2辺の長さの比
三角比は簡単に言うと直角三角形の2辺の長さの比です。
この角度θによって、rとxとyの比が変わっていきます。代表的な直角三角形を2つ紹介します。
小学校でも習う三角形ですね。このような三角形の辺の比を三角比と呼び、三角比を表すのがsin,cos,tanの3つです。
覚えるのは3つ|sin,cos,tan
今は覚えなくていいですが、「こういうのがあるんだ~」くらいに理解しててください!
- \(\sin θ=\frac{r}{y}\)・・・①
- \(\cos θ=\frac{r}{x}\)・・・②
- \(\tan θ=\frac{y}{x}\)・・・③

こういうのがあるんだ~
三角比の性質と相互関係
三角比の性質がいくつかありますが、
$$\sin^2 θ+\cos^2 θ=1・・・(1)$$
$$\tan θ=\frac{\sin θ}{\cos θ}・・・(2)$$
$$\tan^2 θ+1=\frac{1}{\cos^2 θ}・・・(3)$$
$$1+\frac{1}{\tan^2 θ}=\frac{1}{\sin^2 θ}・・・(4)$$
このような式があります。これらを理解する、使いこなせる、というのが三角比のゴールです!

まだ何のことか分からないだろうし難しいと思うけど、一個ずつやっていくと誰でも理解できるようになるからね!

ここからは三角関数だね!
三角関数
ここから三角関数です。三角比との違いを意識しながら、読んでみてください。ただし理解しようとせずに流し読みです!笑
三角関数が表すのは波
三角比が三角形の辺の長さの比であったのに対して、三角関数は波を表す関数です。携帯やテレビを使うときの電波だったり、音楽などの音波も三角関数がないと成り立ちません。
三角関数はこれらの波を扱うための基礎となります。それを意識しながら学習すると、少しはイメージしやすいかもしれませんね。
三角比では三角形を扱っていたのに、突然上の図のような波が現れるので心の準備をしておきましょう!

うお!なんじゃこりゃ!!
360°法から弧度法へ
三角関数では弧度法という方法を使います。簡単に図だけ貼っておくとこんな感じです。

今は「こんな考え方もあるんだなあ」くらいで大丈夫だよ!
最後は加法定理
三角関数の全体像把握まであと1つです。加法定理が分かれば三角関数は大体OKまで来ます。
ただ加法定理の後には、加法定理を応用する公式ラッシュがやってきます。そこはまた個別の記事で紹介しますね。
加法定理とは
加法定理はこの6つの式です。
$$\sin(α+β)=\sinα\cosβ+\cosα\sinβ\cdots(1)$$
$$\sin(α-β)=\sinα\cosβ-\cosα\sinβ\cdots(2)$$
$$\cos(α+β)=\cosα\cosβ-\sinα\sinβ\cdots(3)$$
$$\cos(α-β)=\cosα\cosβ+\sinα\sinβ\cdots(4)$$
$$\tan(α+β)=\frac{\tanα+\tanβ}{1-\tanα\tanβ}\cdots(5)$$
$$\tan(α-β)=\frac{\tanα-\tanβ}{1+\tanα\tanβ}\cdots(6)$$
証明や覚え方は”加法定理の証明と覚え方を詳しく解説!”に記載しております。

意味不明すぎるけど大丈夫かなあ?

三角比からゆっくりやっていけば、絶対に分かるようになるから安心していいよ
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