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[数A]余事象の確率|ゼロから学べる使い方・見分け方

余事象は確率を学ぶ上では避けて通れません。それほど使いやすく優秀な方法ということです。

普通の確率との違いはどこにあるのか?どう言う場面で威力を発揮する方法なのか?今回は普通の確率を計算する場面と余事象を使う場面を紹介して、余事象の使い方や見分け方を解説していきたいと思います。

目次

余事象を使わない場合の例

まずは、理解を深めるために普通の確率を使う例を紹介します。今回は 画像のようなくじ引き(ガチャガチャ)を例にします。

例題

”ここに100個のカプセルが入ったガチャガチャがあります。99個はハズレで1個は当たりです。100人が1回ずつカプセルを引けるとき、何番目に引くと当たる確率が最も高くなるでしょう。”

なんとなく最初に引くとハズレが多いし、後に引いた方がいい気がしますね。でも後に引くと、前の人が当たりを引いたら自分が引くときにはハズレしか残っていない状況も考えられます。さて何番目に引くのが最も当たりを引く確率が高くなるのか。数学的に導いてみましょう。

先に結論を書くと、答えは何番目に引いても当たりを引く確率は\(\frac{1}{100}\)です。

 

解説していきます!

1番目に引く人が当たりを引く確率\(P_1\)は、「1番目の人が当たりを引く確率」なので\(\frac{1}{100}\)です。これは分かりやすいですね。100個のくじ引きから1個の当たりを引く確率なので\(\frac{1}{100}\)となります。

 

2番目に引く人が当たりを引く確率\(P_2\)は、「1番目の人がハズレを引いて、2番目の人が当たりを引く確率」なので、

$$P_2=\frac{99}{100}\times \frac{1}{99}=\frac{1}{100}$$

となります。

 

3番目に引く人が当たりを引く確率\(P_3\)は、「1番目・2番目の人がハズレを引いて、3番目の人が当たりを引く確率」なので、

$$P_3=\frac{99}{100}\times \frac{98}{99}\times \frac{1}{98}=\frac{1}{100}$$

となります。

 

4人目以降は省略しますが、何番目に引いても当たりを引く確率は\(\frac{1}{100}\)で一定です。

余事象を使わない場合|100回引いて当たりが出る確率は?

ガチャガチャの中身が100個で当たりが1個の場合、100回引いて当たりが出る確率は何%か。

引いたくじ引きを戻さない場合、答えは100%です。つまり、100回引けば絶対に当たりを引くことができます。引く回数を横軸、当たりを引ける確率を縦軸にすると下記のグラフの様になります。

これは引いたカプセルを販売機に戻さないから、100回引くことで確実に当たりを引けます。一方でソシャゲのガチャはどうでしょうか。システム的には引いたくじを戻すものが大多数ですが、その場合の当たりを引く確率を求めるには余事象を使う必要があるのです。

余事象を使う場合の例(ガチャ)

先ほどは引いたガチャを戻さない場合の例を見てきました。ここでは引いたガチャを戻す場合を考えます。余事象を使って確率を求める必要がある場合になります。

さっきは100回ガチャを引いたら100%当たりが出ましたね。では、引いたガチャを戻す場合に100回引くと当たりが出る確率は何%でしょうか。計算してみましょう。

 

求める確率は、当たりの確率が1%のガチャを100回引いたとき、当たりが少なくとも1回は出る確率です。つまり、1回でも当たりが出ればOKということになります。

なぜこの確率を求めるかと言いますと、当たりが出てもハズレが出ても引いたガチャを戻すので、100回引くと2回、3回と当たりが出る可能性があるためです。

 

じゃあ、どうやって求めるか。

考え方としては、100回引いても当たりが1回も出ない確率を求めて、100%から引きます。例えば100回引いても当たりが1回も出ない確率が30%だとしたら、1回は当たりが出る確率は70%ということになります。

では、実際に計算してみましょう。

 

100回引いても当たりが出ない確率\(P_n\)は、100回連続で\(\frac{99}{100}\)を引く確率です。

$$P_n=(\frac{99}{100})^{100}\simeq0.366$$

つまり、当たりの確率が1%のガチャを100回引くと約36.6%の確率で当たりは引けないことになります。

では、当たりが少なくとも1回は出る確率を求めてみましょう。これはもう簡単です。

$$1-0.366=0.634$$

となります。思ったより低い結果ではないでしょうか。

ちなみにグラフにすると下記の様になりまして、500回引いても当たる確率は100%にはなりません。(実際何回引いても絶対に100%にはならない計算です。)

参考ですが、500回引いたときに少なくとも1回は当たりを引く確率\(P_{500}\)は、

$$P_{500}=1-(\frac{99}{100})^{500}=0.9934\ \rightarrow\ 99.34\%$$

となります。

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なぜ余事象を使うのか

なぜこんなに面倒な計算をするの?と疑問に思ったかもしれません。その説明をしていきます。

少なくとも1回は当たる確率をそのまま求めるには、

1回当たる確率+2回当たる確率+3回当たる確率+・・・+100回当たる確率

という計算をしないといけません。この計算をするよりは、余事象を使った方が簡単ですよね。

 

ちなみに1回だけ当たる確率\(P_1\)を求めると下記のようになります。

$$P_1=(\frac{99}{100})^{99}+\frac{1}{100}\simeq 0.38$$

ってことで約38%ととなります。

余事象のまとめ

  1. 余事象は求めたい確率がいくつかの確率の和で求めらるときに、逆の事象の確率を求めて100%から差し引く方法
  2. 全ての和を求めて足すより効率的なため使われる
  3. 引いたガチャを戻す場合、当たりが1%のガチャを100回引いたときに少なくとも1回は当たりを引く確率は約63%と思ったより低い

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