今回は中学3年生で習う二次関数の解説です。
一次関数は直線でしたが、二次関数は式の中に\(x^2\)が出てきて、グラフが曲線になります。
一次関数とは大きく違うってことですね。
今回はそんな二次関数の中学で習う範囲を、勉強する理由から応用まで全て解説します!具体的にはこんな内容です。
この記事を読めば中学数学の二次関数は完全に理解できます!
学ぶ理由「二次関数は技術進歩の根幹」

二次関数の内容に入る前に、なぜ二次関数を学ぶ必要があるのかを共有します。
学ぶ理由を少しでも知ることで、モチベーションの維持につながるからです!知っておいて損なしですよ。
結論は【世の中の多くが二次関数で表せるから】です。
例1 投げたボールの軌道

後で詳しく説明しますが、二次関数のグラフは放物線(ほうぶつせん)とも呼ばれます。
放った物の線と書いて放物線ですね。
つまり、ボールを投げた時の軌道が二次関数で表せるわけです。
スポーツのデータ活用だったり、ミサイルの軌道計算なんかにも使われています。
例2 打ち上げたロケットの速度
止まっている物が動き出すときの速度も二次関数になることが知られています。
代表的なのがロケットの打ち上げです。
ロケットの打ち上げにはたくさんの計算が必要ですが、速度計算は二次関数を使います。
もちろんロケットの軌道も二次関数を使った計算ですよ。例1のやつですね。
このように多くの計算で二次関数を使用します。

僕も研究の時はよく二次関数を使っていました。今の段階では「二次関数って結構便利そうだなー」くらいの感覚を持っておくといいでしょう!
二次関数って何?|\(y=ax^2\)のこと

便利な二次関数ですが、「そもそも二次関数って何?」という疑問が出てきます。
ズバリ!中学数学の二次関数はこれです!
$$y=ax^2$$

これが何かわからないよ
そんな声が聞こえてきそうですね。
理解するために「そもそも関数って何?」を簡単に説明します。
関数とは\(x\)を入れたら\(y\)が出てくる機械

関数とは、何か数字を\(x\)として入れたら、何かの数字が\(y\)として返ってくる機械のことです。
例えば\(y=2x+1\)という一次関数があったとしましょう。
この関数に\(x=2\)と入力すると、\(y=5\)という出力が出てきますね。
このように入力の数を\(x\)に入れると、出力の\(y\)が出てくる機械が関数です。
一次関数や二次関数はその機械の種類ごとに名前をつけているだけなんですね!
そして、中学で習う二次関数は\(y=ax^2\)というわけです。

高校数学では範囲が広がる
余談ですが、高校数学でも二次関数は登場します。
式の形が大幅に変わって、
$$y=ax^2+b+c$$
となります。何だかすごく難しそうですね。
高校で習う二次関数で困らないためにも、基本的な形である\(y=ax^2\)をしっかり理解しておきましょう。
二次関数のグラフは\(a\)だけで決まる

二次関数は\(a\)が変わることで、グラフの形が変わったり計算が変わったりします。
\(y=ax^2\)で\(x\)が入力、\(y\)が出力なので、二次関数で変わるのは\(a\)だけというわけです。つまり、二次関数は\(a\)が何になるかだけで全てが決まるのです。
\(y=ax+b\)の一次関数だと\(a\)と\(b\)でどんな直線か決まっていましたが、二次関数は\(a\)だけなのです。
では、二次関数の例をみてみましょう。
二次関数の例
- \(y=x^2\ (a=1)\)
- \(y=3x^2\)
- \(y=-2x^2\)
- \(y=\displaystyle \frac{1}{4}x^2\)
このように\(x^2\)の前にある数字(\(x^2\)の係数)が変わります。
「係数が変わるよ」って意味で、\(y=ax^2\)のように\(a\)が使われているわけです。
一次関数との違いは次数
ここで、一次関数との違いを知っておきましょう。
$$y=ax+b$$
この式で表されるのが一次関数です。
これは\(x\)が『一次』だよ。ってことで『一次関数』と呼ばれています。
二次関数の場合は\(y=ax^2\)でしたね。
この\(x^2\)が『二次』だよね。ってことで『二次関数』と呼ばれています。
この後解説しますが、グラフの形も一次関数と二次関数で全く違います。
ではグラフについて解説していきましょう!
aで決まるグラフの形

二次関数のグラフは\(y=ax^2\)の\(a\)の値で大きく異なります。
\(a\)の値が大きいほど、グラフの開きは狭くなります。
逆に\(a\)の値が小さいと、グラフの開きは広くなります。
これは、二次関数が\(x^2\)に比例しているためです。
例えば\(y=x^2\)を考えてみましょう。

ここで、\(x\)に\(1~3\)を代入してみましょう。
\(y=x^2\)の\(x\)に\(1\)を入れると、\(y=1^2=1\)で\(y=1\)
\(y=x^2\)の\(x\)に\(2\)を入れると、\(y=2^2=4\)で\(y=4\)
\(y=x^2\)の\(x\)に\(3\)を入れると、\(y=3^2=9\)で\(y=9\)
このように、\(x\)が\(1\rightarrow2\)と\(2\)倍になると\(y\)は\(4\)倍になります。
\(x\)が\(1\rightarrow3\)と\(3\)倍になると\(y\)は\(9\)倍になります。
二次関数のグラフは放物線
では、先ほどの表をグラフにしてみましょう。

このように二次関数のグラフは放物線となります。
では、\(a\)の値を変えたグラフをいくつか見てみましょう!
今回は、
- \(y=3x^2\ (a=3)\)
- \(y=x^2\ (a=1)\)
- \(y=\displaystyle \frac{1}{4}x^2\ (a=\displaystyle \frac{1}{4})\)
の3パターンを描いてみました。

グラフの通り、\(a\)が大きいほど狭く、\(a\)が小さいほどグラフは広くなります。
グラフは\(a\)の値で形が変わる。その1
\(a\)の値が大きいほど、グラフの開きは狭くなる。
\(a\)の値が小さいと、グラフの開きは広くなる。

\(a\)が負の数の場合はグラフの向きが逆になるよ!その説明をしていくね!
\(a\)が負の数の場合のグラフ
\(a>0\)の場合、つまり\(a\)が正の数のときはグラフは上向きに凸となります。
\(a<0\)の場合、つまり\(a\)が負の数のときはグラフは下向きに凸となります。
\(y=-x^2\)の場合の表を見てみましょう。
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表の通り、\(y\)は全て負の数となります。
これは\(x^2\)がどんな値でも\(a=-1\)なので、\(y=-1\times x^2\)となるためです。
ではグラフにしてみましょう。
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\(a=-3,\ a=-1,\ a=-\displaystyle \frac{1}{4}\)の3種類のグラフを描いてみました。
先ほどと同様に\(a\)が小さくなるほど、グラフは広がっています。
しかし、\(a<0\)のため、グラフの向きが逆さになっていることがわかります。
グラフは(a)の値で形が変わる。その2
\(a>0\)の場合、つまり\(a\)が正の数のときはグラフは上向きに凸となる。
\(a<0\)の場合、つまり\(a\)が負の数のときはグラフは下向きに凸となる。
応用|一次関数との複合で面積を求める

最後に二次関数の応用について解説していきます。
具体的には二次関数と一次関数が複合して、交点2つと原点の合計3点で三角形を作ることになります。

文字で説明しても難しいので、例題を解いていきましょう!
【例題】
\(y=ax^2\)のグラフ\((1)\)と\(y=ax+b\)のグラフ\((2)\)がある。\((1)\)と\((2)\)の交点を\(A,\ B\)として原点を\(O\)とする。\(A\)の\(x\)座標は\(-1\)、\(B\)の\(x\)座標は\(2\)である。
\(1\). \((1)\) のグラフで、\(x\)が\(2\)から\(4\)になったとき、\(y\)の値は\(24\)大きくなった。\(y=ax^2\)の\(a\)の値を求めよ。
\(2\). \((2)\)の直線の式を求めよ。
\(3\). \(A,\ B,\ O\)からできる三角形の面積を求めよ。

問題文だけ見ると難しそうですが、図を書きながら1つずつ解答していきましょう。
\((1)\)の解答|変化の割合
(1)は変化の割合の問題ですが、変化の割合を知らなくても解けます。
\(x=2\)のときを\(y_1\)、\(x=4\)のときを\(y_2\)として計算してみましょう。
\(y_1=a\times2^2=4a\)、\(y_2=a\times4^2=16a\)となります。
問題文より\(y_2-y_1=24\)なので、\(16a-4a=12a=24\)ですね。
\(∴\ a=2\)です。
\((2)\)の解答|一次関数を求める
\((1)\)のグラフが\(y=2x^2\)と分かったので、\(A\)と\(B\)の座標を求めます。
\(y=2\times(-1)^2=2\)なので、\(A\)の座標は\((-1,\ 2)\)です。
\(y=2\times(2)^2=8\)なので、\(B\)の座標は\((2,\ 8)\)です。
この座標を使って\((2)\)のグラフの式を求めましょう。
連立方程式で一次関数を決定する
\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
2 =-a+b \\
8 = 2a+b
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}
\begin{eqnarray} -6 &=& -3a \\
a&=&2 \\\\
2=-2+b\\
b=4 \end{eqnarray}
以上より\((2)\)のグラフは\(y=2a+4\)だと分かりましたね。

\((3)\)三角形の面積を求める
最後に三角形\(ABO\)の面積を求めましょう。
三角形は\(底辺\times高さ\div2\)で計算できますが、図のままだと底辺も高さもわかりません。
そこで、\((2)\)のグラフと\(y\)軸の交点を\(D\)として、三角形\(ADO\)と三角形\(BDO\)の2つに分けて面積を求めます。

\(DO\)を底辺とすると左に底辺が\(4\)で高さが\(1\)の三角形が、右に底辺が\(4\)で高さが\(2\)の三角形ができますね。
\begin{eqnarray} 4\times 1\div2 &=& 4 \\
4\times 2\div2 &=& 4 \\
4+2&=&6\end{eqnarray}
以上より三角形\(ABO\)の面積は\(6\)となります。
最後に実力チェックのクイズです!
中学で習う二次関数クイズ!
中学の二次関数まとめ
■中学数学で習う二次関数は\(y=ax^2\)である!
■二次関数は世の中の色々な場面で計算に使われる
■二次関数のグラフは(a)の値で形が変わる
- \(a\)の値が大きいほど、グラフの開きは狭くなる。
- \(a\)の値が小さいほど、グラフの開きは広くなる。
- \(a\)が正の数のときはグラフは上向きに凸となる。
- \(a\)が負の数のときはグラフは下向きに凸となる。
■一次関数と複合で三角形を作って面積を求める応用がある

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