今回のテーマは『式の計算(文字式)』です。
解説する内容はこちら!
文字式の計算をメインに解説していきます。文字式は数学をやる上でとっても大切です。
最後には文字式って何に使えるの?って部分も解説しているので、ぜひ最後まで読んでみてください!
わからないところは、お気軽にコメントから聞いてくださいね!
中1数学|文字式記事の紹介
本題に入る前に、復習記事のご紹介です。
今回解説する『式の計算』は中1で習った文字式の続きの単元です。
式の計算の解説が「全然わからない!」となったとき、こちらの記事から読むと参考になります!
文字式全体の記事ではなく、小単元ごとの記事もあるのでご利用ください!
用語の解説|単項式・多項式・次数・同類項
まずは式の計算に必要な用語の解説です!
用語の意味がわからないと、問題も解説も意味がわからなくなってしまいます。
解説を読んで理解できる人は用語の重要性を認識している人ですね!
では、4つの用語の解説に移ります。
単項式とは
単項式とは、「数や文字の積だけで作られた、項が1つだけの式」のことです。
【例】
$$3,\ 12x,\ -8ab,\ 9xyz,\ 3x^2$$
多項式とは
では、多項式とは何でしょうか?
多項式とは「単項式の和で表された、項が2つ以上ある式」のことです。
【例】
$$3+4x,\ -5x+yz,\ 2x^2+4x+a,\ 5x+y$$
このような式を多項式と言います。
また、和の形で表された1つ1つを項と呼びます。
例えば、\(3+4x\)の項は\(3\)と\(4x\)といった具合ですね。
次数とは
次数とは「項の文字数が最も多い項の、文字の個数」のことです。
単項式と多項式に分けて、具体例を見ていきましょう!
単項式の次数
単項式の次数は、そのまま文字の個数です。
【例】(単項式)\(\rightarrow\)(次数)
\(4x\rightarrow 1\)
\(2xyz\rightarrow 3\)
\(5\rightarrow 0\)
といった感じです。文字の数がそのまま次数になります。
多項式の次数
多項式の次数は、文字数が一番多い項の文字数になります。
【例】(多項式)\(\rightarrow\)(次数)
\(4x^2+2x-5\rightarrow 2\)
\(3y-5xyz+yz\rightarrow 3\)
\(6x-y\rightarrow 1\)
次数はイメージできましたか?一次関数、二次関数という単元が今後出てきますが、◯次は次数のことですよ!
また、次数が1の式は一次式、次数が2なら二次式と言います。
同類項
同類項とは「多項式で文字の部分が同じ項」のことです。
そして、同類項どうしは足したり、引いたりできるという決まりがあります。
【例】
\(4x+3y-x+4y\)だったとしたら、同類項は\(4x,\ -x\)と\(3y,\ 4y\)になります。
分配法則を使えば、1つの項にまとめることができます。
$$4x+3y-x+4y=(4-1)x+(3+4)y$$
分配法則を詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください!
>分配法則のやり方<
また同類項どうしは計算できます。
計算すると、
$$4x+3y-x+4y=3x+7y$$
となります。
多項式の計算|加法・減法・乗法・除法
ここからは多項式の計算をしていきます!
多項式の加法
まずは多項式の加法(足し算)をやっていきましょう。
かっこを外して、同類項を足していくことになります!
【例】\((3x-2y)+(-4x+5y)\)
\(3x-2y\)と\(-4x+5y\)の多項式の加法です。
計算の手順は下記の通りやればOK
\begin{eqnarray} & &(3x-2y)+(-4x+5y)\\
&=& 3x-2y-4x+5y \\
&=& 3x-4x-2y+5y\\
&=& -x+3y \end{eqnarray}
って流れになります!
多項式の減法
次は多項式の減法(引き算)をやっていきましょう。
【例】\((5x+3y)-(-2x+4y)\)
やることは加法とほぼ同じですが、1つ注意点があります。
引く式の符号が反転することです。実際に計算してみましょう。
\begin{eqnarray} & &(5x+3y)-(-2x+4y)\\
&=& 5x+3y+2x-4y \\
&=& 5x+2x+3y-4y\\
&=& 7x-y \end{eqnarray}
符号の反転は本当によく間違います!
ケアレスミスにならないように気をつけましょう。
多項式と数の乗法
多項式と数の乗法は簡単にいうと分配法則です。
>分配法則とは<
【例】
\begin{eqnarray}.& 3(4x-3y)\\
&=3\times4x+3\times (-3y) \\
&= 12x-9y \\ \end{eqnarray}
多項式と数の除法
多項式と数の除法は、逆数をかけるか、分数にするかの2つの方法があります。
【例】
\begin{eqnarray} (4x-5y)\div 3 &=& \displaystyle \frac{4x-5y}{3} \\\\
(4x-5y)\div 3 &=& (4x-5y)\times \displaystyle \frac{1}{3} \end{eqnarray}
この2通りです。
最終的には分数になるので、多項式と数の除法では分数にして計算しましょう!
四則計算が混じった計算
加法・減法と乗法、加法・減法と除法が混ざった計算を解いてみましょう。
【問題】
(1)\(3(-3x-y)+4(5x-2y)\)
(2)\(2(x+3y)-4(4x+y)\)
(3)\(\displaystyle \frac{4x-3y}{4}+\displaystyle \frac{2x+3y}{6}\)
(4)\(\displaystyle \frac{3x-4y}{6}-\displaystyle \frac{5x-2y}{12}\)
基本的に解き方は、乗法・除法を先に計算して、加法減法の計算です。
答えは↓をタッチすれば出てくるので、ご確認ください!
(1)\(11x-11y\)
\begin{eqnarray} & &3(-3x-y)+4(5x-2y)\\
&=& -9x-3y+20x-8y \\
&=&-9x+20x-3y-8y\\
&=& 11x-11y \end{eqnarray}
(2)\(-14x+2y\)
\begin{eqnarray} & &2(x+3y)-4(4x+y)\\
&=&2x+6y-16x-4y \\
&=&2x-16x+6y-4y
&=&-14x+2y \end{eqnarray}
(3)\( \displaystyle \frac{16x-3y}{12}\)
\begin{eqnarray}
& & \displaystyle \frac{4x-3y}{4}+\displaystyle \frac{2x+3y}{6}\\
&=& \displaystyle \frac{4x-3y}{4}\times\displaystyle \frac{3}{3}+\displaystyle \frac{2x+3y}{6}\times\displaystyle \frac{2}{2} \\\\
&=&\displaystyle \frac{12x-9y}{12}+\displaystyle \frac{4x+6y}{12} \\\\
&=& \displaystyle \frac{12x+4x-9y+6y}{12}\\\\
&=& \displaystyle \frac{16x-3y}{12}\end{eqnarray}
(4)\(\displaystyle \frac{x-6y}{12}\)
\begin{eqnarray}
& & \displaystyle \frac{3x-4y}{6}-\displaystyle \frac{5x-2y}{12}\\\\
&=& \displaystyle \frac{3x-4y}{6}\times\displaystyle \frac{2}{2}-\displaystyle \frac{5x-2y}{12} \\\\
&=& \displaystyle \frac{6x-8y}{12}-\displaystyle \frac{5x-2y}{12}\\\\
&=&\displaystyle \frac{6x-5x-8y+2y}{12}\\\\
&=&\displaystyle \frac{x-6y}{12} \end{eqnarray}
計算がややこしいので、分からないところはコメントで気軽に聞いてくださいね!
\ おすすめの参考書! /
単項式の計算|乗法・除法
次は単項式どうしの計算を見ていきましょう。
単項式と単項式の乗法(かけ算)と単項式と単項式の除法(わり算)の解説です!
単項式どうしの乗法
単項式と単項式の乗法では、係数の積に文字の積を掛けます。
【例】
\(5a\times 3b=15ab\)、\(\displaystyle \frac{3}{4}x\times(-8y)=-6xy\)
このように係数は係数で積を求めて、文字は文字で積を求めましょう!
単項式どうしの除法
単項式どうしの除法は、逆数をかけるか、分数の形にするのどちらかを選択して計算します。
【例】
\(8xy\div 4y=\displaystyle \frac{\cancel{8}^2x\cancel{y}}{\cancel{4}\cancel{y}}=2x\)
\(12ab^2\div \displaystyle \frac{2b^2}{3a}=\cancel{12}^6a\cancel{b^2}\times\displaystyle \frac{3a}{\cancel{2}\cancel{b^2}}=18a^2\)
このように割る数が分数の場合は逆数を掛ける方がいいでしょう!
式の値と代入
ここまで、多項式の四則計算と単項式の乗法・除法を解説してきました。
これらの計算方法を使って、式の値を求めていきましょう!
【例】
\(x=3\)のとき、\(4x-5\)の式の値を求めよ。
\begin{eqnarray} & &4x-5\\
&=& 4\times3-5 \\
&=& 7 \end{eqnarray}
このように文字の\(x\)に\(3\)を入れて計算することを、「\(x=3\)を式に代入して、式の値を求める」と言います。
いくつか問題を解いてみましょう!
【問題】\(x=3,\ y=-2\)のとき、次の式の値を求めなさい。
(1) \((4x-2y)+(-5x+3y)\)
(2) \(6x^2y^2\div2x\)
(3) \(3(x-2y)-4(2x-2y)\)
解き方のポイントは、先に多項式の計算をして、式を簡単にした上で\(x,\ y\)を代入しましょう!
解答と解説は↓をタッチして確認してくださいね。
(1)\(-5\)
\begin{eqnarray}
& &(4x-2y)+(-5x+3y)\\
&=&4x-2y-5x+3y\\
&=& 4x-5x-2y+3y \\
&=& -x+y\\
&=& -3+(-2)\\&=&-5 \end{eqnarray}
(2) \(36\)
\begin{eqnarray}
& &6x^2y^2\div2x\\
&=& \displaystyle \frac{\cancel{6}^3 \cancel{x^2}^x y^2}{\cancel{2}\cancel{x}} \\
&=& 3xy^2\\
&=&3\times(3)\times(-2)^2\\
&=&3\times3\times4\\
&=&36 \end{eqnarray}
(3) \(-19\)
\begin{eqnarray}
& &3(x-2y)-4(2x-2y)\\
&=& 3x-6y-8x+8y \\
&=& 3x-8x-6y+8y\\
&=&-5x+2y \\
&=&-5\times3+2\times(-2)\\
&=&-15-4\\
&=&-19\end{eqnarray}
代入の計算は簡単ではありませんね。難しいところはいつでもコメントで質問してください!
文字式の利用
文字式の利用を解説していきます!
文字式を使って便利に計算しよう!って単元になります。
解説する内容はこの3つです。
では1つずつみていきましょう!
数量を比較する|文字式の利用
円柱を使って解説していきましょう!
【問題】ある円柱の底面の半径が\(r\ cm\)、高さが\(h\ cm\)のとき、下記の問いの答えなさい
(1)円柱の体積を\(V\)とするとき、\(V\)を文字式で答えなさい
(2)円柱の高さ(\(h\))が2倍になったとき、体積は何倍になるか答えなさい
(3)円柱の底面の半径(\(r\))が2倍になったとき、体積は何倍になるか答えなさい
文字で体積などを考えるのは慣れていないと思います。
一旦、「数字だったらどう考えるかな?」と答えを考えてもいいかもしれないですよ!
体積の求め方は↓の記事を参考にしてください!
(1) \(V=\pi h r^2\)
体積\(=\)底面積\(\times\)高さ
この公式です。底面積は\(\pi r^2\)で高さが\(h\)なので、
答えは、\(V=\pi r^2\times h=\pi h r^2\)となります。
文字式の順番の決め方は、数字を表す文字が最初で、残りはアルファベット順です。
詳細は↓の記事を参考にしてください。
(2) \(2倍\)
\(V=\pi r^2\times h\)の\(h\)が2倍になるので\(h\rightarrow 2h\)となります。
\(h=2h\)を代入してみましょう。
\(V=\pi r^2\times(2h)=2\pi h r^2\)なので、比較してみるとVの大きさは2倍になっていますね!
よって答えは2倍です。
(3) \(4倍\)
最後は底面積の半径(\(r\))が倍になります。つまり、\(r=2r\)となった場合の体積\(V\)を計算するってことです。
\(V=\pi h r^2=\pi h (2r)^2=4\pi h r^2\)
となります。最初の\(V=\pi h r^2\)と比べると\(4\)倍になっていますね。
体積は\(V=\pi h r^2\)なので、\(r\)の変化は2乗で効いてきます。
つまり、\(r\)が2倍になると\(2^2=4\)倍となります。
ここは本当にややこしいです!わからないときは遠慮なくコメントで聞いてください!
数の性質の説明|文字式の利用
文字式を利用すると、数の性質を説明することができます。
【例】
\(n\)を整数とすると、偶数や奇数を下記のように表すことができます。
偶数:\(2n\)
奇数:\(2n+1\)
3の倍数:\(3n\)
連続する2つの整数:\(n,\ n+1\)
\(m\)と\(n\)が異なる整数だとすると、こんな数を表すこともできます。
異なる2つの偶数:\(2n,\ 2m\)
異なる2つの奇数:\(2n+1,\ 2m+1\)
また、十の位が\(a\)で一の位が\(b\)の2桁の自然数を\(10a+b\)と表すこともできますよ!
これらの数字の表し方を使って、問題を解いてみましょう。
【問題】ある2桁の自然数と、その自然数の十の位と一の位を入れ替えた数の和が11の倍数になることを示せ。
【ヒント】2桁の自然数は\(10a+b\)で表せたましたね。では10の位と1の位を入れ替えた数はどう表せるでしょうか。
入れ替えた数が分かれば、\(10a+b\)との和を取れば答えは出てきますよ!
【解答と解説】
\(a\)と\(b\)を1桁の整数とする。
ある数を\(10a+b\)とすると、十の位と一の位を入れ替えた数は\(10b+a\)と表すことができます。これらの和は下記のように計算できます。
\begin{eqnarray}
& &(10a+b)+(10b+a)\\
&=&10a+a+10b+b\\
&=&11a+11b\\
&=&11(a+b)
\end{eqnarray}
\(a\)と\(b\)は整数なので、\(11\)の倍数となる。
【解く方法】
何から解いていいかわからないときは、具体的な数で考えるのがオススメです!
ある数を\(27\)とすると、十の位と一の位を入れ替えた数は\(72\)です。
\(27+72=99\)なので、確かに\(11\)の倍数になっていますね。
【考え方】
27を文字で表すとどうだろう?確か2桁の数は\(10a+b\)だったな。
ここで\(a=2,\ b=7\)になるから、入れ替えた数は\(10b+a\)かな?じゃあこれらを足すと・・・
といった具合です。
この辺りの文章題は本当に難しいです。わからないときはコメントで聞いてくださいね!文字式の利用は苦手になることが多いので、解けなくても当然くらいの意識でOKですよ。徐々に慣れていきましょう。
xについて解く|文字式の利用
文字式の利用3つ目は「〇〇について解く」です。
半分は用語の解説で、半分は計算の解説となります。
\(x\)について解くとは、「等式を\(x=\)の形にすること」です。
【例】
\begin{eqnarray} y &=& 4x-5 \\
4x&=& -y-5\\
4x\times\displaystyle \frac{1}{4}&=&-y-5\times\displaystyle \frac{1}{4}
x=\displaystyle \frac{-y-5}{4} \end{eqnarray}
上記の式のように、\(x=\)に変換することを「xについて解く」と言います。
計算には移項をたくさん使うので、移項を解説した記事を紹介しておきます。ご活用ください!
>移項とは<
では問題を解いてみましょう。
【問題】次の等式を[ ]の中の文字について解きなさい。
(1) \(3x-8y=11\ \ [x]\)
(2) \(4y=8x+16\ \ [y]\)
(3) \(\displaystyle \frac{2x-5y}{3}=x-3\ \ [x]\)
(3) \(9ab=6a-8\ \ [b]\)
【解き方】まずは『[ ]の中の文字を持つ項』を左辺に移項しましょう。『[ ]の中の文字を持たない項』は右辺に移動します。
乗法や除法を使って、左辺を[ ]の中の文字だけにすれば計算は完了です!
解答と解説は↓をタッチして開いてください!
(1) \(x=\displaystyle \frac{8y+11}{3}\)
\begin{eqnarray}
3x-8y&=&11\ \ [x]\\
3x&=& 8y+11 \\
3x\times\displaystyle \frac{1}{3} &=&( 8y+11)\times\displaystyle \frac{1}{3}\\
x&=&\displaystyle \frac{8y+11}{3} \end{eqnarray}
(2) \(y=2x+4\)
\begin{eqnarray} 4y&=&8x+16\ \ [y]\\
4y\times\displaystyle \frac{1}{4} &=& (8x+16)\times\displaystyle \frac{1}{4} \\
y&=&\displaystyle \frac{8x+16}{4} \\
y&=&\displaystyle \frac{\cancel{4}(2x+4)}{\cancel{4}}\\
y&=&2x+4 \end{eqnarray}
(2)のポイントは\(\displaystyle \frac{8x+16}{4}\)を約分できるところです。約分を忘れると減点になりますので、分数が出てきたら「約分できないかな?」と考えるようにしましょう!
(3) \(x=-5y+9\)
\begin{eqnarray}
\displaystyle \frac{2x-5y}{3}&=&x-3\ \ [x]\\
\displaystyle \frac{2x-5y}{\cancel{3}}\times \cancel{3}&=&(x-3)\times3\\
2x-5y&=& 3x-9 \\
2x-3x &=& 5y-9\\
-x&=&5y-9\\
x&=&-5y+9 \end{eqnarray}
(4) \(b = \displaystyle \frac{6a-8}{9a}\)
\begin{eqnarray}
9ab &=& 6a-8\ \ [b]\\
\cancel{9}\cancel{a}b\times\displaystyle \frac{1}{\cancel{9}\cancel{a}} &=& (6a-8)\displaystyle \frac{1}{9a} \\
b &=& \displaystyle \frac{6a-8}{9a} \end{eqnarray}
「式の計算」の解説は以上になります!
各小単元ごとの記事も作っていますので、復習したい小単元は↓のリンクからご確認ください!
今回は以上です!
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