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[数2]二項定理の証明をわかりやすく解説|数学的帰納法と組み合わせ

今回は2項定理の証明を2つのやり方でやります。

組み合わせの公式を使った方法と、数学的帰納法で証明する方法です。

目次

二項定理の証明

いきなり文字で証明すると難しいので、具体的な数字を入れて計算してみます。
$$(a+b)^4=(a+b)(a+b)(a+b)(a+b)$$
を使いましょう。
4つの\(a+b\)から\(a\)か\(b\)のどっちかを選ぶイメージです。

例えば、\(a^4とb^4\)は4か所すべてから\(a\)もしくは\(b\)を取るので、1通りしかあり得ません。

$$a,\ a,\ a,\ a\ \ or\ \ b,\ b,\ b,\ b$$

になりますね。
では、\(a^3b\)について考えてみましょう。

\(a^3b\)になる組み合わせは計4つあります。
 
\begin{eqnarray} b \times a \times a \times a \\ a \times b \times a \times a \\ a \times a \times b \times a \\ a \times a \times a \times b\end{eqnarray}
 
の4つです。
これって言い換えると
「4つのうち1つだけbになる並べ方は何通りあるか。」
になります。
 
つまり、$${}_4 \mathrm{ C }_1=4$$
同様に、\(a^2b^2\)は
「4つのうち2つがbになる並べ方は何通りあるか。」
$${}_4 \mathrm{ C }_2=6$$
 
\(ab^3\)は
「4つのうち3つがbになる並べ方は何通りあるか。」
$${}_4 \mathrm{ C }_3=4$$
となります。
 
これを文字で表すと
\((a+b)^n\)で、\(a^{n-k}b^k\)の項の係数は\({}_n \mathrm{ C }_k\)となって二項定理になるのです。
 

二項定理\(\begin{eqnarray}(a+b)^n\\={}_n \mathrm{ C }_0 a^n &+& {}_{n} \mathrm{ C }_1 a^{n-1}b + {}_n \mathrm{ C }_2 a^{n-2}b^2 \\ &+& \dots + {}_n \mathrm{ C }_{n-1}ab^{n-1}+{}_n \mathrm{ C }_nb^n\end{eqnarray}\)

数学的帰納法による証明

数学的帰納法とは、
(i)\(n=1\)のときと、
(ii)\(n=k\)が成り立つと仮定したときに、\(n=k+1\)が成り立つこと
の2つを証明することで、自然数全て成り立つことを証明する証明方法です。

詳しい解説は下記の記事をご参照ください!

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では実際に証明してみましょう!

二項定理の証明

(i)\(\small{ \ n=1 \ }\)のとき

左辺\(\small{ \ =a+b \ }\)

右辺\(\small{ \ =\displaystyle \sum_{ r = 0}^{ 1 } {}_1 \mathrm{ C }_ra^{1-k}b^r=a+b \ }\)

よって\(\small{ \ n=1 \ }\)のとき成り立つ。

(ii)\(\small{ \ n=k \ }\)のとき

\(\small{ \ (a+b)^k=\displaystyle \sum_{ r = 0}^{ n } {}_n \mathrm{ C }_ra^{n-r}b^r \ }\)が成り立つと仮定する。

両辺に\(\small{ \ a+b \ }\)をかけると

\(\small{\begin{eqnarray} \ (a+b)^{k+1}&=&(a+b)\displaystyle \sum_{ r = 0}^{ n } {}_n \mathrm{ C }_ra^{n-r}b^r\\

&=&a\displaystyle \sum_{ r = 0}^{ k } {}_k \mathrm{ C }_ra^{k-r}b^r+b\displaystyle \sum_{ r = 0}^{ k } {}_k \mathrm{ C }_ra^{k-r}b^r\\

&=&a^{k+1}+a\displaystyle \sum_{ r = 1}^{ k } {}_k \mathrm{ C }_ra^{k-r}b^r+b\displaystyle \sum_{ r = 0}^{ k-1 } {}_k \mathrm{ C }_ra^{k-r}b^r+b^{k+1}\\

&=&a^{k+1}+\displaystyle \sum_{ r = 1}^{ k } {}_k \mathrm{ C }_ra^{k+1-r}b^r+\displaystyle \sum_{ r = 0}^{ k-1 } {}_k \mathrm{ C }_ra^{k-r}b^{r+1}+b^{k+1}\\

&=&a^{k+1}+\displaystyle \sum_{ r = 1}^{ k } {}_k \mathrm{ C }_ra^{k+1-r}b^r+\displaystyle \sum_{ r = 1}^{ k } {}_k \mathrm{ C }_{r-1}a^{k+1-r}b^{r}+b^{k+1}\\

&=&a^{k+1}+\displaystyle \sum_{ r = 1}^{ k }\left( {}_k \mathrm{ C }_r+{}_k \mathrm{ C }_{r-1}\right) a^{k+1-r}b^r+b^{k+1}\\

&=&a^{k+1}+\displaystyle \sum_{ r = 1}^{ k } {}_{k+1} \mathrm{ C }_r a^{k+1-r}b^r+b^{k+1}\\

&=&\displaystyle \sum_{ r = 0}^{ k+1 } {}_{k+1} \mathrm{ C }_ra^{k+1-r}b^r \ \end{eqnarray}}\)

よって\(\small{ \ n=k+1 \ }\)のときも成り立つ。

(i)(ii)より全ての自然数で\(\small{ \ (a+b)^n=\displaystyle \sum_{ r = 0}^{ n } {}_n \mathrm{ C }_ra^{n-r}b^r \ }\)は成り立つ

以上で二項定理の証明は終わりです!
二項定理の使い方を知りたい方は、こちらの記事も参考にされてください!

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今回は以上です!

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