今回は数学的帰納法について説明します。
数学的帰納法は全ての自然数を入れて成り立つことを証明する、証明法です。
$$n=1,\ 2,\ 3\cdots$$
全てが成り立つことを証明できる、画期的な発明です!
ぜひ最後まで読んで数学的帰納法を理解しましょう!
目次
数学的帰納法とは
数学的帰納法とは、ある式が全ての自然数で成り立つことを証明する方法です。
難しいですね。
正直私も最初は「ん???」でした。
1つずつ説明しましょう。
例えば、
nが自然数のとき、\(n^3+2n\)は3で割り切れることを証明せよ。
という問題で、nが全ての自然数で成り立つことを証明できる方法になります。つまり、\(n^3+2n\)の\(n\)にどんな自然数が入ったとしても\(3\)で割り切れるぞ!ということを示さないといけません。
自然数自然数は1から始まる正の整数全てを指します。
$$1,\ 2,\ 3,\ \cdots$$
自然数全てを証明することは不可能です。自然数は無限個あるので、一生を捧げても証明できません。
では、どうするか・・・。数学的帰納法を使えば証明できてしまいます。
しかも、証明する事は2つだけでOKです。
では、なぜ2つだけの証明で全ての自然数で成り立つと言えるのか。その仕組みについて見ていきましょう。
数学的帰納法の仕組み
一言で語るのは難しいのですが、数学的帰納法は連鎖的に全ての自然数を証明するものになります。
先ほども話した通り、数学的帰納法は下記のたった2つのステップで証明できます。
数学的帰納法の2STEP
STEP1
n=1が成り立つことを証明する。
STEP2
n=kが成り立つと仮定したとき、n=k+1が成り立つことを証明する。
順番に説明します。
まずは、\(n=1\)が成り立つと証明します。これで\(n=1\)のとき成り立つと証明できます。(当たり前ですね。)これはイメージしやすいと思います。\(n\)に\(1\)を代入して計算すればOKで、STEP1は完了です。
次に\(n=k\)が成り立つと仮定したとき、\(n=k+1\)が成り立つことを証明します。これがイメージしにくいですよね。
簡単に言うと、\(n\)が何かしらの自然数\((k)\)で成り立つと仮定したとき、\(n=k+1\)でも成り立つことを確認するのです。
(やり方は後ほど詳しく説明します。安心してください。)
(やり方は後ほど詳しく説明します。安心してください。)
この2STEPを証明することで、以下のように連鎖的に全ての自然数が証明されます。
\(n=1\)を証明(STEP1)
\(n=1\)が成り立つなら\(n=2\)もok(ステップ2で\(k=1\))
\(n=2\)が成り立つなら\(n=3\)もok(ステップ2で\(k=2\))
\(n=3\)が成り立つなら\(n=4\)もok(ステップ2で\(k=3\))
…
n=kが成り立つと仮定したとき、n=k+1が成り立つことを証明しているので、\(n=k=1\)のとき\(n=k+1=2\)が成り立つことが分かります。すると連鎖的に\(k=2\)でもOK。\(k=3\)でもOKと、全ての自然数で成立していきます。
数学的帰納法の使い方
先ほどの例題を使って解説します。
例題nが自然数のとき、\(n^3+2n\)は3で割り切れることを証明せよ。解答数学的帰納法で証明する。まずは何を使って証明するのか書きましょう。(i)n=1のとき$$1^3+2\times1=3$$となり、3で割り切れる。まずは\(n=1\)のときの証明をします。(ii)n=kのとき、\(n^3+2n\)は3で割り切れると仮定する。n=k+1のときここでは\(k^3+2k\)が3で割り切れると仮定すると、\((k+1)^3+2(k+1)\)も3で割り切れることを証明します。\begin{align}与式 &=(k+1)^3+2(k+1)\\&=k^3+3k^2+3k+1+2k+2\\&=k^3+2k+3(k^2+k+1)\end{align}\(3(k^2+k+1)\)は\(3\)の倍数である。また仮定より、\(k^3+2k\)は3で割り切れるため、\(k^3+2k+3(k^2+k+1)\)は\(3\)で割り切れる。よって、\(n=k+1\)のときに\(n^3+2n\)は3で割り切れる。以上(i)(ii)より、nが自然数のとき、\(n^3+2n\)は3で割り切れる。
読むだけだと理解するのが精一杯で使いこなせるようにはなりません。使いこなせるようになるためには練習あるのみです。
それだけ数学的帰納法は難しいと思います。
今回は以上です!
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