ヘロンの公式は三角比と一緒に習う公式で、三角形の3辺の長さから面積を求める公式です。
ヘロンの公式

三角形ABCの辺の長さをa, b, cとすると、面積Sは下記の式で表すことができる。
\begin{eqnarray}
S &=& \sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)} \\
ここで、s &=& \displaystyle \frac{a+b+c}{2}
\end{eqnarray}
つまり、\(a,\ b,\ c\)がわかれば面積を求めることができる公式です。
今回はそんなヘロンの公式の証明を2パターン紹介したいと思います!
ヘロンの公式証明|三角比を使った証明
三角比の\(\sin x\)(サイン)を使った面積の公式を使った証明をしていきます!
三角形の面積の公式

三角形ABCがあるとき、2辺とその間の角を使って、面積Sは下記のように表すことができる。
$$S=\displaystyle \frac{1}{2}ab\sin C\\
S=\displaystyle \frac{1}{2}bc\sin A\\
S=\displaystyle \frac{1}{2}ac\sin B$$
この面積の公式を使った証明を行なっていきます!
ヘロンの公式証明の計算
三角比の相互関係の(1)より、
$$\sin^2 C+\cos^2 C=1$$
を使うと面積の公式を以下のように変形することができる。
$$\sin C=\sqrt{1-\cos ^2 C}$$
より、
\begin{eqnarray}
S &=& \displaystyle \frac{1}{2}ab\sin C \\
&=& \displaystyle \frac{1}{2}ab\sqrt{1-\cos ^2 C} \end{eqnarray}
また、余弦定理より、
$$\cos C=\displaystyle \frac{a^2+b^2-c^2}{2ab}$$
なので、面積Sの式は下記のように変形できる。
$$S=\displaystyle \frac{1}{2}ab\sqrt{1- \left( \displaystyle \frac{a^2+b^2-c^2}{2bc}\right)^2}$$
ここから、因数分解と展開を駆使して、式を整理していく。
\begin{eqnarray} S&=&\displaystyle \frac{1}{2}ab\sqrt{1- \left( \displaystyle \frac{a^2+b^2-c^2}{2bc}\right)^2}\\
&=& \displaystyle \frac{1}{4}\sqrt{(2ab)^2-(a^2+b^2-c^2)^2}\\
& &(x^2-y^2)=(x+y)(x-y)より、\\
&=& \displaystyle \frac{1}{4}\sqrt{(2ab+a^2+b^2-c^2)(2ab-a^2-b^2+c^2)}\\
&=& \displaystyle \frac{1}{4}\sqrt{\{(a+b)^2-c^2\}\{-(a-b)^2+c^2)\}}\\
&=& \displaystyle \frac{1}{4}\sqrt{(a+b+c)(a+b-c)(c-a+b)(c+a-b)}\\
&=& \displaystyle \frac{1}{4}\sqrt{(a+b+c)(-a+b+c)(a-b+c)(a+b-c)}\\
&=& \sqrt{\displaystyle \frac{a+b+c}{2}\displaystyle \frac{-a+b+c}{2}\displaystyle \frac{a-b+c}{2}\displaystyle \frac{a+b-c}{2}}\\
&=&\sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)}\\
ただし、s&=&\displaystyle \frac{a+b+c}{2}
\end{eqnarray}
となる。
計算量は多いですが、そこまで難しい計算はありません。
比較的簡単に証明できるのではないでしょうか。
ヘロンの公式の補足
最後に補足を2点紹介しますね。
補足1:違う面積の式を使っても同様に証明ができる
今回は、\(S=\displaystyle \frac{1}{2}ab\sin C\)で証明しましたが、他の式を使っても証明できます。
例えば、\(S=\displaystyle \frac{1}{2}bc\sin A\)を使っても証明できます。(できないと大変ですね 笑)
三角形の面積の公式

三角形ABCがあるとき、2辺とその間の角を使って、面積Sは下記のように表すことができる。
$$S=\displaystyle \frac{1}{2}ab\sin C\\
S=\displaystyle \frac{1}{2}bc\sin A\\
S=\displaystyle \frac{1}{2}ac\sin B$$
その場合は余弦定理変形版の
$$\cos C=\displaystyle \frac{a^2+b^2-c^2}{2ab}$$
の部分が変わって、
$$\cos A=\displaystyle \frac{b^2+c^2-a^2}{2bc}$$
を使うことになります。
補足2:辺の長さに無理数があると使えない
これは実際にヘロンの公式を使用する際に気をつける点です。
辺の長さに無理数があると、この公式は使えません。
正確に言うと使うのがとても難しです。
\begin{eqnarray}
S &=& \sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)} \
ここで、s &=& \displaystyle \frac{a+b+c}{2}
\end{eqnarray}
だから、a, b, cのどれかが\(\sqrt{\ }\)だと計算ができなくなります。
例えば、
$$s=\displaystyle \frac{\sqrt{3}+\sqrt{5}+4}{2}$$
みたいになると計算が複雑になるからです。(できないことはないけど、とっても大変です。)

ヘロンの公式の具体的な計算方法は〇〇を確認してください。また、3辺のどれかが(\sqrt{\ })だった場合の面積の求め方も併せて解説しました!
ヘロンの公式証明|まとめ
ヘロンの公式を証明してきました!
- 三角形の面積の公式と余弦定理を使うことで証明できる
- 3つある面積の公式のどれを使ってもOK
- 証明の式は長いけど、展開と因数分解を駆使すれば比較的易しい
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