ド・モルガンの法則と聞いて、みなさんは何をイメージしますか?
「ド・モルガンってカタカナが多くて意味がわからない」
「法則って書いてあるから何かの規則なのかな」
など、それぞれ思うことはありますよね。
ド・モルガンの法則とは集合の共通部分、和集合、補集合に関する規則性のことです。
この法則を使うと、集合の問題を簡単に解くことができます。
とても魅力的な法則ですね。
これから一緒にド・モルガンの法則について考えていきましょう。
ド・モルガンの法則とは?
ド・モルガンの法則とは、2つの集合A、Bについて次の規則性が成り立つことをいいます。
- $\overline{A∪B}=\overline{A}∩\overline{B}$
- $\overline{A∩B}=\overline{A}∪\overline{B}$
式だけをみて、意味を理解できましたか?
難しい人もいると思うので、わかりやすく説明します。
まず➀の式は「AとBの和集合の補集合はAの補集合とBの補集合の共通部分に等しい」という意味です。
➀をベン図で表すと、次の図になります。

同様に、②の式も考えていきましょう。
②の式は「AとBの共通部分の補集合はAの補集合とBの補集合の和集合に等しい」という意味です。
②をベン図で表すと、以下の図になります。

また別のとらえ方をすると、2つのベン図の青色の部分以外と考えることもできます。
ド・モルガンの法則は集合の共通部分、和集合、補集合の3つのことがわかっていないと理解できません。
この3つのうち、1つでもわからないものがある人は、まずその部分を理解することから始めましょう。
ド・モルガンの法則の証明
なぜド・モルガンの法則は成り立つのでしょうか。
ベン図を用いて1つずつ考えていきましょう。
①式の証明
「① $\overline{A∪B}=\overline{A}∩\overline{B}$」について
1. $\overline{A∪B}$のベン図を書いてみます。

2. 次に$\overline{A}$と$\overline{B}$のベン図はそれぞれ以下のように表すことができます


3. Aの補集合とBの補集合から$\overline{A}$と$\overline{B}$の共通部分を探してみます。
よくみると、$\overline{A∪B}=\overline{A}∩\overline{B}$の右辺と左辺のベン図が同じになりました。

つまり、① $\overline{A∪B}=\overline{A}∩\overline{B}$は同じ集合であることがわかります。
②式の証明
「② $\overline{A∩B}=\overline{A}∪\overline{B}$」について考えていきます。
1. $\overline{A∩B}$のベン図を書いてみましょう。

2. 次に$\overline{A}$と$\overline{B}$のベン図はそれぞれ下記のように表すことができますね。


3. $\overline{A}$と$\overline{B}$の和集合は共通の部分なので下記のベン図になります。

$\overline{A∩B}=\overline{A}∪\overline{B}$の右辺と左辺の図が同じですね。
以上のことから、ド・モルガンの法則は成り立ちます。
3つ集合のド・モルガンの法則
では集合が3つになると、ド・モルガンの法則は成り立つのでしょうか?
答えは「成り立つ」です。
3つの集合A、B、Cのド・モルガンの法則は次の規則性が成り立ちます。
- $\overline{A∪B∪C}=\overline{A}∩\overline{B}∩\overline{C}$
- $\overline{A∩B∩C}=\overline{A}∪\overline{B}∪\overline{C}$
実際にベン図をかくと、図9、図10になります。


集合が3つになると複雑になりますが、どちらも青色の部分以外の集合と考えるとわかりやすいです。
また、集合が3つの場合も、2つの集合のときと同様にベン図を用いて証明することが可能です。
実際に自分でベン図をかいて、確認してみてくださいね。
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ド・モルガンの定理のまとめ
ド・モルガンの法則について解説しました。
ポイントは下記の3つです。
- ド・モルガンの法則は
① $\overline{A∪B}=\overline{A}∩\overline{B}$
② $\overline{A∩B}=\overline{A}∪\overline{B}$
が成り立ちます。 - ベン図を用いて、ド・モルガンの法則が成り立つことを示すことができます。
- 集合が3つになってもド・モルガンの法則は成り立ちます。
これまでの内容でド・モルガンの法則を理解できましたか?
集合の分野ではベン図がとても重要になってきます。
ぜひベン図を使ってマスターしてみてくださいね。
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