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[数2]不等式の証明、パターン、等号成立、コツ、絶対値をわかりやすく解説

不等式の証明とは、A>Bという不等式が成り立っているのかを示すことです。

不等式の証明には、性質を知り使いこなす必要があるため、苦手な学生さんが多いです。
そこでこの記事では、不等式の性質を解説し、証明パターンも全て紹介しました!

最後には相加平均、相乗平均を使う不等式の証明も解説しているので、ぜひ最後まで読んでみてください!
不等式の証明を得点源にしましょう。

以下の不等式は成り立つ?

a>bのとき不等式5a-3b>3a-bは

目次

不等式の証明とは?

不等式の証明とは、$A>B$という不等式が成り立っているのかを示すことです。
まずは不等式の基本性質4つを確認しましょう。

  1. $a>b,b>c ⇒a>c$
    aがbより大きくbがcより大きければ、aはcより大きいです。
  2. $a>b⇒a+c>b+c,a-c>b-c$
    不等式の両辺に同じ値を足しても引いても大小関係は変わりません。
  3. $a>b,\ c>0⇒ac>bc,\ \displaystyle \frac{a}{c}>\displaystyle \frac{b}{c}$
    不等式の両辺に同じ正の値cを掛けてもcで割っても両辺の大小関係は変わりません。
  4. $a>b,\ c<0⇒ac<bc,\ \displaystyle \frac{a}{c}<\displaystyle \frac{b}{c}$
    不等式の両辺に同じ負の値cを掛けたり、cで割ると両辺の大小関係は逆になります。

これら4つの不等式の基本の性質から、2つ数の大小関係と差について次の性質が成り立ちます。

  1. $a>b⇔a-b>0$
    $a-b>b-b→a-b>0$ですね。
  2. $a<b⇔a-b<0$

不等式$A>B$を証明するには、「5.$a>b⇔a-b>0$」を使って$A-B>0$になることを証明すればいいのです。

不等式の証明のパターン

不等式の証明パターンには、基礎的な計算で証明するもの、絶対値の性質を使って証明するもの、実数の平方の性質を使って証明するものがあります。それぞれ、例題を解きながら解説します。

基礎的な計算の利用

$A>B$を証明するには、$A-B>0$になることを示します。左辺-右辺の式を作るところから始めます。

例題

$a>b$のとき不等式$5a-3b>3a-b$が成り立つことを証明せよ。

証明

ここで、条件に$a>b$とあるので$a-b>0$
よって、$左辺-右辺=2(a-b)>0$となる。
したがって、$5a-3b>3a-b$


不等式の証明問題は、両辺の差の計算から始めるパターンが多いので、まずはこの基礎的な計算の方法をマスターしましょう。

絶対値の性質の利用

不等式の証明には絶対値を含む式を証明する問題があります。
この場合、そのまま両辺の差の計算を使って証明することは難しいです。

絶対値を含む不等式は、最初に「両辺の2乗の差」の計算をして、式を変形することで証明しやすくなります。
例題を解く前に絶対値の性質を確認しておきましょう。

絶対値の性質

  1. $a≧0$のとき$|a|=a, a<0$のとき$|a|=-a$
    【例:|2|=2,|-2|=-(-2)=2】
  2. $|a|^2=a^2$←これが重要です!
  3. $|a||b|=|ab|$
  4. $|a|≧0$
  5. $|a|≧a,|a|≧-a$
    絶対値の値は絶対値の中の値より小さくなることはありません。

これら5つの絶対値の性質を不等式の証明に利用します。
では例題を解いていきましょう。

例題

不等式$|a+b|≦|a|+|b|$を証明せよ。

まずは$(|a|+|b|)^2-(|a+b|)^2≧0$になることを証明します。
この問題の場合不等号の向きから、右辺-左辺ですね。

証明

よって、$(|a|+|b|)^2≧(|a+b|)^2$になり、両辺を入れ替えると、$(|a+b|)^2≦(|a|+|b|)^2$となる。

$|a+b|≧0,|a|+|b|≧0$であるから、(絶対値の値は0以上です。)
$|a+b|≦|a|+|b|$(左辺、右辺の2乗をとっても大小関係は変わりません。)


不等式の証明ができました。
絶対値が含まれる不等式の証明では「両辺の2乗の差」から始めて、絶対値の性質を利用しましょう。

実数の平方の性質の利用

実数の平方の性質について確認しましょう。

  1. 1.実数aについて$a^2≧0$
    実数aが正の値でも負の値でも2乗すると0以上になります。等号が成り立つのは、a=0のときである。
  2. 実数a,bについて$a^2+b^2≧0$
    等号が成り立つのは、⑬かつ⑭、すなわちa=b=0のときである。

この実数の2乗は0以上になるという性質を不等式の証明に利用します。

例題

不等式$a^2+b^2≧2ab$を証明せよ。また、等号が成り立つのはどのようなときか。
左辺-右辺の式を平方の形に変形し、0以上であることを示します。

証明

したがって、$a^2+b^2≧2ab$
等号が成り立つのは$a-b=0$すなわち$a=b$のときである。


不等式に2次式が含まれているときは両辺の差を平方の形に変形し、「実数の2乗は0以上」の性質を使って証明しましょう。

不等式の証明|相加相乗平均を使う方法

不等式の証明には、「相加平均と相乗平均の大小関係」を使って解く問題もあります。
使うタイミングは、式の形に注目してください。
$a+\displaystyle \frac{1}{a}≧2$ のように逆数の和が含まれる不等式のときは、「相加平均と相乗平均の大小関係」使って証明します。

詳しくは下記の記事が参考になります。

※参考記事
[数2]相加平均と相乗平均の大小関係、証明、いつ使う?わかりやすく解説

\ おすすめの参考書! /

不等式クイズ!

以下の不等式は成り立つ?

a>bのとき不等式5a-3b>3a-bは

不等式の証明まとめ

不等式の証明について解説しました。
ポイントは下記の3つです。

  1. $A>B$の不等式が成り立つことを証明するには、$A-B>0$になることを証明します。
  2. 不等式の証明パターンには基礎的な計算、絶対値の計算、平方の計算があります。式の形を見て使い分けましょう。
  3. 不等式の証明には、「相加平均と相乗平均の大小関係」を使って解く問題もあります。

不等式の証明を3つの例題を解きながら解説しました。ポイントは式の形です。式の形を見て、どのパターンを使うのかを考えてみましょう。

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