今回は\(e^x\)について解説していきます。
\(e^x\)は微分しても積分しても\(e^x\)のままという、変わった関数です。
$$(e^x)’=e^x\Leftrightarrow \displaystyle\int e^x dx=e^x+C$$
上記の式のように、同じ関数が出てきます。(Cは積分定数)
なぜ、同じ関数が出てくるのかに焦点を当てて解説していきます!
e(ネピア数)とは何か
\(e\)(ネピア数)は自然対数の底としても使われている数です。
\(\log_e x\)みたいな使われ方をしており、\(\log x\)と省略していいルールができるくらい良く使われます。
このネピア数の定義は、下記の通りです。
ネピア数の定義
\(y=a^x(a>0,\ a≠0)\)の\(x=0\)における微分係数が\(1\)となる値
ネピア数\(e\)は無理数であり、
\(e=2.718281828459\cdots\)であることが知られている
1つずつ解説していきましょう。
ネピア数の定義について1
「\(y=a^x(a>0,\ a≠0)\)の\(x=0\)における微分係数が\(1\)となる値」について解説します。
\(y=a^x\)の\(x=0\)における微分係数は、\(y=a^x\)の\(x=0\)における接線の傾きを求めることになります。
接線の傾きは\(a\)が大きいほど大きくなることがわかっています。
\(a=2\)では\(1\)より小さく、\(a=3\)では\(1\)より大きくなるため、\(a=2\)と\(a=3\)の間に微分係数が\(1\)になる\(a\)があることがわかります。
赤線が\(y=2^x\)、青色が\(y=3^x\)のグラフです。
この微分係数が\(1\)になる\(a\)の値がネピア数\(e\)であり、
\(e=2.718281828459\cdots\)というわけです。
ネピア数が必要な理由
なぜこんなややこしい値が必要かというと、「微分しても積分しても変わらない関数が欲しかった」からです。
前置きが長かったのですが、やっと本題です。
つまり、「ネピア数は微分しても、積分しても変わらない関数」は正確には間違いで、
正確には「微分しても積分しても変わらない関数を作った」になります。
詳しく説明していきます。
\(a^x\)の\(x=0\)での微分係数を求めてみましょう。
\(f(x)=a^x\)とします。
\begin{eqnarray}
\displaystyle \lim_{h\to 0}\displaystyle \frac{f(x+h)-f(x)}{h}&=&
\displaystyle \lim_{h\to 0}\displaystyle \frac{a^{x+h}-a^x}{h} \\ \\
&=& \displaystyle \lim_{h\to 0}\displaystyle \frac{a^x a^h-a^x}{h}\\\\
&=& \displaystyle \lim_{h\to 0}\displaystyle \frac{a^0 a^h-a^0}{h}\\\\
&=& \displaystyle \lim_{h\to 0}\displaystyle \frac{a^h-1}{h}
\end{eqnarray}
この\(\displaystyle \lim_{h\to 0}\displaystyle \frac{a^h-1}{h}\)が\(1\)になる\(a\)が\(e\)となります。
$$\displaystyle \lim_{h\to 0}\displaystyle \frac{e^h-1}{h}=1$$
というわけです。
\(e^x\)の微分
すると、下記のようにネピア数\(e\)を微分できます。
\begin{eqnarray}
(e^x)’ &=& \displaystyle \lim_{h\to 0}\displaystyle \frac{e^{x+h}-e^x}{h} \\ \\
&=& \displaystyle \lim_{h\to 0}\displaystyle \frac{e^x e^h-e^x}{h}\\\\
&=& e^x\displaystyle \lim_{h\to 0}\displaystyle \frac{e^h-1}{h} \end{eqnarray}
ここで、\(\displaystyle \lim_{h\to 0}\displaystyle \frac{e^h-1}{h}=1\)より、
\begin{eqnarray} (e^x)’&=& e^x\cdot 1 \\
&=& e^x \end{eqnarray}
\((e^x)’=e^x\)を証明できました。
\(\displaystyle \lim_{h\to 0}\displaystyle \frac{a^h-1}{h}=1\)となる\(a(=e)\)があったから、\((e^x)’=e^x\)が計算できました。
先述したとおり、「\((a^x)’=a^x\)が成り立つ\(a\)を探したら\(e(=2.71\cdots)\)が見つかった。」の方が正確ですが、まあどちらでもOKです。
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\(e^x\)を積分する
最後に下記の積分についてです。
$$\displaystyle\int e^x dx=e^x+C$$
\(C\)は積分定数です。
上記の積分の証明は、\((e^x)’=e^x\)であり、積分は微分の逆なので成り立つ。
となります。
今回は以上です!
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