こちらの記事では円の接線と性質について詳しく解説します。
「接線」だから、きっと何かの線ではないかと思った人も多いのではないでしょうか。
これから円の接線とはどのような線なのか説明します。
また円の接線には不思議な性質があります。
ぜひ楽しみにしながら、最後までご覧ください。
円の接線とは
円の接線とは、円と1点だけを共有する直線です。(参考図1)
この直線は円に「接する」といい、円とただ1点を共有している点を「接点」といいます。
また円の接線は、接点を通る半径に垂直です。
この円と接線の関係は、次に説明する円の接線の性質を考える上で重要になります。 しっかり理解しておきましょう。
円の接線の性質
円の接線には以下の性質があります。(参考図2)
円の外部の1点からその円にひいた2本の接線において、その点から2つの接点までの距離は等しい。
では、なぜこの性質が成り立つのか考えていきましょう。
円$O$の外部の点$P$から2本の接線がひけます。
この接点をそれぞれ$S$、$T$とします。
$\triangle PSO$と$\triangle PTO$において、$\angle PSO = \angle PTO = 90°$
円の半径より、$OS = OT$
また$PO$は共通であり、2つの直角三角形の斜辺と他の1辺がそれぞれ等しいので、
$\triangle PSO \cong \triangle PTO$
すなわち$PS = PT$が成り立ちます。
以上のことから、円の外部の点からその円に接線をひくとき、その点から接点までの距離は等しくなります。
また円外の点から接点までの距離を、接線の長さといいます。
そして、円の2本の接線がつくる角の二等分線上に、その円の中心があることも覚えておきましょう。
それでは実際に円の接線の性質を用いて次の問題を解いてみます。
図3の直角三角形において、円$O$は直角三角形$ABC$の内接円で、$P$、$Q$、$R$は接点です。
$BP=6$、$CP=4$のとき、円$O$の半径を求めましょう。
まず、図4のように点$O$から$P$、$Q$、$R$に線をひき、円$O$の半径を$x$とします。
四角形$AROQ$は正方形なので、$AR = AQ = x$
また、円の接線の性質より、$BR = BP = 6$、$CQ = CP = 4$ですね。
よって、$\triangle ABC$において三平方の定理より
$(x + 6)^2 + (x + 4)^2 = 10^2$
$x^2 + 12x + 36 + x^2 + 8x + 16 = 100$
$2x^2 + 20x – 48 = 0$
$x^2 + 10x – 24 = 0$
$(x + 12)(x – 2) = 0$
$x$は半径より、$x > 0$
以上より、$x = 2$
したがって、求める円$O$の半径は2です。
このように直角三角形であることを用いると、円の半径や接線の長さを求められます。また、図の中にわかっている辺の長さを書いていくことで、さらに問題が解きやすくなるでしょう。
接線と弦の作る角(接弦定理)
接弦定理とは、円の接線とその接点を通る弦のつくる角(角BAT)と、その角の内部にある弧に対する円周角(角ACB)が等しいことです。(参考図5)
これは円周角の定理と、今回学習した円の接線は接点を通る半径に垂直であることを用いて証明できます。
接弦定理は接線や円周角を使った円に関係する角度を求めるときに便利な定理です。
詳しくは別記事で解説しているので、ぜひご覧ください。
※参考記事
[数A]円周角の定理の逆とその証明をわかりやすく解説
[数A]接弦定理|公式と証明と使い方をわかりやすく解説【簡単】
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円の接線とはのまとめ
円の接線と性質について解説しました。
ポイントは下記の3つです。
1. 円の接線とは、 円と1点だけを共有する直線です。
2. 円の接線は、接点を通る半径に垂直です。
3. 円の接線は円の外部の1点からその円に2本の接線において、その点から2つの接点までの距離は等しくなります。
円の接線やその性質についての問題では、直角三角形を使って問題を解いていくことが多いです。
すでに学習している三平方の定理や直角三角形の合同条件を確認しておくと、さらに理解を深められるでしょう。
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