三角形\(ABC\)において、\(AB=c,\ BC=a,\ CA=b\)とするとき下記の式が成り立つ。

\begin{eqnarray} a^2&=&b^2+c^2-2bc\cos A\\
b^2&=&c^2+a^2-2ca \cos B\\
c^2&=&a^2+b^2-2ab \cos C\end{eqnarray}
この余弦定理の公式を証明します。
余弦定理公式の証明の前提
余弦定理の証明を行います。
3つの公式のうち1つの式のみ証明します。
1つ証明できると、三角形の向きを変えるだけで全て証明できるからです。
証明する式は、こちらです。
$$a^2=b^2+c^2-2bc\cos A$$
余弦定理を証明する2つの方法
余弦定理を証明する方法は2つあります。
余弦定理を証明する方法
- 一般的な方法
- ベクトル内積の分配法則を利用する方法
今回は一般的な方法で証明したいと思います。
ベクトル内積の分配法則による証明を知りたい方はこちらをご参照ください。
余弦定理公式の証明

$$a^2=b^2+c^2-2bc\cos A$$
上記の式を証明するには、
- $\angle{A}$が鋭角
- $\angle{A}$が直角
- $\angle{A}$が鈍角
の3パターンを証明する必要があります。
鋭角・直角・鈍角の3種類を証明すれば、\(∠A\)がどんな角度の三角形でも成り立つことを示せるからです。
では、鋭角の三角形から証明していきましょう!
余弦定理の証明1|∠Aが鋭角の場合
三角形(ABC)において、(AB=c,\ BC=a,\ CA=b)とする。
頂点Cから辺ABに垂線を降ろし、垂線と辺ABの交点をHとする。

この時\(▲CHB\)に注目する。
三平方の定理より、
$$CB^2=CH^2+HB^2\cdots(1)$$
である。各辺の長さをそれぞれ\(a,\ b,\ c\)で表すと下記のようになる。
\begin{eqnarray} CB &=& a \\
CH &=& b\sin A\\
HB&=&c-b\cos A \end{eqnarray}
これらの式を(1)に代入する。
\begin{eqnarray} CB^2&=&CH^2+HB^2\\
a^2 &=& (b\sin A)^2+(c-b\cos A)^2\\
a^2&=&b^2\sin^2 A+c^2-2bc\cos A+b^2\cos^2 A\\
a^2&=&b^2(\sin^2 A+\cos^2 A)+c^2-2bc\cos A \end{eqnarray}
\(\sin^2 A+\cos^2 A=1\)なので、
$$a^2=b^2+c^2-2bc\cos A$$
となる。
以上より、\(∠A\)が鋭角の場合において
$$a^2=b^2+c^2-2bc\cos A$$
は成立する。
余弦定理の証明2|∠Aが直角の場合
直角は角度が\(90°\)(\(\displaystyle \frac{\pi}{2}rad\))なので、余弦定理に代入して考えてみます。

$$a^2=b^2+c^2-2bc\cos A$$
\(∠A=90°\)なので、\(\cos A=1\)
\(a^2=b^2+c^2\)である。
\(▲ABC\)は直角三角形なので、\(a^2=b^2+c^2\)となる。
以上より、\(∠A\)が直角の時、
$$a^2=b^2+c^2-2bc\cos A$$
は成立する。
余弦定理の証明3|∠Aが鈍角の場合
三角形(ABC)において、(AB=c,\ BC=a,\ CA=b)とする。
頂点Cから辺ABに垂線を降ろし、垂線と辺AB延長線の交点をHとする。

三平方の定理より、下記の式を得る。
$$BC^2=CH^2+HB^2$$
ここで、\(BC=a\)である。
また、
$$CH=b\sin(180-∠A),\ HA=b\cos (180-∠A)$$
である。
\begin{eqnarray} \sin(180-∠A)&=&\sin ∠A \\
\cos(180-∠A)&=&-\cos ∠A \end{eqnarray}
なので、\(HB=c-b\cos ∠A\)と書ける。
これらを\(BC^2=CH^2+HB^2\)に代入すると以下の式を得ることができる。
\begin{eqnarray} a^2&=&(b\sin ∠A)^2+(c-b\cos ∠A)^2 \\
a^2&=&b^2\sin^2 ∠A+c^2-2bc\cos ∠A+b^2\cos^2∠A \\
a^2&=&b^2(\sin^2 ∠A+\cos^2∠A)+c^2-2bc\cos ∠A\\
a^2&=&b^2+c^2-2bc\cos ∠A \end{eqnarray}
となるため、∠Aが鈍角の場合でも
$$a^2=b^2+c^2-2bc\cos A$$
は成立する。
以上より、$a^2=b^2+c^2-2bc\cos A$は成立するといえる。
余弦定理の使い方
受験対策として、余弦定理で角度を求める方法は知っておいた方がいいでしょう。
角度を求める方法は↓から。
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