逆三角関数のアークコサインについて解説します。
アークコサイン(arccos)とは
アークコサインとは、逆三角関数と呼ばれる関数の1つで、三角形の辺の比から角度を求める関数です。
例えば\(\cos \theta=x\)とすると、
\(\arccos x=\theta\)の関係になります。
具体例を見てみましょう。
$$\cos \left( \displaystyle \frac{\pi}{3}\right)=\displaystyle \frac{1}{2}$$
$$\arccos \left( \displaystyle \frac{1}{2}\right)=\displaystyle \frac{\pi}{3}$$
このように、\(\cos\)(コサイン)と\(\arccos\)(アークコサイン)は同じ計算を『角度』から見るか、『辺の比』から見るかの違いがあるだけです。
アークコサイン(arccos)のグラフ

アークコサインのグラフ(\(y=\cos^{-1} x\))は上記のような形になります。
グラフの特徴は3つ!
- 定義域は\(−1≦x≦1\)
- \(y\)の範囲(主値)は\(0≦y≦\pi\)
- \(x=\displaystyle \frac{1}{2}\)のとき\(y=\displaystyle \frac{\pi}{3}\)
特徴を1つずつ解説していきます。
アークコサインの定義域
アークコサインの定義域は下記の通りです。
\begin{eqnarray}
\cos^{-1} x &=& \theta\ ,\ −1≦x≦1\ ,\ 0≦\theta≦\pi\end{eqnarray}
アークコサインは\(x\)と\(\theta\)に明確な定義域が存在します。
\(\cos \theta\)のグラフを見ると分かる通り、
\(y=\cos \theta\)だと\(−1≦y≦1\)になります。
(参考に赤線でサインのグラフも載せておきます。)

つまり、\(\cos^{-1} x\)のxの範囲は\(−1≦x≦1\)となります。
アークコサイン以外の逆三角関数である、アークサインとアークタンジェントにも同様に定義域が存在します。
アークコサインの\(y\)の範囲(主値)
アークコサイン(\(y=\cos^{-1}x\))の\(y\)の範囲は\(x\)の定義域によって決定しています。
\(x\)の定義域は\(−1≦x≦1\) ですから、\(y=\cos^{-1}x\)より\(0 ≦\theta≦\pi\)が\(y\)の範囲となります。
アークコサインの微分
\((\cos^{-1})’ = -\displaystyle \frac{1}{\sqrt{1-x^2}} ,\ -1<x<1\)
アークコサインの微分の証明
$$y=\cos^{-1}x$$
とすると、これは逆三角関数なので
$$x=\cos y \dots(1)$$
と同じ意味になります。ここで(1)式の両辺をxで微分します。
$$\begin{eqnarray} \frac{d}{dx}x &=& \frac{d}{dx}\cos y \\
1 &=& \frac{d}{dy}\cos y\frac{dy}{dx}(合成関数の微分法)\\
1 &=& -\sin y \frac{dy}{dx}\\
\frac{dy}{dx}&=&-\frac{1}{\sin y} (※ただし\sin y \neq 0)
\end{eqnarray}$$
となります。
しかし、\(\sin y\)には\(y\)が使われているので、\(\sin y\)を変形して\(x\)の関数にします。
\(\sin y\)を変形するために、三角関数の公式を使います。
$$\sin y=\sqrt{1-\cos^2 y}$$
さらに最初に示した通り、
$$y=\cos^{-1}x \leftrightarrow x=\cos y$$
なので、\(\cos y\)に\(x\)を代入します。
以上より、
$$\begin{eqnarray} \frac{dy}{dx}&=& -\frac{1}{\cos y} \\
&=& -\frac{1}{\sqrt{1-\cos^2 y}}\\
&=&- \frac{1}{\sqrt{1-x^2}}\end{eqnarray}$$
非常に長い微分ですが、『逆関数の微分法』を使うと簡単に微分できます。
※参考記事
>>アークコサインの微分 (arccos) を解説|合成関数と逆関数の微分法<<
アークコサインの積分
$$\displaystyle\int \cos^{-1}xdx=x\cos^{-1}x-\sqrt{1-x^2}$$
アークコサインの積分の証明
部分積分法より、
\begin{eqnarray}
\displaystyle\int\cos^{-1} xdx &=& \displaystyle\int 1\cdot\cos^{-1} xdx\\
&=& x \cos^{-1} x -\displaystyle\int x\cdot\displaystyle \frac{-1}{\sqrt{1-x^2}}dx\cdots(1)\\
\end{eqnarray}
と変形できる。
ここで\(1-x^2=t\)とおくと、
\(-2xdx=dt\leftrightarrow dx=-\displaystyle \frac{dt}{2x}\)となる。
(1)に\(t,\ dx\)を代入すると下記の式を得られる。
\begin{eqnarray}
&=& x \cos^{-1} x- \displaystyle\int x\cdot\displaystyle \frac{-1}{\sqrt{1-x^2}}\left( -\displaystyle \frac{dt}{2x}\right) \\ \\
&=& x \cos^{-1} x- \displaystyle \frac{1}{2}\displaystyle\int \displaystyle \frac{1}{\sqrt{t}}dt\\\\
&=& x \cos^{-1} x-\displaystyle \frac{1}{2}\left(2 \sqrt{t}\right)\\
&=&x \cos^{-1} x-\sqrt{1-x^2}
\end{eqnarray}
積分には部分積分法と置換積分法を使っています。
※参考記事
>>アークコサインの積分 (arccos) を解説<<
逆三角関数クイズ!
参考動画
最後に参考になる動画を紹介しておきます。
本記事とは切り口が少し違うので、理解が深まると思います。
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