逆三角関数とは、三角関数の逆関数のことである。
三角関数は\(\sin x\)、\(\cos x\)、\(\tan x\)の3つで成り立っています。
同様に逆三角関数も3つで成り立っています。
- \(\arcsin\)(アークサイン)
- \(\arccos\)(アークコサイン)
- \(\arctan\)(アークタンジェント)
の3つです。
今回はこの逆三角関数の特徴を解説していきたいと思います。
正解はどっち?
$\tan^{-1}\left( \displaystyle \frac{1}{\sqrt{3}}\right)=$
逆三角関数とは?
逆三角関数とは、三角関数の逆関数のことです。
三角関数を元に戻す関数のイメージです。三角関数は、角度から直角三角形の辺の比を求めますが、逆三角関数は辺の比から角度を求めます。
例えば、$\sin \displaystyle \frac{\pi}{4}=\displaystyle \frac{1}{\sqrt{2}}$ですが、逆三角関数を使うと下記の式のように辺の比から角度を求められます。
$\sin ^{-1} \displaystyle \frac{1}{\sqrt{2}}=\displaystyle \frac{\pi}{4}$
逆三角関数の種類
逆三角関数は合計3つの関数からなる関数群です。三角関数と同様に3種類あります。
三角形の辺の比を$x$, 求めたい角度を$\theta$とすると下記のように表されます。
- アークサイン (\(\sin^{-1} x=\theta\))
- アークコサイン (\(\cos^{-1} x=\theta\))
- アークタンジェント (\(\tan^{-1} x=\theta\))
表記の方法としては、頭文字を大文字にする、arcをつける、-1乗にするの3つがありますが、すべて同じ意味です。アークサインを例に書いてみましょう。
一般的には$arcsin x$か$\sin^{-1} x$を使いますが、見やすくするため大文字を使うときもあります。
各逆三角関数の特徴は下記の記事が参考になります。
逆三角関数の計算
逆三角関数で角度を求める計算例をいくつか紹介します。
\begin{eqnarray}
\sin^{-1} \displaystyle \frac{1}{\sqrt{2}} &=& \displaystyle \frac{\pi}{4} \\ \\
\sin^{-1} \displaystyle1&=& \displaystyle \frac{\pi}{2} \\ \\
\cos^{-1} \displaystyle \frac{1}{2} &=& \displaystyle \frac{\pi}{3} \\ \\
\tan^{-1} \displaystyle \frac{1}{\sqrt{3}} &=& \displaystyle \frac{\pi}{6} \end{eqnarray}
ピンと来ましたか?
三角関数は『角度』から『比』を計算してますよね?
逆三角関数は文字通り『逆』で、『比』から『角度』を計算します。
例えば、
$$\sin^{-1} \displaystyle1= \displaystyle \frac{\pi}{2}$$
だと、\(\sin \displaystyle \frac{\pi}{2}=1\)と逆の計算をしてるのが分かるはず!
「\(\sin x\)を計算したら\(1\)になったけど、このときの角度って何度だろう?」
を計算したのが逆三角関数ってわけ!
逆三角関数の定義
逆三角関数はとっても便利だけど、使い方を間違えると大変なことになります。
そこで定義を知っておきましょう!
\begin{eqnarray}
\sin^{-1} x &=& \theta\ ,\ −1≦x≦1\ ,\ -\displaystyle \frac{\pi}{2}≦\theta≦\displaystyle \frac{\pi}{2}\\
\cos^{-1} x &=& \theta\ ,\ −1≦x≦1\ ,\ -\displaystyle 0≦\theta≦ \pi \\
\tan^{-1} x &=& \theta\ ,\ − ∞≦x≦∞\ ,\ -\displaystyle \frac{\pi}{2}≦\theta≦\displaystyle \frac{\pi}{2}\
&=& 1 \end{eqnarray}
このように、逆三角関数の\(x\)と\(\theta\)には明確な定義域が存在します。
なぜなら\(\sin^{-1} 5\)なんかは計算できないから!
逆三角関数のグラフ
逆三角関数のグラフは3種類あります。求める角度を$y$、辺の比を$x$とすると下記の3つの式で表されます。
- \(y=\sin^{-1} x\)
- \(y=\cos^{-1} x\)
- \(y=\tan^{-1} x\)
1つずつ見ていきましょう。
アークサインのグラフ(\(y=\sin^{-1} x\))

アークサインのグラフ(\(y=\sin^{-1} x\))の特徴は3つ!
- 定義域は\(−1≦x≦1\)
- \(y\)の範囲(主値)は\(-\displaystyle \frac{\pi}{2}≦y≦\displaystyle \frac{\pi}{2}\)
- \(x=\displaystyle \frac{1}{2}\)のとき\(y=\displaystyle \frac{\pi}{6}\)
アークコサインのグラフ(\(y=\cos^{-1} x\))

アークコサインのグラフ(\(y=\cos^{-1} x\))の特徴3つ
- 定義域は\(−1≦x≦1\)
- \(y\)の範囲(主値)は\(0≦y≦\pi\)
- \(x=\displaystyle \frac{1}{2}\)のとき\(y=\displaystyle \frac{\pi}{3}\)
アークタンジェントのグラフ(\(y=\tan^{-1} x\))

アークタンジェントのグラフ(\(y=\tan^{-1} x\))の特徴3つ
- 定義域は\(−∞≦x≦∞\)
- \(y\)の範囲(主値)は\(-\displaystyle \frac{\pi}{2}≦y≦\displaystyle \frac{\pi}{2}\)
- \(x=1\)のとき\(y=\displaystyle \frac{\pi}{4}\)
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逆三角関数の微分
逆三角関数を微分してみましょう。逆三角関数は逆関数の微分法を使うことで微分できますが、計算過程は省略して結果のみ記載します。
\begin{eqnarray}
(\sin^{-1}x)’ &=& \displaystyle \frac{1}{\sqrt{1-x^2}} ,\ -1<x<1 \\\\
(\cos^{-1}x)’ &=& -\displaystyle \frac{1}{\sqrt{1-x^2}} ,\ -1<x<1\\\\
(\tan^{-1}x)’ &=& \displaystyle \frac{1}{1+x^2}
\end{eqnarray}
逆三角関数の微分の途中式については下記の記事が参考になります。
逆三角関数の積分
最後は逆三角関数の積分です。逆三角関数の積分は、部分積分と置換積分を使うことで計算できます。ここでは計算過程は省略して結果のみ記載します。
\begin{eqnarray}
\displaystyle \displaystyle\int \sin^{-1} x dx &=& x\sin^{-1} x +\sqrt{1-x^2}+C\\\\
\displaystyle \displaystyle\int \cos^{-1} x dx &=& x\cos^{-1} x -\sqrt{1-x^2}+C \\\\
\displaystyle \displaystyle\int \tan^{-1} x dx &=& x\tan^{-1} x -\displaystyle \frac{\log(1+x^2)}{2}+C
\end{eqnarray}
ただし、Cは積分定数である。
逆三角関数の積分の途中式は下記の記事が参考になります。
逆三角関数クイズ!
正解はどっち?
$\tan^{-1}\left( \displaystyle \frac{1}{\sqrt{3}}\right)=$
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逆三角関数のまとめ
逆三角関数について説明しました。
逆三角関数とは、三角関数の逆関数のことです。
三角関数は、角度から直角三角形の辺の比を求めますが、逆三角関数は辺の比から角度を求めます。
逆三角関数の定義とグラフは、関数の根幹に関わるところなので、しっかり押さえておきましょう。微分積分も、途中式まで抑えておくと良いでしょう。
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